本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< February 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 >>
<< 「イギリス海岸−イーハトーヴ短編集」木村紅美 | main | 「密謀」藤沢周平 >>
# 「秋期限定栗きんとん事件」米澤穂信
秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

「夏期限定トロピカルパフェ事件」をだいぶ前に読んでいて、で、今回、
待ってましたとばかりに「栗きんとん」を手にして嬉々として読み始めたはいいけれど、
少し読んであれっと思って読むのをやめる。
こんな爽やかな話だっけ?
小鳩くんと小佐内さんは離れちゃってるし、双方に彼氏や彼女ができてるし、
一見すると普通の青春小説っぽくないか。

こんなはずはない。と思って「夏期限定・・・・」の最終章だけ読み返す。
うわあ、そうだったそうだった。
で、再度「栗きんとん」に戻って、びびった。
・・・・小佐内さん、彼氏作って何企んでるの!!
主人公は小鳩君、それから切り替わって瓜野くん。彼らが交互に語り手となる。
瓜野くんは新聞部員、毎年同じ学校行事ネタを書かされてうんざりしていて、
地域の事件を追いかけて記事にしたいと思ってるんだけど、部長の堂島に反対され腐っている。
そんな時、堂島の知り合いらしい少女に出会い、前から気になっていた彼女に彼は声をかけ、
そしてスイーツを食べに行く。彼女の名前は小佐内ゆき。甘いものが好きなかわいい彼女だ。

そして瓜野くんは近所で起こっている放火事件を調べはじめ、放火場所にある法則を見つけ、
学内新聞記事で次回の場所を予告し始める。そしてそれが当たっていく。
彼の捜査はエスカレートし、現場で張り込んだりしはじめるのだが。

小鳩君のほうは、またかわいい彼女をつくり、普通の小市民的学校生活を謳歌。
彼女と郊外にデートに行ったりしている。が、本来の癖がむくむくとでてきて、
日常の謎を推理しちゃったりしている。
しかし放火事件のことも放っておけなくなってきて・・・

事件はきっちり解決し、伏線やミスリードの仕掛けなんかもたくみで、
途中までだまされてそわそわしてしまいました。
ある人は最後とことん徹底的にかわいそうだったので、それは気の毒だなあと
本気で思いました。次回はもう出てこないのかな、ちょっと救ってあげてほしいな・・・

小鳩君と小佐内さんにそもそも普通の恋愛なんてできるわけないやん、という
私の予想はまあだいたい当たってしまうのだけれど、その二人が落ち着く先は、
夏期限定のラストと比較すると後味がいいかなあ。二人に限定すればだけども・・・。
小佐内さんのラストの台詞は笑った。小佐内さんらしいわ!恐ろしい。
マロングラッセと栗きんとんのたとえもほんまなるほどと納得。
周りを甘くしたところで、芯まで甘くなることはできなかった、小佐内さんと小鳩くんでした。

自分は特別だという優越感を隠して生きている小鳩くんと小佐内さんに
全部共感できるかと言われたらできないんだけど、こういうところって、
なんか自分にもあるような気はするんだよねえ。優越してるところなんてないくせに。
そういう部分が二人に凝縮されているような気がしてしまって、なんか落ち着かないシリーズ。
たぶん誰もが、自分は特別だと思いたいんだと思うんだ。
その暗部を嫌な感じでついたというか。

米澤さんの作品にはそういうところがあるなあ。すごく繊細な微妙なところを
ずばりついてくるというようなことが。だからすごくいやーな気持ちになったりするけど、
でもなんか読んでしまうんだよなあ。不思議だ。
小鳩くんも小佐内さんも、小市民ぶって小市民ではないけれど、
でもまだまだ子どもだなあってところがかわいげがあるので、
なんとなくほほえましく読んでしまうのでした。

彼らが本当の恋を知ることはあるんでしょうか?続編に期待。
冬は何を食べるのかなー。忘れた頃にやってきそうなので、
また少し再読して思い出してから読もうと思います。

最後に。薄いんだから上下巻にしなくても!と思ったけど、
表紙を並べてみるとやっぱり上下巻でいいのかな、とふと思っちゃいました。
片山若子さんにしてやられてます。
| comments(0) | trackbacks(1) | 23:02 | category: 作家別・や行(米澤穂信) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/852432
トラックバック
秋期限定栗きんとん事件(上・下)
 『春期限定いちごタルト事件』『夏期限定トロピカルパフェ事件』に続く、小市民シリーズの最新刊。  毎度のことながら、可愛い表紙とタイトルを大きく裏切る本格ミステリ。 ・上巻内容 あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった
| 読書狂日記 | 2009/05/24 11:53 PM |
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links