本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」F・スコット・フィッツジェラルド/永山篤一訳
ベンジャミン・バトン  数奇な人生 (角川文庫)
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (角川文庫)
  • 発売元: 角川グループパブリッシング
  • 価格: ¥ 500
  • 発売日: 2009/01/24
  • 売上ランキング: 739
  • おすすめ度 4.0


映画「ベンジャミン・バトン」を見てきました。
3時間の長丁場でシンプルなストーリーにもかかわらず飽きることなく見続けて、
最後にはしんみりとした感動をもらえました。とても寂しく、そして温かい映画でした。

ブラピが若返ったり年老いたりという映像技術にもさんざん驚かされました。
すごいわ最近の映画ってほんま。

その映画を見て、帰ってきて家の未読箱にこの原作本があったので、
他に読む本はあったのだけれど、読まずにはいられなくなり、一晩で一気に読みました。
原作は短編です。他に数編の短編が収録されてます。
映画公開にあわせて、フィッツジェラルドの未訳の短編をいくつか紹介しようという
思いもあって出された短編集のようでした。私のようにミーハーに、
とりあえず映画原作だから買っちゃえ、っていう読者でもフィッツジェラルドに興味を持てるし、
フィッツジェラルドをよく知っている読者にも嬉しい本なんじゃないかと思います。

フィッツジェラルドは村上春樹がなんか訳してたよね、的な記憶しか無く
(解説を読んで「グレート・ギャツビー」であることがわかる)、ほとんど知りませんでした。
この短編集を読むと、ミステリ、SF、ファンタジーととてもいろんなジャンルで
さらっと作品を書いているように思えます。「ベンジャミン・バトン」はもろSFですが
SF的設定がどうというよりはちょっと特殊な人間の一生という感じだし、
どの作品も、奇抜な設定でも奇抜じゃないような描かれ方が印象的でした。

「ベンジャミン・バトン」は映画と主人公の設定は一緒なんだけど、
映画では一応しわしわの赤ん坊として出生したベンジャミンは、ここでは老人の姿のまま産まれ、
いきなり老人として口をきき、映画のようなかわいげがなくってシュールな感じ。
その乾いたシュールさが全編を包んでるようで、映画でも言われていた「永遠なんてない」
ってメッセージが皮肉な形であらわになっているという印象です。
映画とはだいぶ展開も違いますし。映画は若返る設定だけいただいた別ものですね。
でも寂しさや皮肉さが際だつ見事な短編。

次の「レイモンドの謎」は普通にミステリなんだけどちょっとどうかなって感じで、
でもこれフィッツジェラルドの少年時代の作品のようで。まあそれをあとで聞いたら
そりゃすごいってなるんだろうけど、他にいいミステリを書いてるんだったら
そっちを載せて欲しかったかも。

もうひとつミステリ的要素が強い「ダンス・パーティの惨劇」の方は面白かった。
トリック云々よりちょっと田舎の若者の人づきあいのじめっとした感じがうまく描かれてた。

「最後の美女」は戦場で女性に対して恋愛とも友情ともいえる想いを持つ男性の話で、
互いの移ろう想いの変化を見事に描いているちょっと切ない物語。
私にはわからないけど北部とか南部とかの人へのこだわりが強く見られ、
そういう時代の物語なのだなと思った。

そして「異邦人」は、アメリカからヨーロッパにやってきた夫婦が自分の居場所を
見つけられずに移ろう様子が描かれる。孤独を目指しても結局人と関わらずには
生きていけない人の寂しさがつらかった。ラストは不気味で後味が悪い。

「家具工房の外で」も良かったなあ。
妻が家具を買う間に、夫が娘にお姫様や悪い鬼が出てくる話をする。
町の人がお姫様に見立てられて、普通の町並みがおとぎ話の町に変わっていく。
さりげない短い話だけどとても夢があって素敵だった。
でも、大人は子どもが見るような景色が見れない、その寂しさも垣間見させる。

犬が主人公の短編もありこれは犬好きとしては寂しい話だった。
全体的に、時の移ろいとか世の無常とかそういう寂しさを感じさせる作品が多かった気がして、
それはフィッツジェラルドの作風なのかどうかは他の作品を読んでないからわからないのだけど・・・。

いろんな視点の物語があってメリハリがきいてて、
フィッツジェラルド入門者の私も興味がわいてしまうような短編集。
他のも読みたくなりました。
でも解説によると未訳の作品が多いみたいですね。映画化を機に、
もう少し翻訳が進めばいいなあと思いました。
とりあえず「グレート・ギャツビー」に挑戦してみようかな・・・
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ベンジャミン・バトン 数奇な人生
観たい映画が、並ばずに、いい席で、確実に取れる 総評:★★★★★+A 公式サイト>> 監督:デビット・フィンチャー 主なキャスト ベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット) デイジー(ケイト・ブランシェット) クイニー(タラジー・P・ヘンソン)
| 朝を抱きしめて | 2009/02/13 10:34 AM |
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 F・スコット・フィッツジェラルド(著), 永山篤一(翻訳)
「F・スコット・フィッツジェラルド」の短篇集『ベンジャミン・バトン 数奇な人生(原題:The Curious Case Of Benjamin Button)』を読みました。 [ベンジャミン・バトン 数奇な人生(原題:The Curious Case Of Benjamin Button)] たまにはファンタジーもイイかなぁ
| じゅうのblog | 2015/06/01 10:23 PM |
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