本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「フェルマーの最終定理」サイモン・シン/青木薫訳
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 820
  • 発売日: 2006/05
  • 売上ランキング: 1843
  • おすすめ度 5.0


文系です。数学は苦手でしたが、でも嫌いじゃなかったです。
計算ミスとかで貴重な点数を失うので(典型的O型、雑なのです)苦手でしたが、
小学校の頃は文章題がクイズみたいで好きだったし、
中学以降も、解けた時の嬉しい感じは好きでした。白黒はっきりして、
ああすっきりした、という、100%の満足感があって(めったに味わえなかったけど)。
少なくとも、解けてもなんとなくもやもやしてしまう国語のテストよりか好きでした。

まあでもしょせんは文系の人間なので、数学はど素人です。
この本を手にとってはみたものの、タイトルの意味すら全然わからず、
「フェルマー」とは人物の名前だというのも読むまでわからず、
こりゃ読みきれるかなと不安を覚えつつ読み始めました。

一気に読みました。すっごい、面白かった!文系でも全然大丈夫です。
フェルマーの最終定理っていうのは、昔のフランスの数学者フェルマーさんが、
自分のメモに残していたある式のこと。
「僕は解けたけど、スペースがなくてかけない」なんて意地悪なことを書いたまま、
フェルマーさんは逝ってしまい、謎だけが残り、それが300年も解けないでいたのだった。
公式をみたらどうってことないんだよね。三平方の定理の変形版みたいな、
別に難しそうに見えない公式。

そのフェルマーさんの示した定理(証明される前だから予想)を解くために、
いかに幾多の数学者が努力してあえなく撃沈していったか、という挫折の歴史が語られ、
そして最後に、ワイルズという数学者がその予想を証明するまでを描くノンフィクション。

数学は証明が全てだ。
例えばA=B+Cが成り立つ、とする。超簡単すぎてあれだけど、これだけの式でも
数学者はこれが成り立つ、という完全な証明をしないといけない。
白黒はっきり、が数学のよさだみたいなことをさっき書いたけど、ほんまにそうで、
完全に証明できなければその式は嘘なのだ。99%証明できたとしてもだ。
なんて容赦ない世界なんだ、数学界。そんなことも全然知らなかった。

まあでも(私からみたら)むちゃくちゃな論理もあって、
証明できないからってマイナスの数を作ってしまいましょう、とか、
はたまた虚数を作ってしまいましょう、とか、
証明するためにどんどんといろんな数が発見されてしまうわけですよ。
数というか、数の概念とでもいおうか。
それで私がどれだけ勉強苦労したかと思うとちょっと文句も言いたいけど(特に虚数)、
でもそこまでしてでも証明しようとする彼らの力技も面白い。

文系の私でも本当に楽しく読めて、読んだ直後はなんかすごーく賢くなったような
錯覚を抱くくらいだった(すぐ忘れたが)けど、
でもそれはこの著者のサイモン・シン氏の素晴らしい筆力のおかげだった。

例えば、フェルマーの最終定理の証明に必要だった「谷山・志村予想」というのがある。
それがどんなものかは読んでもわからない(わかる人にはわかるんだろうけど、
私にはさっぱりだった)、けど、その予想がフェルマーの最終定理に絡んでいるという
その関係性とか、その谷山・志村予想が解けたら数学界にどれだけ影響があるか、
そんなことはちゃんと理解できるように書いてある。
各定理だの予想だのの薀蓄は一般読者にはどうでもいいことで、
かいつまんで説明してくれればいい、でもその定理が結局なんなのか、
どう役立つのか、といったことは大事だから、ちゃんと説明して欲しい。
その読者のツボを心得た見事な書きぶりだった。
数学者が書いてたらこうはいかなかったと思う。ある意味部外者だからこそ、
これだけ面白いドキュメンタリーに仕上げられたんだと思う。

幾多の数学者の人間ドラマ、そんなものもとてもドラマチックだった。
谷山氏、志村氏といった日本人が深く関わっているのも誇りだし、
彼らのドラマも印象深いものがあった。
でもなんといってもワイルズ氏の孤独な戦いはすごくって、
いったん証明したと思ったら致命的な欠陥を見つけた時の彼の葛藤、
そしてそこから導き出す結論、それは感動的だった。
やったあ!!と思った。

ペン1本で戦ってる人たちのドラマ。
数学なんて役に立たない、そう思われてそうだし実際私もそう思ってたけど、
数学者の妥協を許さない精神、あくなき探究心、そんな徹底した努力が、
何かを動かしてる気がしてならない。
そんな人たちのたゆまない歩みはこれからも続くのでしょう。

数学の絶対的な美しさというか、そういうのに触れて、すごく興味がわきました。
次は「素数の音楽」を読んでみたいな、と思ってます。
余談ですが、映画「容疑者Xの献身」で、数学者が四色問題を解いてるシーンが
ちょっと感動的でしたが、その四色問題も出てきてました。
数学者が言ったとおり、確かに「その答えは美しくない」なあと思いました。

| comments(0) | trackbacks(0) | 21:50 | category: 海外・作家別サ行(その他の作家) |
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