本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「女生徒」太宰治
女生徒 (角川文庫)
女生徒 (角川文庫)
  • 発売元: 角川グループパブリッシング
  • 価格: ¥ 460
  • 発売日: 2009/05/23
  • 売上ランキング: 162314
  • おすすめ度 5.0


書影が横になっていてよかったです↑。

今年の角川文庫の太宰治生誕100年フェアの装丁がステキだなあと、
思わず6冊ほど買ってしまいました。
私の中では「津軽」を読んでから太宰治の暗いイメージ(での読まず嫌い)が
がらりと変わって好きな作家になったので、特に今年はいろいろ読みたいなと
思っています。

しかし、新潮文庫で「ヴィヨンの妻」を読んでから今回この「女生徒」を
読んだのですが、同じ短編が被っていたりしたので、同じ文庫でそろえた方が
よかったかもしれない。何度読んでもよかったので、いいのですが。

ちなみに角川版の「ヴィヨンの妻」にはどうやら映画化された「パンドラの匣」も
収録されているようです(新潮版には入っていなかった)が、
私は新潮文庫の「パンドラの匣」を買ってました。
少し余談でした。
この「女生徒」、最近夏バテ気味でちょっと読書が億劫な時期に読みましたが、
するすると文章が入ってきて、短編集で短いし、とてもいい短編が多かったので、
改めてまた読書の楽しみを思い出すことが出来ました。

太宰の、女性の一人称視点の短編を集めた短編集です。
太宰治の特集を以前NHKでしていてみたのですが、太宰の女視点の作品は、
太宰が口述筆記して奥さんがしたためていたとそこで言っていたような気がします。
(記憶違いだったらすいません)
この作品集は多分太宰の全盛期の頃の作品だと思うのですが、
奥さんの力も働いて、こんなに流暢な、女が読んでもするすると違和感のない
作品集になったのじゃないかなと思います。
「女生徒」なんか、少女と女の間をさまよう微妙な年頃の少女が書いたとしか
思えないですもん。それにもろに女生徒の日常と心情なんですもの。

そう思って読むと「おさん」はすごく切ないですが。
これは奥さんが書いてないことを祈りたい。

「おさん」を読んで(新潮の「ヴィヨンの妻」にも収録されていたので、2度目でした)
思ったのです。
太宰は女はバカで、でも強い存在なんだといい意味で知っていて、
それに甘えてふらふらしてたんじゃないかなあって。
で、一番甘えてたのは奥さんなんじゃないかなあって。
なんかそう思ってほほえましいような哀しいような、なんともいえない気持ちになりました。
でも、強くても、男がいなくなったら寂しいんだよ。それもわかってたろうに。
「おさん」は何度読んでもそう思って切なくなりそうです。

他にステキだったのは「葉桜と魔笛」。恋に恋する少女たちの切ない想いが
ぎゅっとこめられた切ない物語で、短くて無駄がなくて切なさの結晶みたい。
「皮膚と心」も好きだったなあ。夫婦になってもいつまでも恋をしている、
そんな二人が切なくもほほえましいなあと思いました。

あと、女のふとした衝動を描く「誰も知らぬ」も切なかったし、
「きりぎりす」は富を得て変わっていく夫を見つめる妻の目が切なかったし、
「貨幣」は面白い視点で女の母性や強さを描いてて印象深かったし、
「恥」は女の自意識過剰さを面白く読んだし、と、
どの短編もいろいろな味わいを見せてくれて、一辺倒じゃない面白さがありました。

「ヴィヨンの妻」(新潮)では、太宰が投影されたダメな男の面倒を見るような短編が多く、
女性視点の私小説みたいな作品も多く見られて、どうしても暗い影がつきまといましたが、
この作品集は本当にバラエティに富んでいて、作家としてのってた時代の作品が
揃ってるんじゃないかな、と、何も調べずに思い込んでます。

女が読んでも切ない、そして女は強いんだよな、そうだよな、と思わせるような、
味わい深い短編をじっくり堪能しました。

さて、次はどの太宰を読もうかな。
| comments(1) | trackbacks(2) | 23:39 | category: 作家別・た行(太宰治) |
コメント
こんばんは。
太宰治の女性の語り口は、女性が読んでも本当に自然で驚かされました。一文がゆるゆると長い所が、女性の話す呼吸のようなのでしょうか。描かれている内容も、女性のことを良く表現し過ぎていて不思議に思える程素晴らしかったと思いました。
>太宰が口述筆記して奥さんがしたためていたとそこで言っていたような気がします。
これ、すごいですね。奥様は書きながらどう思われていたのでしょうか。
| ひろねこ | 2009/11/30 12:20 AM |

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愛される女
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| 出会い 結婚 神奈川県 徹底比較 | 2009/08/25 4:36 PM |
「女生徒」太宰治
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| うらひろ | 2009/11/30 12:13 AM |
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