本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< June 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「君と一緒に生きよう」森絵都 | main | 2009年07月に読んだ本 >>
# 「神器−軍艦「橿原」殺人事件」奥泉光
神器〈上〉―軍艦「橿原」殺人事件神器〈下〉―軍艦「橿原」殺人事件

戦時中。軍艦「橿原」に乗り込んだ石目。学生時代は友達と探偵小説など書いて
盛り上がっていた彼だが、現在は船乗りである。しかし乗り込んだ橿原では
正体不明の地下室の住人が石目に橿原の艦底にまつわる謎を吹き込んだりして
彼の探偵熱を盛り上げているところに、人が失踪したり死んだりという事件が頻発し・・・。
鼠は異常発生し、正体不明の陸軍の人間が乗り込んできたり、と謎だらけの橿原は、
一体どこへ向かっているのか・・・・。
軽妙な殺人事件ものかと思いきや、日本人にとって戦争とは何だったのか、を
深く考えることになるような、うーんなんともかんとも、感想が書きづらい本である。
同じ著者の「鳥類学者のファンタジア」は万人にお薦めしたいけど、
この本はちょっと、オススメするのは難しいかな。人を選びそう。
私はすごく長く感じたけれど、読んで良かったとは思いました。

最初は石目の語りがなかなかリズミカルで味があってとっつきやすそうだったんだけど。
鑑底にいるのがあの人、て発想もすごく奇想天外でこの著者でないと思いもつかないと思うし、
最初はとても期待度が高かった。

物語は石目の一人称から三人称へ縦横無尽に切り替わり、そして橿原で起こることが
どんどん異様になっていき、更に鼠たちが登場し始めて、すごいことになってきて。
時折翻弄されつつも、結局止まらずに読み進めていった。

一人称から三人称に切り替わり、いろんな人々の視点で語られていくんだけど。
その手法はなんだか、橿原を遠くから俯瞰しているというか、言い過ぎだけど神の視点というか、
そういうふうに感じるように書かれていたんじゃないのかなと思う。
視点はがんがん切り替わっても登場人物の個性が際だっているので混乱はないし、
時折台本のようになっていたり変化に富んでいて、
なんだかんだで読ませる力というのはすごいもんだなと思った。

読み終わるとなんだかなあ。すごいところにつれていかれたという気分がする。
それが自分の意志なのか国家に操られたのか、そこらへんの判断は置いておいて、
いい日本を作ろうという強い意志を持って戦争に行って死んでいった軍人たちが
守ろうとした「日本」は、今の日本と同じなんだろうか。
今の日本はこんな日本で良かったんだろうか。
私は、戦争について学んだつもりでいるけど、その時代の人々
1人1人の気持ちまでは学んではいないし、やっぱり想像もつきはしないのだ。
なんだかそんなことを漠然と考えるような作品だった。そういう意味では重く感じたなあ。

奥泉氏の作品は、今まで3作品読んでるんだけど、読む度毎に雰囲気が全然違うので、
毎回新しい楽しみがあり、飽きることがなさそうだ。
他のもどしどし読んでいこうと思っている。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:44 | category: 作家別・あ行(奥泉光) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/877230
トラックバック
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links