本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「闇の子供たち」梁石日
闇の子供たち (幻冬舎文庫)
闇の子供たち (幻冬舎文庫)
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 720
  • 発売日: 2004/04
  • 売上ランキング: 771
  • おすすめ度 4.0


タイで、貧しい人々が娘や息子を売り、生活の糧にする。
売られた娘や息子は日本人やアメリカ人観光客を相手に買春をし、臓器まで売られ、
死んでしまったらゴミとして捨てられる。
そんな現実をまるでノンフィクションのように描いた衝撃の一冊。
映画公開時から買って手元に持っていたんだけど、なかなか読む勇気が出なかった。
でも読んで現実を知らないといけない気がして、読んでみた。
でもあまり知りたくなかったかもしれない。だって知ったところで、
本当に私ごときには何も出来ないと打ちのめされてしまったから。

娘や息子を売る貧しい人々を責めても、売買が成立している以上は
買う側を責めても仕方がない。
誰が悪いんだろう?どうしたらよくなるんだろう?考えてもわからない。
ただ、あちらはどうしようもなく貧しいのだ。
彼らの生活の描写、買う側の描写など、タイ側の描写は克明を極め、
気分が悪くなる。しかもこれがきっとリアルなんだろうなという気がするから、
余計気分が悪くなる。読んでいられない。

そんな貧しい子どもたちを買うのが日本人だったりして哀しくなった。
それよりも、アメリカ女性が少年達を買いに行っているシーンがあって、
それがすごくショックだった。こういうのって男性だけだと勝手に思ってて
何となく女性は被害者のような気がしていたけど、違うんだと思って。
私だっていつでも加害者になれるんだ。金があって行く気になれば。怖い。

バンコクの社会福祉センターで勤務する音羽恵子は、現地の人々とともに
この過酷な現実に立ち向かおうとする。でも実際に貧しい人々からすれば、
酷い生活なのはわかっていて、でもどうしようもないのだ。
タイの人々は、子ども達を売る売人だって、子ども達を買いに来る外国人を
心底軽蔑している。もちろん子ども達だって、子どもを売らざるを得ない家族だって。
そんな外国人がタイの国を変えようとしたって、聞く耳持たないのは当たり前だ。
そんな気がしてつらかった。

チラシを撒いたり集会をしたり、やってほしいのはきっとそういうことじゃない、
貧しさを失くすことなんだろうなと思う。
それがきっとわかっててどうにもできない現地のボランティアの人々も本当つらいと思うし、
そんなこともみえてきて、なんかほんまきつい読書だった。

出てくる日本の人々が何故か型どおりというか、南部浩行にも音羽恵子にも
なんか人間味が感じられなくって、若い音羽恵子がどうしてタイに行って
懸命に働いているのかその動機も見えないし、恋愛もとってつけたみたいだったし、
感情移入はしづらかったけど、彼らの行動が淡々と描かれていて心理描写が
少ないせいで、ドキュメンタリーを読んでいるような妙な臨場感があった。

恋愛もとってつけたみたいだと書いたけど、最後の音羽恵子の決意に
つながっていくと思えばその効果は抜群だった。
なんともやりきれないラストである。これも小説らしからぬ結末で、
ご都合主義、とかがない。救われないものは救われない。
でもそれでも、人生をかけて立ち向かおうとする人がいる。
私ごときには何も出来ないと書いたけど、誰かの小さな決意が集まって、
何かが動くこともあるかもしれない。現実の厳しさを思い知らせながらも、
一抹の希望を添えることも忘れない、そういう小説だった。

ほんま重かったけど真剣にいろいろ考えました。
映画もご都合主義に陥ってないようにきいているので、一度見てみようと思う。
目を背けたいシーンばかりかもしれないけれど。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:28 | category: 作家別・ら、わ行(その他の作家) |
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