本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ディスコ探偵水曜日」舞城王太郎
ディスコ探偵水曜日〈上〉ディスコ探偵水曜日 下 (2)

普段、直木賞作家とかを読んでいて、時々芥川賞作家も読んで、で、
「ああ、舞城さんって前に芥川賞候補になっていたな、じゃあ試しに読んでみるか」と思って、
いきなりこの本を手に取ろうとしている方がもしおられたら、それはやめた方がいいです。
初めての舞城王太郎がこの本ってのは、ちょっと・・・・。
舞城作品に耐性ができてから読んだ方がいいと思う。とりあえず、「阿修羅ガール」とか
「世界は密室でできている。」とか読んでみてですね(どっちも文庫で出てます)、
フォントがいきなり大きくなったり挿絵が入ってたりしてても平気で読めて、
で、この人いいかも、ありかも、と思った方がこれを手に取るなら大丈夫と思います。
ああ、ちまたの噂じゃこれ読む前には「九十九十九」も先に読んでおいた方がいいみたいです。
私はまだ読んでませんけど大丈夫でしたけどね。

だって舞城王太郎かなり好きな私でも、これ読むのちょっと大変でしたもんね。
久しぶりに読んだからってのもあるんだけど、「ああ舞城ってこんな感じだったな」と
思い出して感覚取り戻すのに少しかかったかなって感じでした。
タイトルの意味は主人公の名前。ディスコ・ウエンズデイって名前の探偵なのです。
物語は、えっと、本当に先がまるで読めない話なのであまり読まずに読んだ方が
面白いかも知れないけど、かいつまんで書くとですね。
迷子捜し専門探偵のディスコが日本にやってきて、山岸梢という6歳の少女を助け、
何故か一緒に住んでます。で、梢がある日突然高校生になって出てきて、
未来から来たとか言って、で、6歳の梢に戻ったら、梢は「大人の梢」に
体を乗っ取られてた時には「パイナップルトンネル」にいたというのね。
悩んでいるうちに梢の体は更に別の少女に乗っ取られ、
パンダ男が少女の意識を奪う事件が浮上して、
で、福井県にあるパイナップルハウスに行く羽目になって、そこに梢の秘密があるのか?
と思ったらそこでは推理作家が謎の死を遂げていて、名探偵が何十人も集結してて。

話の流れがまるで読めないのはこれ読んだだけでわかると思うんだけど、
普通の小説にあるような自然な流れがないんだよね。とんでもない方向にとんでいく。
いきなり理由もわからずぼこぼこにされたりさあ。
それがおもしろいとも言えるしついてけないとも言えるし。人は選ぶと思うわ。

パインハウスではイケメン名探偵たちがこぞって推理を披露するんだけど、
そもそもパインハウスってのがまん丸い部屋で仕掛けだらけで、次々と新たな仕掛けやら
解釈やら生まれてきてきりがない。それもとんでもないものばかり。笑ってしまう。
探偵たちの台詞やらいろんなところに出てくるんだけど、「探偵がいるから事件が起こる」とか、
「全ての物事がヒントになる」みたいな、名探偵が出てくる小説自体をちゃかしまくった
メタ小説みたいに読めるので、そこはすんごく面白い。
パインハウスの形状からして、推理小説をちゃかしてるとしか思えないしね。
確かに、旅に出るたびに事件に遭遇する探偵とかいるよねー。特にテレビに多いけど。
そして関係ないと思ったことでも実は全部伏線だったりする。そうそう。
全部伏線ってのはこの小説でもそうで、荒唐無稽な推理だからといって
無視もできないようになってる。

まあそんなむちゃくちゃな展開について行けて下巻まで進めたらあとは一気だと思います。
読むのに相当体力と気力がいるからがんばってね、って感じ。
上巻読んでやっと話が始まった気が私はしたので、どっと疲れたけどね。

下巻になるとSF的な物語になってきてもうさらにえらいことです。
時空とか空間とかの概念がわかんなくなっちゃうときもあるけど、図解とかしてくれて
(あの味のある絵は舞城さんが書いたんだろうか)、だんだんわかるようになるので大丈夫。
そしてこれ以上びっくりさせられることあったんだ、ってくらい衝撃の展開があり、
そしてエンディングはなんていうか、スケールがでかすぎて軽く想像を絶してますが、
もうその頃には作品に耐性できまくって細かいことまるで気にならなくなってるので、
「おお、すげー」と、うっかり感動までしちゃう、みたいな。
いやすげーよマジで(と、言語まで壊れるみたいな)。

ディスコって名前のわりには普通の男なんです。初恋の人ノーマ・ブラウンとの思い出を
いつまでも大事にしちゃってて、で、今は梢ちゃんを守ろうと必死になってて、
世界中の迷子の子どもたちを守ろうといつも思ってる。純ないい男なんです。
今回はとんでもないことに次から次へと巻き込まれてるけど
(ディスコがいるから事件が起こるという説ももちろんあるが)、
本人は至ってまじめにいろいろ考えてて、ディスコの思考だけ
取り出したら悩める青年の独白みたいでまた別の小説みたい。
展開はすんごい急なのにディスコだけついてけずに悩んでるみたいな時もあって
ちょっといらっとする時まであるくらいなんだけどさ。
とにかくただのいい奴なの。で、そのいい奴が世界を変えちゃうの。そんな話。

舞城作品は前から思っていたけれど、むっちゃくちゃな設定や文章やらで過激な印象あるけど、
根底に流れるテーマは気恥ずかしくなるくらい純粋な「愛」だったりすると私は思う。
すごい勢いでまっすぐに「愛」がこちらに伝わってくる、それを感じるのです。
斬新なようで古典的で普遍的な愛が込められてて、だから私は舞城が好きなんですよね。
なんか元気がもらえてしまう。
今回だって、意志の力さえあれば本当に何でもできちゃうような気持ちになれました。
強い意志さえあれば、世界だってきっと変えられちゃうのかもしれないな、なんて。
読むの疲れたけど、とっても元気になれる作品。
脳内を一回この作品でぐちゃぐちゃにして、また戻ってきてみてください。楽しいよー。

久々に舞城作品を読みあさろうと思いました。とりあえず「九十九十九」だな。

| comments(0) | trackbacks(1) | 22:47 | category: 作家別・ま行(舞城王太郎) |
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ディスコ探偵水曜日
舞城王太郎    新潮社  うっへー。えらい本に手をつけてしもた。ものすごくぶっとい。上下巻で、上巻621頁。下巻452頁。上巻は雑誌新潮に連載していたもの。下巻は1050枚の書き下ろし。上下合わせて3000枚ぐらいになるのではないか。  昨年の12月
| とつぜんブログ | 2009/02/06 9:40 PM |
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