本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「イノセント・ゲリラの祝祭」海堂尊
イノセント・ゲリラの祝祭
イノセント・ゲリラの祝祭
  • 発売元: 宝島社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2008/11/07
  • 売上ランキング: 1113
  • おすすめ度 3.5


余談ですけど、つい最近「ジェネラル・ルージュの凱旋」の映画を見に行ってきました。
映画面白かったですよ。ドラマチックで。
映画「チーム・バチスタの栄光」公開までは、私の中では昼行灯の田口公平=堺雅人だったので、
田口公子と女性化して竹内結子がやることになってびっくりしていたら、
堺雅人がジェネラル・ルージュ役になっちゃってまた驚き、というキャスティングだったけど、
竹内結子のテンションの低さも案外合ってたし、怒ってる堺雅人もかっこよかったです。

映画ではわかりやすくしようとしたのか、田口公子はリスクマネジメント委員長に
祭り上げられてもまるでわけがわかんない、という風情でほんまかわいそうなのですが、
作品中での田口公平はこれは案外喋るのよね。昼行灯とは思えない有能さを時折発揮するのですが、
今回の「イノセント・ゲリラの祝祭」でも活躍してくれました。
今回は田口くんは厚生労働省に呼ばれます。「モデル事業」の検討委員会?での
意見を求められてせっせと発言したら、今度はそのモデル事業が解体され、
新たに医療事故なんとか検討委員会みたいな超長い名前の検討委員会が
開催されることになり、例によって白鳥の陰謀で田口くんは委員に選ばれてしまう。
そしてそこには医療事故の被害者代表として、バチスタ事件での被害者の遺族がいたりします。
世間では「神々の楽園」事件、宗教団体で死亡した死因不明の人々を解剖せずに済ませてしまう
事件が日々報じられていて、解剖の是非について議論が高まっている頃。
さて、委員会はどう転ぶのか。

AI提唱の第一人者であり医療業界の破壊神と呼ばれる彦根新吾、
ミスター厚生労働省、八神など今回も個性的なメンツが勢揃い、
委員会の委員たちもくせ者揃いでもあるため、そんな中で田口がどう発言し、
白鳥がどうかき回すのか?委員会の激論だけでかなり面白いのです。
ほとんど会議だけで進行する小説ってのも珍しいのですが、それが面白いってんだから
海堂さんの筆力は相当のもの。田口くんが発言する時はこっちまで緊張しちゃいました。

まあでも会議って面白いよね。実がなければないほどね。
変な意見が出て話がそれまくったり、対立意見が出て激論になっちゃって
まるで収集つかなかったり、そういう会議って発言にそれぞれの人間性が出ちゃったりして、
その丁々発止のやりとりが面白かったりする。

今回の会議も、専門家ばかり集められているけど実は厚生労働省の官僚たちの手のひらで
踊らされてるだけってからくりとかがあからさまになってきて面白い。
それにしても官僚たちの言い分って変だよな。やってますよってポーズだけ取ってる、みたいな。
彼らの言動を見ていると、変人のはずの白鳥が、まともに見えるから不思議です。

その会議を通じて、海堂氏は今の医療に対する彼の主張を、登場人物に語らせている。
死亡時画像診断の導入を主張しつつ、現在の解剖制度の問題点をあぶりだしている。
整然とした理論ってこんなに読み応えがあるものなのだなあ、と読んでいて思った。
現役の医者である著者の主張は説得力にあふれていて、あまりなじみのない分野だけど、
これ読んでたらAI、オートプシーイメージングなるものをもう覚えてしまった。
で、なんでやっちゃいけないのかよくわかんない。
遺体のMRI撮るんでしょ?解剖しなくても死因がわかるかもしれないんでしょう?
遺体のMRI撮ったあとに生きた人間を撮るのはどうなのか、っていう議論は、
じゃあ専用の機械を導入すれば済む話なんじゃないの?
って、これ読んだだけの素人が思うのは簡単なんだけどね・・・・。

エンターテイメントな小説の中にうまく主張を盛り込んで、
こうやって私のような一般人にも興味を持たせる、
このシリーズはずっとそういうスタンスでそれが小気味良い。
医者としての立場でこんなことしちゃって大丈夫かなあって気もするけど。
これで世論が高まるといいんだろうけどねえ、関係者って読んでるのかなあ。この小説。

まあでも言いたいこともあって、今回主張が強すぎて物語としての抑揚には欠けたかな。
これ自体が、次回からの波乱を予告する序章的作品でもあったので、続きがあるなら
教えておいてよって感じでもある。次回は桧山シオンさんが活躍しますかね。

また、田口が別の事件に巻き込まれたらしい経緯が省かれてたり
(他の作品で描かれてるんだろうけど)、
なんか北の方で事件が起こっていてまた姫宮が潜入してるらしいんだけど、
それがちらっとしか出てこなかったりして、ちょっと欲求不満がたまる物語ではあった。
シリーズで同時期にいろんな事件が起こっちゃって、全部いっぺんに読みたいわ!
って思うのがこのシリーズの長所でもありもどかしいところでもあるなあ。

とにかく次回作が楽しみです。
| comments(0) | trackbacks(3) | 00:09 | category: 作家別・か行(海堂尊) |
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