本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ヴィヨンの妻」太宰治
ヴィヨンの妻 (新潮文庫)
ヴィヨンの妻 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 380
  • 発売日: 1950/12
  • 売上ランキング: 56566
  • おすすめ度 4.5


2009年は太宰治生誕100年らしいですね。これを読んだのは2008年なんだけど、
感想は2009年に書いています。遅くなったらたまたま100周年だった、ので、
いろいろネットとかで生誕100周年の関連記事を見ています。
太宰作品については映画化が相次いでいるようで、この作品の表題作「ヴィヨンの妻」も、
松たか子と浅野忠信で映画化が決まっているようですね。
なかなかいいキャスティングじゃないかなあと思います。
それに本読みとしては、川上未映子が女優デビューするらしい「パンドラの匣」も気になりますわ。

そして、今年生誕100年経ったのは太宰治と、それから松本清張もらしくて、
この二人が同年生まれってすごいびっくりしました。なんか松本清張は現代の作家で、
太宰治は明治の作家みたいな気がするんですよ勝手に。でもこの作品とか「津軽」とか読んでると、
太宰治も戦争と終戦を経ていることはわかるんだけど・・・。なんでだろうなあ。
生年は一緒でも、太宰の死後に松本清張は作家デビューしたそうで、
作家人生はかぶってないようです。

と、余談ばかり書きましたが。作品集「ヴィヨンの妻」。
絶筆「桜桃」も収録された、晩年の作品集、だと思います。
さまざまなテーマの作品がバラエティ豊かに収録されてはいるんだけど、
全体として、家族というものについて、家庭生活を平穏に送れなかったであろう太宰が
考え抜いている、そういう作品集、という印象が強いです。
妻も子どももいながら、外で遊び歩いている男、家庭に帰れないことに罪悪感を持ち、
その罪悪感ゆえますます家庭に帰れないような、そういうどん詰まりに追い込まれた男の姿が、
男の視点だったり女の視点だったりしながら描かれていく、そういう短編集に思えました。

どうしてそうなっちゃうのか、やりきれない話が多い、そんな中、
表題作の「ヴィヨンの妻」だけは、同じようなどうしようもない男、飲み屋でツケで飲みまくって
挙句に金を盗むような男なんだけど、妻と夫の関係がね、なんか、どうしようもない家庭だけど、
でもどうしようもないなりのやり方で、新しい関係を作っていこうっていうけなげさがあって、
夫婦の恋愛としても素敵だな、いい話だなと思いました。一番好きだなあ。
こういう、少しでも希望があるような作品ばかりだったらよかったんだけどなあ。
どうして、家庭にいることだけで太宰は苦しんでしまったんだろうなあ、と
切なくなってくる作品集でした。
赤裸々に自分の思いを書くこと自体が彼を追い詰めたのだとしたら、その必死の叫びを
読んでいる自分がやりきれなくもなります。

でも、太宰治らしいユーモアがなんとなくちりばめられていて、どれだけ悲惨な話になっても、
ほんの少しだけ暖かいんですよね。追い詰められながらも、読者へのサービス精神は
いつまでも忘れなかったのかなと思うとともに、
それはそれでしんどかったんじゃないかなとも思います。

あれですよね、作家としては作品だけを読んでほしい、作家としての生き様を作品に
重ねないでほしい、なんて思っていそうなんですけど、
太宰治に関してはついいろいろと思ってしまうのはとめられないなあ。
いい読み方じゃないと思うんだけど・・・

一つだけ異色な短編があってそれが強烈な印象だった。「トカトントン」。
戦争に行ってから、無気力になってしまった男の日常を淡々と描いているんだけど
これが怖くて怖くて。頭の中で音がする、すると力が抜けてしまう。
神国だと信じさせられ、全ての価値観を敗戦によってひっくり返される、
あんな戦争を経験してしまうと、こういう風になってしまうのかもしれない。
いろんな戦争の本を読んだけれど、ある意味この小さな短編が、
一番戦争の現実を示しているような、すごい恐怖を感じた。
あの時代の人たちの声、を極端な形で、でも実感を持ってあらわしてるような。
太宰治だけこんな風になったとも思えないし。本当に怖かった。

哀しい、怖い中にもユーモアが温かくて、私は最近太宰治が好きになりました。
教科書で知ってた時代には興味なかったのに不思議。
ある意味、ただの一作家として、好きになったのだと思います。
誰に読めといわれるでもなく。特別視するでもなく。
怖くてつらい読書でもあるけど、これからも読んでいこうと思います。

| comments(2) | trackbacks(2) | 22:28 | category: 作家別・た行(太宰治) |
コメント
自分も太宰の作品が大好きです。特に一番はやっぱりヴィヨンの妻かな。生きているだけでいいんだぁ、って自分がすっごく肯定されているみたいで。やっぱりあの作品が、一番太宰が反映されているというか…。教科書の作品は好きになれないな。走れメロスとか、これぞ道徳だ!見たいな感じで。やっぱり、人非人でもいいんだと思いますよね。人間なんて。むしろ、彼は人生を通してその価値観を貫徹した、そういうところがものすごいんだと思う。そりゃあ、彼自身すごく苦労したかも知れないし、悪いこともしたのかもしれないけど、それも全部含めて津島修治そのものなんだなって気がするな。では。
| fujimoto | 2012/11/12 12:45 AM |

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| addidas nmd | 2018/02/27 4:01 AM |

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