本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「点子ちゃんとアントン」エーリヒ・ケストナー/池田香代子訳
点子ちゃんとアントン (岩波少年文庫)
点子ちゃんとアントン (岩波少年文庫)
  • 発売元: 岩波書店
  • 価格: ¥ 672
  • 発売日: 2000/09
  • 売上ランキング: 135398
  • おすすめ度 4.5


はじめての岩波少年文庫。
そしてケストナーを今までろくに知らなかった私。ああなんて物知らずなんだろう。
「飛ぶ教室」の人なんですね・・・(そして「飛ぶ教室」も読んだことがなく、
最近まで教室が飛ぶ話だと思っていました。違いますよね・・・?)
もう、海外作家さんはほんま知らない人ばかりです。
これからどんどん頑張って読みます。

小さな頃から海外の作品ってどんどん読んでおけば良かったなあ。
すごく余談だけど、
何故か中学1年のときに「あのころはフリードリヒがいた」を劇の脚本にしたのは
覚えてるんだけど(先生にやれと言われたのではなく、自主的に題材にした)。
そして大人になってそのとき一緒のクラスにいた友達に、
「あのときすんごい難しい劇やったよな!」といわれたこともあったけど・・
あのころは私も読んでたな、いろいろ・・・・。
あの柔軟性を取り戻したい今日この頃です。
話はそれまくりましたが。

点子ちゃんは、小さい頃小さかったから点子ちゃんと呼ばれていて、
家はお金持ちで、お父さんは社長で、お母さんは毎晩おでかけばかりして、
点子ちゃんは養育係のアンダハトさんと、家政婦のふとっちょのベルタさんと過ごしている。
でも点子ちゃんには秘密がありそうだ。

そして、貧乏な町で暮らしているアントンは、点子ちゃんの大事なお友達。
点子ちゃんと彼にも、秘密がありそうだ。

物語は面白い形式をとっていて、一章が終わるごとに、ケストナー氏が読者に語りかける。
登場人物の勇気について、感謝の気持ちについて、偶然について、などなど、いろいろと。
それで立ち止まって読んで、なるほど、と物語を深く味わうことができるし、
見えなかった物語の奥の部分も見えてくる。
大人の私はとっくに見えてなきゃいけないことかもしれないのに、いちいち気づかされる。
それが全然説教臭くも押し付けがましくもなく、こんな風に絵本を読んでくれる
お父さんがいたら、ステキだろうな、と素直に言うことをきけそうな語りで、
だからケストナー氏の語りがとっても楽しみだった。
ケストナー氏にならいくらでも説教されたいな。子どものころでも、素直に聞いたな。
すごく納得できるし、理不尽じゃないから。

勇気について、ケストナー氏は言う。友達を殴っちゃったアントンの勇気は蛮勇だ。
勇気は、知恵もなければならない。本当の勇気を彼は教えてくれる。

点子ちゃんの空想好き(これはだいたい好ましいものなんだけど、たまにやりすぎる)に
警告したり、「知りたがりは、よろこびの命取りになる。」とか、
書き写したいようなことがいっぱい書かれていて、改めて目を開かされた気持ち。
人間として初心に帰れるというか、大事なことを教えてもらえる、そんな本。

点子ちゃんは貧乏とか金持ちとかに価値を見出してない子どもで、
空想好きで、ちょっと空想しすぎで、ちょっとおせっかいもするけれど、
友達のことをとても大事にする、とてもいい子。
アントンも、お母さんの誕生日を忘れてしまった自分を激しく悔やんだり、
点子ちゃんのために大活躍したり、とてもいい子。
ちょっとケストナー氏に苦言を呈されたりする二人も、すごくまっすぐで、
他者を思いやれる想像力を持っていて、人間としてとてもまっとうで、
周りの大人たちもちょっとだけダメだけど、本当に悪いやつはいなくて、
憎むべき人物もいなくて、出来すぎなドラマかもしれないけど、
結局人は普通に生きてて、いいことも悪いことも幸せも、普通の形で落ち着いていく。
とびきりの不幸もなく、それなりに。

そしてそれこそが、人が人を思いやって普通に生きていく、ただそれだけのことが
どれほど難しいか、どれほど理想か。でもだからこそどれほど大切か。
この本が教えてくれる。

ちいさな幸せと、たくさんの言葉をもらった。心が漂白されるようないい本。
子ども時代にも読みたいし、大人になっても、読みたい、そんな本。
読んでよかった。


| comments(2) | trackbacks(0) | 23:39 | category: 海外・作家別カ行(その他の作家) |
コメント
大好きなんです、ケストナー。「アントン」もいいけど、ぜひ機会があれば「飛ぶ教室」と「ふたりのロッテ」を。これに「エミールと探偵たち」を加えると私の永遠のケストナー三名作です。
昔の児童文学を読んでいると、昔は商売目的ではなく、大人が子供に語りかけたい想いがたくさんあって、そしてそれを伝えていかなければいけない、と思ってたんだなあと。
「あしながおじさん」「続 あしながおじさん」「クリスマス・キャロル」「赤毛のアンシリーズ」「モモ」「偉大なワンドゥードル最後の一匹」「飛ぶ船」「メアリー・ポピンズシリーズ」などなど今でもよく読み返しますし、私にとって海外への憧れも、新しい文化を覚えるのも大体こういう本たちからでした。エントリに入っている「クレヨン王国の12ヶ月」もいいですよー。さらに日本の児童文学のおすすめとしては柏葉幸子「霧の向こうの不思議な町」もよいです。おすすめです。
| 蒼 | 2008/10/15 10:49 AM |

読書好きな30歳女子です。

児童文学、私も大人になってから読み返した作品はもち
ろん、初めて手に取った作品で心に残るものが多いです。

柏葉幸子「霧の向こうの不思議な町」は小学生のときから
のお気に入りです。
メアリー・ノートンの「小人の冒険シリーズ」も大好き
で小さな友人に憧れました。

次何読もうかなと考えるとき、まっさきに参考にさせて
いただいております。
いつもありがとうございます。
| ぬりえや | 2008/10/16 1:06 AM |

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