本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「儚い羊たちの祝宴」米澤穂信
儚い羊たちの祝宴
儚い羊たちの祝宴
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2008/11
  • 売上ランキング: 74133
  • おすすめ度 4.5


米澤さんの作品は一見青春小説風なんだけど全然爽やかじゃなくてどす黒いから好き。
小市民シリーズも古典部(古典部はまだましだな)も「犬はどこだ」もそうだけど、
特に「ボトルネック」はさすがの私も後味悪すぎて困ったくらいだった。
少年や少女の自意識とか、無意識の残酷さみたいなものをえぐり出すのが本当うまいと思う。
今回は一見爽やかですらなくって表紙からしていかにもどす黒そうだったので余計楽しみだった。
今回は、名門屋敷の気高い娘や息子たち、そしてその使用人たちが織りなす5つの物語が、
「バベルの会」という読書サークルで緩やかにつながっていく、連作ミステリ。
使用人とご主人様、という関係は古い時代を思い起こさせる。使用人の語り言葉は丁寧で、
それが余計そういう雰囲気を出していたんだと思う。
主家のお嬢様に忠誠を誓う同い年の使用人、という構図は、現代ではなかなかないし、
私ももちろん体験はなくて実感できないから、非日常に片足つっこんだような、
暗い雰囲気にどっぷりはまりました。好きだなあこういうの。

どのミステリも、ラストにちょっとした驚きがあって、短編ミステリの醍醐味を堪能させてもらった。
ラスト1行の衝撃!って帯に書いてあったらしいけど、たった1行でどんでん返しがあるのかと
期待したらそうでもない、んだけど、おおっていう発見もあり、それによって更に
薄ら暗い気持ちにさせられたりして、ぴりっと効いているラストだった。うまいなあ。

1作品を除いて動機が怖い。そんな理由で!っていう自己中心的な理由で
人を殺してしまったりして、でも本人たちはそれを異常だとも思っていないあたりに、
背筋が寒くなってしまう。
無邪気なんだよね。だからこそ怖いし、で、そこが米澤さんらしい持ち味なんだなあと思う。

「玉野五十鈴の誉れ」が一番好き。一番まっとうな感じがする。

そして「バベルの会」という会で各短編がゆるくつながっているのも面白いし、
何よりバベルの会が読書会なもので、本の話題がいっぱい出てくる。
使用人が、ご主人の読んでいる秘密の本を読んでいく短編があって、そこに出てくる本が
またこの陰鬱な雰囲気に合っているタイトルのが多くて、どれもこれも読みたくなる。
でも読んだら眠れなくなりそうだけどもね。

余談だけど、バベルの会って、ボルヘスの「バベルの図書館」から
取った名前なんだろうな、とわかって嬉しい。ボルヘス読んでみてて良かった。
でないと「バベルの塔」とかうっかり「バビル2世」とか思い出すところだった。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:01 | category: 作家別・や行(米澤穂信) |
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