本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< June 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「ミュージック・ブレス・ユー!!」津村記久子 | main | 「マーブル・アーチの風」コニー・ウイリス/大森望訳 >>
# 「完全恋愛」牧薩次
完全恋愛
完全恋愛
  • 発売元: マガジンハウス
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2008/01/31
  • 売上ランキング: 47545
  • おすすめ度 4.0


牧薩次って作家ははじめてきいて、デビュー作かと思ったら、
昔よく名前を聞いた作家さんの別名でした。
牧薩次という人物が、そもそもその作家のシリーズ作品の探偵役の名前だそうです。
彼の作品をそもそも読んだ記憶がなく(あれだけ売れていたのに不思議だ)、
だから今回初めて読むことになる。だから牧薩次って名前にもぴんとこなかったんだけど、
知ってる人からしたら「おおっ」って感じなんだろうね。
「御手洗潔」とか「春桜亭円紫」って著者名で小説が出る感じ?
御手洗潔が書いた小説なら読んでみたいな。
タイトルは「完全恋愛」。完全犯罪なら、犯罪が誰にもわからないように
成し遂げられる、ってことだと思うんだけど、じゃあ「完全恋愛」って?
誰にも気づかれない恋愛?それって恋愛?

読むうちに納得してくるんだけど、最後まで読んだらまた違う意味で納得。
本格ミステリでありながら究極の恋愛小説、そんな前評判もなるほどでした。
こんな恋愛ってどうなのかなー。私には無理よなー、とは思うんだけど、
なんか感動してしまいましたわ。主人公たちは、ある意味幸せだったなと思う。

疎開してきた究は、そこで出会った小仏朋音という女性に惹かれる。
朋音の父は画家であり、いつしか究も同じ画家という道に進みながらも、
朋音への思いはずっと抱いたままであった。
敗戦後、アメリカの横暴な軍人が朋音を見初めたあたりから、
第一の事件ははじまり、究の、そして朋音の人生は動き出すのだった。

3つの大きな事件があり、それにはいろんな人の思いがもたらした
とんでもないトリックが仕込まれている。仕込みは大きく、しっかり伏線もはってあり、
その3つの事件がまた、全然別物ではなく、少しずつ次の事件に影響を
与えているのもうまいなと思う。久しぶりに本格的なミステリ、しかもでかいのを
読んだなあっていう手ごたえがずしりとありました。

他の伏線もね、あるところはすぐに気づくのよね。それで「ふふ、わかってんのよ」って
思いながらずーっと読み続けてたわけだけど、最後の真相で仰天する私。
そこまでは読みきれてなかったわーー!一つ推理したらすべてが解決したような
気になっちゃう、それで私をミスリードしたのかな、って思いました。
すっかり騙された・・・(でも他の方の感想を聞いてたらここまでうっかり
騙されたのは私くらいだなあとも思うのだった)
いいのです、ミステリは騙されたくらいのほうが楽しいのです。

で、最後の最後まで読むと、まるで別の物語が、ここでは語られてない
裏側の物語が浮かび上がってくるのですよね。それがまた「完全恋愛」なんです。
それに気づいたときに、ああ本当にやられたなあ、としみじみ思いました。
で、読んでよかったなあ、とまたしみじみ思うことになったのでした。

軽めの文体ながらも、昭和の時代の空気が伝わってくる時代がかった雰囲気も好きでした。
いろんな昭和の事件とか世相とかとうまく絡めてあるのも読み応えありました。

騙されたと思って読んでみてください。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:56 | category: 作家別・ま行(その他の作家) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/824743
トラックバック
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Selected Entry
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links