本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ボートの三人男」ジェローム・K・ジェローム/丸谷才一訳
発売元: 中央公論新社
価格: ¥ 680
発売日: 1976/07
売上ランキング: 23588
おすすめ度 4.5
posted with Socialtunes at 2008/10/27


気鬱に悩まされた男3人、ジョージとハリスとぼく。
ぼくは肝臓が悪い。なんせ肝臓病の症状を見ていると「仕事をしたくなくなる」、
これはまさにぼくの症状だ!ということでぼくはあらゆる病気にかかっていて
一つだけかかっていない病気があったのを見つけ、悔しいくらいなのである。
ジョージもハリスも類友で似たような感じだし、
これは三人でボートでも漕いで、楽しい気分になろうではないか。

そして彼らは凶悪な犬、モンモランシーも連れてボートに乗り込んだ。
怠惰でむちゃくちゃででも憎めない彼ら3人のボートの珍道中、さあご一緒に。

いやーむちゃくちゃ楽しかった。薄い本だけど1週間くらいかけて、
のんびりと読んでいました。ちょうど体調もちょっと悪かったし、
なんか仕事でちょっと失敗してへこんだ時期、でもこれをだらだらと読むと、
すんごく気楽な、なんでも人のせいやら病気のせいにして平然としてて、
でもすんごく楽しそうな彼らと一緒に旅をしてるような気持ちになって、
なんかつまんない失敗とかでいつまでもうじうじしたりはやめようかな、
なんて妙に晴れやかになってしまったのが不思議。

だって彼ら本当にあかん人らなのになんか楽しそうなんだもの。
ボート漕いでるとスピードが早いスチーム・ランチって舟が脅威なわけで、
彼らはそれが憎らしいから後ろからきててもどいたりしないで、
えらい邪魔をしたりするわけ。だけど次の章では、知り合いのスチーム・ランチに
ボートを曳いてもらってて、そしたら「前のボートがスチーム・ランチの
邪魔をするのが耐え難い」みたいなことを平気で言ってのけるわけ。
立場が変われば言うこともころりと、何の罪悪感もなく変わってしまう。
そんな彼らのあっけらかんとした感じが、なんともいえないおかしみを生んでいて、
何度笑ったことか。最初はくすくすだったのが、最後らへんはなにを読んでも
笑いのツボで、爆笑してしまった。鱒の話のおかしかったことといったら!!

でもなんか、くす、っと笑ってゆったり読みたい小説ではあって、
爆笑するなんて下品な気がする、なんともハイレベルな上質なユーモアが
全体に漂ってるのです。
ネタでもギャグでもなく、ユーモア。
ああこれが「ユーモア」っていうんだな、って改めて思うようなユーモア。
ここでしか読めないレベルの高いもので、イギリス人のセンスって恐ろしすぎる、と
ジェロームさんだけでなくイギリス全体にびびってしまうような本でした。

イギリスの地理や歴史に詳しかったらどれだけ楽しいんだろうな。
町の景色や歴史に思いを馳せる文章が続くところもあって、それがまた情感豊かで、
やっぱりゆったり読みたくなる。このメンバーで淀川とか下ってくれないかなー

景色を眺めていたら、彼らの思い出話に話が摩り替わり、それがまたろくでもない
爆笑エピソードばかりで、一気に笑いにもっていかれるその緩急も素晴らしい。
どれだけえらいめにあってんだか。ちょっとしたことでも、彼らにかかると
命がけの勝負みたいにえらいことになってしまっておかしいんだよなー
テント張ったり缶詰開けたりするだけで、もう本当に大騒ぎなのです。

そして時々大暴れする凶悪な犬、モンモランシーもいい味出してます。
最後まで彼らととんでもない旅をだらだらと続けられて私は幸せでした。
そしてラストまで爆笑!!ほんま最後まであかん人らでかわいいわ。

さらにこれは書き忘れちゃいけない、丸谷才一氏、名訳です!
読みやすくてウイットに富んでてこのユーモアのよさを存分に伝えてます。
ステキです。

コニー・ウイリスがこれのオマージュとして「犬は勘定に入れません」を書き、
(もともと「犬は勘定に入れません」はこの作品のサブタイトル)
私はそれをとっくに読んでて、「面白い!」って思ってたんだけど、
それって何年前?また再読したくてうずうずしちゃってます。
なんか、この三人男とどこかですれ違うシーンがあったような・・・。

| comments(0) | trackbacks(0) | 00:02 | category: 海外・作家別サ行(その他の作家) |
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