本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「パラドックス13」東野圭吾
パラドックス13
パラドックス13
  • 発売元: 毎日新聞社
  • 価格: ¥ 1,785
  • 発売日: 2009/04/15
  • 売上ランキング: 2081
  • おすすめ度 3.5


本好きの先輩が買ったというので借りて読んだ。東野圭吾の新刊なんて
図書館では気合入れて予約しないと読めないが、私の中では気合入れて予約するほど
優先順位が高くないので、ラッキーという感じ。

最近ミステリを読み始めたというその先輩にいろいろ本を薦めたのだけど、
東野圭吾だったら「白夜行」が圧倒的ですよ!あとは面白いけど普通ですよ、と
極論を語ってきたんだけども。私のこの持論はこれを読んでも、
残念ながら揺らぎませんでした。面白いんだけどなあ。

東野さんの作品はどれもこれも一定の面白さがあって、これも面白く読んだんだけど、
やっぱり、量産された作品っぽい雰囲気を感じてしまうのは何故なんだろうなあ。
他の人が書いたら力作、とか評するような本だと思うのに。
「白夜行」からこのかた、私の東野さんへのハードルはものすごく上がってしまって、
期待値が非常に高くて、困ってしまう。
10冊こういうの読むより、すごいのを一冊読みたいな。と思う。

13日の13時13分に起こるというP-13現象。その現象は政府関係者に隠されていた。
その時刻。犯人逮捕に走り回っていた刑事の兄と、下っ端警官の弟。
弟は犯人を追って車に取り付いていたら、突如車から人が消えた。
そして弟は世界で一人になったことに気づく。
さまよっているうちに、兄とも再会し、ほか、女子高生やふとっちょの男や
老夫婦や、さまざまな人々と出会う。生き残ったのは13人?
人が消えて天災が起こり街のライフラインがずたずたになる中、彼らの
サバイバルが始まる。果たして元の世界に彼らは戻れるのか?

何も前知識がなくミステリだと思って読んだので驚いたんだけど、
物理に強い東野さんらしい設定で、先が全く読めなくて興味深く読んだ。
だってこんな無茶な設定で状況はどんどん絶望的になるし、
どう収めるんだろう?と変なところに興味が沸いてくる。

都会のサバイバルはすごく読み応えがありました。
人がいなくなっただけで、食物は腐り、電気は消え、生きることは難しくなる。
そこに長引く雨が重なって、直す者もいない街はどんどんと崩れていく。
非現実的な設定ながら、きっとこうなるんだろうな、というリアリティはあって、
私たちはこんなにもろいところに平然と生きてるんだ、と思うとぞっとしました。
逆に私んちなんか田舎だからある意味生きていけるのかもしれんなあ。

出てくる人たちはわりとベタな雰囲気の人たちで、女子高生は女子高生だし、
太めの男は腹が減ったばかり言ってるし、ヤクザはヤクザみたいだし、と、
人間としての深みとか意外性とか、そういうのがあまり見あたらない。
キャリアの刑事で優秀な兄と、平警官で平凡な弟、彼らの関係を軸に話は進むんだけど、
彼らの描写もいかにも、なんだけどなあ。
サバイバルは手に汗握るのでそれでもとにかく読ませる。
で、読んでいくうちに、ベタな、ある意味平凡な、私たちと変わらないような人々が、
この絶望的な状況で、ただ生きるのか、それとも生きようとして生きるのか、
そんなことを考えていく。それに私も突き動かされた。

たった13人しかいない世界で生きていて何になる?どうやって生きる?
何を目的に生きる?そんな問いと戦って答えを出していく彼らの姿に、
ほんま生きるってなんだろう、と私も思わず考えてしまった。
こんな薄っぺらなエンタメ小説のはずなのに、ひっかかりが残る。

たった一人では生きられない、人は社会の中で生きてるのだ、
そんなことも痛烈に思うし、でもたった一人でも生きられるくらいに、
強い何かを持っていたいとも思う。

ラスト、納得いくようないかないような。ちょっと残念だった。
屁理屈だ、とか思ってはないんだけど(そもそも設定自体が屁理屈だし)、
なんかなあ。もうちょっと、皆を、幸せにしてやって欲しかったな。
そういう意味で後味悪い気がしました。
| comments(1) | trackbacks(2) | 23:19 | category: 作家別・は行(東野圭吾) |
コメント
はじめまして。
東野さんに関して概ね同感です。本作は未読ですが、やはり『白夜行』かと。
『白夜行』以来、ハードル上がりましたね。

僕はガツンとぶん殴られるような感じを待ってます。

ブログ、未読の作家さんを手に取る前は参考にさせてもらってます。

ではでは。
| パンダ熊猫 | 2009/07/27 2:32 AM |

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【パラドックス13】 東野圭吾 著
ひょっとしたら、彼らには月が2つ見えてたのかもしれない…でも、ずっと雨だったから、月は見えなかったかもしれない  まずは来訪記念のポチッ[:ひらめき:] [:next:] blogRanking[:右斜め上:]【あらすじ】13時13分からの13秒間、地球は“P‐13現象”に襲
| じゅずじの旦那 | 2009/08/11 12:52 PM |
◎読書記録◎ 「パラドックス13」 東野圭吾 
「世界が変われば善悪も変わる。人殺しが善になることもある。これはそういうお話です」 東野圭吾
| The 近況報告!〜今度は多摩川のほとりから | 2011/01/24 11:13 PM |
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