本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「きのうの世界」恩田陸
きのうの世界
きのうの世界
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,785
  • 発売日: 2008/09/04
  • 売上ランキング: 147737
  • おすすめ度 3.5


普通の会社員市川吾郎がある日突然失踪し、1年後に、遠くの関係ない町で殺された。
その町には塔が3本建っていて、1本は壊れている。飛び地の丘がある、不思議な町だ。
そこに到着した「あなた」は、その町の伝説などを探りながら、死の謎に迫ろうとする。
謎の人物「あなた」の物語と町の人々の短い物語が時系列もばらばらに組み合わされた、
タペストリーのようなミステリである。

「あなた」へ語りかけるような文章に違和感と一抹の気味悪さがあって、
「あなた」と呼ばれている人がどんな人か全然わかんないのに
自分に語りかけられているような妙な感覚にぞくぞくする。
「あなた」って何者なんだろうと期待がふくらむ。
そして、町の住民たちが見た市川吾郎の姿が描かれることで、事件の全容が
外側から少しずつわかってくるようなそんなぞくぞく感もあって、最初はとても面白かった。

でも「あなた」の正体がわかったあたりで私のテンションは下がり、
謎が解けた時点でだいぶ脱力した。分厚い本だけに、最初すごくぞくぞくしただけに、
あまりの脱力ぶりに笑いまでこみあげてくるくらい。突き抜けてていっそ面白いわ。

ミステリというより、ある街の物語なんだと思う。街全体が主役、という印象を受けた。
仕掛け自体はすごくでかいし(まあだからこそ脱力もするのだが)、
殺人ネタがなくても充分面白かったんじゃないのかなと思う。
なんかいろんなネタがてんこもりで、あれもこれも詰め込みすぎた印象を受けた。
あとでつらつら考えてると、読者をミスリードさせるためだけに出てきたような人物がいたり、
昔の伝説とかでも説明がなされなかったりいろいろして、ちょっとストレスがたまる。
脱力していろいろどうでもよくなっちゃったけど。

恩田さんのミステリは、読み終わって納得したあとでも何かまだ謎が残っていそうな、
本当は違う真実が隠されていそうな、そういう余韻が残って終わる作品が多かった。
そういう作風には賛否あるだろうけど、私はその余韻がすごく好きだった。
でもこの小説は、やっぱり謎が残りまくってる感じがするんだけど、単に風呂敷広げすぎて
たたみきれなかったような印象だったなあ。それが残念。

ただ、最初はぞくぞくしてすごく面白かったし、短いセンテンスでたたみかけるように
事件や街の全貌を少しずつ小出しにしていく手法は読みやすいうえについ夢中で読んでしまうので、
読み終わったあとでも、全然面白くなかったとは思わない。思っていたのと違ったけど、
で、メッタ斬りコンビが言うところの「バカミス」ではあったけどね。
私はバカミス好きだからなあ。恩田さんがやってくれるとは思わなかったけど。

水路が多い街だったりとか、群像劇風だったりとか、「あなた」という呼び方とか、
今までの恩田作品で読んだことあるようなテイストがこれでもかと出ていて、
それもファンには面白かったです。

それにしてもこれで直木賞候補って。笑えますな。いい演技をいっぱいしてるのに
わざわざ「パイレーツオブカリビアン」でアカデミー主演男優賞候補になってしまう
ジョニー・デップを思い出しましたよ。どっちも、候補作に恵まれないんだよなあ・・・・。
ま、賞とかは取れたらいいけど個人的にはどっちでも読むので、好き勝手に
「恩田さんらしい」(といっても引き出しは非常に多いが)作品を書いてって欲しいです。
| comments(0) | trackbacks(2) | 15:55 | category: 作家別・あ行(恩田陸) |
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きのうの世界<恩田陸>−(本:2009年読了)−
きのうの世界クチコミを見る # 出版社: 講談社 (2008/9/4) # ISBN-10: 4062140616 評価:71点 独特の世界観で読むものを魅了する恩田ワールド。 開始早々、よくわからん2人称を使った珍しい文体で掴みはOK。そのまま現実なのか夢なのかわからないような不思
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