本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「極北クレイマー」海堂尊
極北クレイマー
極北クレイマー
  • 発売元: 朝日新聞出版
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2009/04/07
  • 売上ランキング: 830
  • おすすめ度 4.0


スキー場や遊園地を作ったものの観光地になりそびれ、赤字にあえぐ極北市。
その極北市民病院に赴任してきた今中は、市民病院の適当さに呆れる。
事務長と院長は犬猿の仲、病室は嫌なにおいが充満し、研修医は仕事もしない、
今中が酔った勢いで病院の不満を言うと看護師たちに無視される・・
唯一まともなのは産婦人科の三枝先生だが、医療事故問題が起こっているらしい・・・
「イノセント・ゲリラの祝祭」で「北」の案件として出てきた事件がここで明らかに。
姫宮も登場。派手に活躍します。
ワタクシごとだけれど、うちの市は市立病院が赤字で、
医師がいなくなって何度もつぶれそうになって、まだつぶれてはないんだけど、
お医者さんはしょっちゅうかわる。
付近に大きな病院がないので、つぶれないかいつも不安。
これって数年前に医療制度が変わって研修医が減ったせいだと思うんだけど
私には詳しいことはよくわからない。
でもあちこちの特に田舎で似たようなことが起こってるはずで、何かがおかしいのはわかる。
だからこの小説はある意味他人事ではなくって、現実問題として読んだ。

それにしても極北市、スキー場は雪が積もればリフトが止まるし、
遊園地はちんまりとして休日にしか営業してない。ずさんな計画にもほどがある。
ここまでひどい市はないんじゃないかなあ。うちの市だってもうちょっとましだ
(とりあえず観光には手を出してない)。ちょっと物語だからとデフォルメが過ぎた気がする。

思ったよりテンポが悪くて、登場人物紹介にだいぶ割いてしまった、って印象だったし、
読み終わっても全然読み終わった気がしなくて、続編書いて!って思ってしまってちょっと残念。
海堂さんの小説は全部がつながってるから、全体像が見えてくるのは面白いけど、
一つ一つのパーツだけ読むといろいろと物足りないなあと思う。
そういう描き方は長所でもあり短所でもあるなあ。他のも読みたくなるし興味はつきないけど、
なんか今回は物足りなさが勝ってしまったかなあ。

それでも、今中はもちろん、研修医の後藤や、気の強い並木看護師など
個性的な若手メンバーが成長していく様子は読んでて面白かった。
後藤は特に複雑な人間で、なかなか好きだわ。彼はこれからどうなってくんだろう。

この小説で描かれている産婦人科の医療事故、似たような件が実際にあったようですね。
ググって知りました。ミスや故意ならともかく、全力を尽くしても
医師にもどうしようもないことはあって、本人達が一番悔しいだろうに。
それで訴えられてしまうようになってしまったら、それこそ医師がいなくなって、
私たちの命はさらに危険にさらされる。
実際に産婦人科はこの近所でも減ってます。
産む予定はまだないけど、産むときはどこ行ったらいいのか・・・。

この小説ではこの事件はまだはじまったばかり、今後どう展開するのか、
海堂氏がどう主張していくのか、読み応えありそうです。

それにしても国民総クレイマーの時代かあ。
なんとなく、素人の国民として申し訳なく思いました。
お医者さんからみたら、制度面だけでなく、当然のように最高級の医療を甘受して
文句ばかり言ってる私たちだって、彼らを追い詰めてるんでしょうか・・・。

やっぱりいろいろ考えちゃいますね。海堂さんのシリーズって。

| comments(0) | trackbacks(0) | 04:11 | category: 作家別・か行(海堂尊) |
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