本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「真田太平記」池波正太郎
真田太平記(一)天魔の夏 (新潮文庫)
真田太平記(一)天魔の夏 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 740
  • 発売日: 1987/09/30
  • 売上ランキング: 7377
  • おすすめ度 4.5


※画像は貼ってないですが全12巻です。

今年の大河ドラマは「天地人」、そのおかげかゲームのおかげか、戦国ブームだ。
私は随分前から戦国時代は好きで、数年前には山本勘助に熱くなってたクチなので、
今年の大河ドラマも楽しみにしていた、んだけど・・・
大河ドラマはホームドラマ、青春ドラマ、という趣で、戦国特有の謀略とか裏切りとかが
なんか物足りなくって、ドラマを見れば見るほど戦国に飢えていく感じだったのです。
すごく読み応えのある戦国ものが読みたい!と急に激しく思った私は、この1巻を
手に取ったのでした。そして全12巻一気に読みました。
長かったけどあっという間でした。これだけ長い本なのに、1ヶ月読んでいると、
だんだん読み終わりたくないという気持ちになってきて、11巻ではペースが落ちたりしました。
いつまでも読んでいたいなと思ってました。

真田家は、武田信玄に仕えた幸隆の子、昌幸の時代。
織田信長が武田勝頼を追い詰めていた時代から物語ははじまる。
武田家の足軽、向井佐平次は、武田家劣勢で死を覚悟するが、
謎の女お江と壺谷又五郎に助けられ逃げ延びる。
その後、療養中の別所温泉で出会った自分より年下の若武者に仕えることとなった。
その男は若き日の真田幸村であった。
幸村は佐平次に、「佐平次と一緒に死ぬ気がする」と出会った早々に言うのだった。
波瀾万丈の展開で二人は出会い、そして真田家を舞台に壮大な物語がはじまるのだった。

最初からぐっと話にのめりこまされた。真田家は決してずっと波瀾万丈だったわけでもないのに、
小説はずっと波瀾万丈で、どの巻も全く気を抜けずに手に汗握って読むこととなった。
怒濤の関ヶ原を経て真田昌幸、幸村が蟄居中でも、加藤清正などが行った豊臣政権を
盤石にしようとする試み、それに対抗する徳川勢力、そして暗躍する草の者・・・。
これよこれ!!私が戦国時代に求めていたのはこれなのよ!!!というスリル、
知謀と暗躍と裏切りに溢れた展開、ずっとおなかいっぱい、でも読まずにいられない。

真田家にはずっと興味があったのだ。今年の大河ドラマではあっさり省かれてるけど、
関が原の時に、長男信幸(後信之と改名)は徳川につき、父昌幸と次男の幸村は豊臣につく。
親兄弟でいったい何があってそんなことになったのか?憎みあったのか?
そのへんの経緯がとても気になって読んでいたんだけれど、憎みあったわけではない。
兄弟はとても仲が良いし、父も、いろいろあって長男には厳しく当たるけれど、
決して愛情がないわけではない。
諸々の経緯から、兄は徳川を信じ、父と弟は豊臣を信じるに至った。
そして、それぞれの意志を尊重して、彼らは離れた。
お互いがお互いを信じきっているからこそ、彼らは離れることができたのだ。

親子、兄弟の別れのシーンは台詞のみですごくさらりとしている。
「さて、いくか。」「はい。」的な気軽さである。
思わずそこで私は涙した。言葉なんかなくても、彼らの絆はとても固いことが、
そのさりげないシーンに現れていた。何巻も書いて言葉や思いを尽くした上でのさりげなさ。
彼らはとても男で、とてもかっこよく、それをかっこよく描ける池波正太郎もカッコいい。

大阪夏の陣ではもう涙が止まらなくなっちゃって、どんどん読むペースが落ちていく。
幸村様!!!と心の中で絶叫を繰り返す。
そして12巻では、夏の陣も終わって徳川の世になり、もう何も語ることもあるまい、と
思ったら・・・・、更に最後の波乱万丈が起こるのである。
そして、これから続く真田家の長い長い歩みに、また涙して、
私はこの本を読み終えてしまったのだった。ああ読み終えてしまったなあ。ああ。

また何年かしたら読み返してもいいな。本当に面白かったし、生きるってなんだろう、なんて
大袈裟じゃなく考え込める、人生の書と言ってもいい。

幸村には滅びの美学を見て、信之には続けていくことの美しさを見る。
どちらの男もものすごくかっこよかった。
そして皮肉屋のお父さん昌幸も愛らしくって、とってもいとおしい。
信之の部下の鈴木右近の人生もステキだったし、信之の恋模様もなんだかいとおしい。
私には、樋口角兵衛だけはなかなか理解できなかったんだけれど、
彼の母親はすごく怖いなと思ったな・・・

いやそれより何より、草の者の活躍を忘れてはいけない。
女忍びのお江、壺谷又五郎、佐助、ほかの草の者が、真田を信じて暗躍し、甲賀一族と戦う。
それがまたこの長い長い物語の一つの軸となっていて、その読み応えのすごいことったら。
これぞ戦国だ!
お江の女としての強さたくましさ、すごくかっこよく思ったし、
壺谷又五郎の生き様も壮絶であった。関が原のあたりのあの緊迫感と言ったら!

惚れ惚れするほど皆かっこよく、素晴らしい作品である。
12巻なんてあっというまなので、是非読んで欲しいなと思う。
| comments(3) | trackbacks(0) | 21:15 | category: 作家別・あ行(その他の作家) |
コメント
ざれこさんのこの感想を読ませてもらって再び涙してしまいました。
はふぅ・・本当にほんとうに、この読書の時間が素晴らしかったこと!
いつも傍に戦国があって、真田家の人々がいて、草の者がいて、さまざまな武将がいて、お家があって・・・。
多くの人が生きている限り、単純に善と悪に分けられるはずもないと。(某大河のようにはねぇ、、(^^ゞ
切なさ、苦しさばかりで、そしてひとときの喜び・・そういう生きることのすさまじさみたいなものをいっぱい感じました。

それにしても、ざれこさんの感想の素晴らしい事!この本の魅力を見事に表されていると感嘆してしまいました!流石です。
>幸村には滅びの美学を見て、信之には続けていくことの美しさを見る。
そうなんですよね。
それとお父さんの憎めない魅力とかも。
私もいつかまたもう一度読み直してみたいです。

紹介頂いた、『真田騒動』手元に来ました。
大切に読むつもりです。どうもありがとうございます。
それと一緒に、池波さんの『あはれ狼』も入手。
こちらは短編集で、中に「角兵衛狂乱図」というのがあって
それを先日読みました。
これを読んで少し角兵衛の事を見直したりしましたよ。
良かったら如何ですか。(*^。^*)
| ワルツ | 2009/10/30 11:36 AM |

連続投稿すみません。

本の題名、微妙に間違えてました。(汗)
池波さんの本は「あはれ狼」ではなくて、
『あばれ狼』でした。
| ワルツ | 2009/10/30 3:00 PM |

昨日私も読了しました。
素晴らしい感想コメントですね。共感しまくりです。
私も読了が惜しくて途中から読むペースを落としました。
幸村が家康に突撃した時に滝川一益の孫(名前失念。あとがきには池波正太郎さんはこの人のように人生を送りたいなんて書いてあったけど。)ににこりと笑いかけ、そしてそのしばらくのち、佐平次を抱いて討ち取られる。ここはしんみりしましたね。
>幸村には滅びの美学を見て、信之には続けていくことの美しさを見る。
素晴らしい見解ですね。若いころだったら幸村のほうが好きだったと思いますが、最近は信之という人物がものすごく尊敬できるようになりました。自分の生き方を貫き通した信之、幸村の両者。猛々しく戦う幸村もかっこよければ、天下のため自分は何をすべきかひたすらに考え行動し続ける信之も真の強さを持った人物だったんだなあと。
そういえばその幸村も物語中で
「兄上は天下人となっても不思議ではない人物。」と評して言いましたね。

ちなみに私は信州人なのですが(笑)、今度地元の信之のお墓参りに行きたいと思ってます。(感化されやすいもんで)(^.^)
| みみねね | 2015/06/30 11:20 AM |

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