本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< January 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 「忘却の河」福永武彦 | main | 「土曜日」イアン・マキューアン/小山太一訳 >>
# 「平成大家族」中島京子
平成大家族
平成大家族
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2008/02/05
  • 売上ランキング: 93525
  • おすすめ度 4.0


大家族、緋田家の悲喜こもごもを描いた連作短編のような長編。
歯科医を引退した龍太郎と春子夫妻は、引きこもりの長男克郎をもてあましつつ暮らしていたが、
諸事情で長女の逸子夫妻と息子のさとる、次女の友美が出戻ってきて、
一緒に暮らすことになる。
春子の母、90代のタケもいて、総勢8名の大家族。
語り手が入れ替わりながらの連絡短編で、彼らの悲喜こもごもを描く。
いきなり、中学生のさとるが両親と川の字に寝ることに反乱を起こし
物置にこもったりと、突然大所帯になった一家は大騒ぎ。
長男はひきこもったきりだし長女の夫は無職だし、一家の主の龍太郎はかやの外だし、
なんとなく情けない男性陣。それに比べると、女性たちは気が強くて、
ちょっと抜けてるところもあっても、自立している感じがする。

次女の友美とまさに同年代なので、なんか共感しちゃった部分もあり、
いやそれは私はちょっと、って部分もあり、感情移入しながら読んだけど、
それにもまして面白かったのは引きこもりの克郎のお話。
本人曰く「引きこもったのは、引きこもったから」という克郎はもう世間に
出るに出られない状態なんだけど、そんな彼を外に引っ張り出すエピソードに
とても幸せになれたし、それが家族にもたらす大騒動もとっても面白かった。

中島京子さんはユーモアのセンスがとてもあって、本人達にしてみたらえらいことでも、
読んでいたらおかしさがこみあげてきて声に出し笑ってしまったりするんだけど、
その笑いがとても上品というかセンスがいいというか、絶妙だと思う。
最近家族を軸にした連作短編ってけっこうよく読むんだけれど、ありそうな展開でも、
中島さんらしい味付けがあって、読んでて楽しい。

家族が主人公の物語って、家族がわかりあえない寂しさ、とかが描かれてる事が多くて、
これって現代の世相を反映してるのだろうか、と思って哀しくなっちゃうこともある。
この本でも、さとるの悩みを母がわかってないとか、家族が理解し合えているようで
できてない現状が描かれちゃってるんだけど、なんだかそれでも寂しくはならなかった。
中島さん流の温かい目線が行き渡ってるからかなと思う。

ちょっと笑いつつ温かくなって、大家族も悪くないなあとか思った。
私はひとりっこだからきょうだいが欲しかったな、ってこういうのを読むと思う。
きょうだいだからと言ってもいろんな個性があって人間関係いろいろあるけど、
やっぱり家族って心強いもんなあ。そんな気持ちになれる、いい本でした。
| comments(0) | trackbacks(0) | 02:17 | category: 作家別・な行(中島京子) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/829814
トラックバック
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Selected Entry
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links