本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ミュージック・ブレス・ユー!!」津村記久子
ミュージック・ブレス・ユー!!
ミュージック・ブレス・ユー!!
  • 発売元: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/07/01
  • 売上ランキング: 168639
  • おすすめ度 5.0


津村さん、芥川賞受賞おめでとうございます。
「カソウスキの行方」が芥川賞候補になってから応援していた甲斐がありました。嬉しいわあ。
芥川賞受賞というと堅苦しいイメージがある人もいるかもしれない。
けどこの作家さんはそうではないです。笑いと共感とひんやりした冷たさが共存した、
でも何か強いパワーに満ちた物語を書く人で、私が今一番共感を覚えている作家かもしれません。
そして、普通の女性、よっぽど私って勝ち組で困っちゃうわって人以外は、
この作家さんに共感する人はとっても多いと思うなあ。

さてそんな津村さんの、これは個人的には最高傑作です。大好きだわこの作品。
高校3年生、バンドのベーシスト担当のアザミが、いきなりバンドメンバーに殴られて
バンド解散!みたいなところから物語ははじまる。
となると普通、アザミは新しいバンドに入ったり元のバンドが復活したりして
最後の文化祭でライブやろうぜ!みたいな話の流れになりがち、なんだけど、
そんな普通の話じゃない。
アザミは結局バンドも好きだけど、聴く方が好き。
ずっと音楽を聴いていないと落ち着かなくて、聴いた曲の感想をせっせと書きためている。
そんなアザミが受験という現実に直面、将来を見据える物語ではあるのだけれど。

アザミにはチユキっていう友達がいて、チユキはすごく正義感が強いというか、いや、
正義を全うするためなら何をやっても構わないと思っている子で、クールにすごいことをやる。
それも友達とか、友達じゃない女の子でもいい、その人を傷つける人がいたら許せない。
そんなチユキの酷い仕打ちに胸がすーっとしてしまって、で、アザミも、チユキにひどいことを
言った男に吐く暴言がまた爆笑もので、彼女たちの振る舞いには目が離せない。
二人とも友情べったりな台詞は一切はかないけど、すごく信頼しあってるのがわかるし、
こういう友達ってすごくいいなあ。ちょっと凶暴で驚いちゃうけど。

アザミ周辺はまた個性的な人が多くて、歯の矯正友達のモチヅキや、
音楽友達?のトノムラとかの男友達もいるんだけど、彼らがアザミの将来を
考えるのに影響を与えあったりもしていて、
そういう関係、緩いけど濃いみたいな関係も好ましい。

ライブ録音とか聴いてると、バンドのグルーブが絡み合ってその時しか作り得ない
奇蹟のサウンドが生まれている時がある。それはたった1回しかできない。
高校生活もそんな風で、アザミやチユキたちでなければ奏でられない一瞬のすばらしい日々、
迷いやもやもやや不安や楽しいことやらを、全部切り取ってくれたようなそんな小説。
もう戻れない日々がちょっと切なく、でもすごくすがすがしい気持ちになった。

アザミの悩みがとてもリアルだし、だから私も高校の頃もやもやしとったなあ、と思い出す。
なんとなく文章書く仕事がしたいな、なんてことを思って文学部に入ってみたり、
脚本が書いてみたいなんて思って一週間だけ劇団に入ってみたり・・・・
でもすぐ辞めたんだったなあ。なんてことを思い出しながら読んだ。
ああ、戻りたいなあ。
でも戻れないから、その時しかないからいいんだよなあ、高校時代って。

あと、大阪弁の話し言葉がとっても自然でした。私が普段使ってる大阪弁でした。
だからちょっと読みにくい人もいるかもしれんけど。なかなかあるようでないです、この自然さ。
梅田周辺の環状線とかの地名もいちいち書いてあったので、本当にアザミたちが
そこらへんをうろついてるような感じがした。その感覚もよかった。
| comments(4) | trackbacks(4) | 00:09 | category: 作家別・た行(津村記久子) |
コメント
お風呂でゆっくりと本読みたいです。
| あちゃも | 2009/03/19 9:20 AM |

本読みながら、日向ぼっこしたい
| こんちゃん | 2009/03/19 9:21 AM |

いいですよね、これ。最近津村さんを続けて読んだんですけど、アザミがもう少し成長したら『君は〜』のホリガイみたいになるのかもと思いました。
そして、津村さんの作品の主人公って、みんな別人でバラバラなんですけど、どこか繋がっているような気がします。
| たまねぎ | 2009/04/03 10:39 PM |

あたしもこの本読んでいます!!
凄くいいですよね、この本!!
アザミの意見に激賛成!!
| 猫田 | 2012/01/10 6:31 AM |

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