本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「エディプスの恋人」筒井康隆
エディプスの恋人 (新潮文庫)
エディプスの恋人 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 460
  • 発売日: 1981/09
  • 売上ランキング: 9152
  • おすすめ度 4.5


高校の教務課で勤務する七瀬。その学校には不思議な生徒がいた。
とんできたボールが「彼」の目の前で砕け散るのを目撃した七瀬は、
彼の心を読み、彼の精神の異様さに驚く。
「彼」は自分と同じ能力者なのか?
「彼」を守る「意志」の存在を察知する七瀬だが、
いつしか彼女は「彼」に激しい恋をしていた。

「七瀬ふたたび」から続けて読むと、「?」である。だいたい続けて読む人は、
「ぎゃーどうなるのこれ!」って焦って次を手に取ると思うので、更に「?」である。
私は最初これを読んだとき、そのことばっかり気になって読んでしまったので、
本筋を見失っていた気がする。それはまあ仕方のないことなのだけど。
再読したので、比較的冷静に読むことができた。

読めば読むほどすさまじいシリーズである。シリーズなのか?主役は同じだけど・・・
3部作として読んだらもうとんでもなくって、小さな一家庭の悲喜こもごもから出発した七瀬が
一体どこまでいってしまうんだ、ともう絶句するしかない。
シリーズとしてのつながりもむちゃくちゃで、でもそのむちゃくちゃ加減が非凡というか、
普通そんなまとめ方しないやろうと驚いて、ちょっとあきれてしまう(褒めてます)。
筒井康隆はやっぱりすごい、としか言いようがない。

この3部作は、最初読んだときにずっと驚きっぱなしで、時間が経って話の内容を忘れても、
驚いたことだけはずっと覚えていて、強烈に印象に残っていた。
この三部作を今から初めて読む人にも、やっぱり驚いて欲しいなと思う。

ということであらすじはあまり書かないが。タイトル通りと言えばタイトル通りのお話であり、
シリーズ中ずっと引っ張ってきたネタ、七瀬がとうとう処女を喪失する、そんな話でもありますが、
そのシーンで赤字の台詞が出てきた時は「ひっどいなあ」って苦笑しちゃったよ。

しかしあきれるほどものすごいスケールの物語で、
ふええ、世界ってこんなんなっちゃってるのかよ、とか、こんなんだったらどうするよ、と、想像を絶してしまう。いやーありえないんですけどね。
スケールでかいけどやること小さいよ、みたいな・・・

冷静に読んでみると、女性の進出についてものすごい皮肉が込められた話である。
「エディプスの恋人」が書かれたのは1977年、調べてみると、
そろそろフェミニズムが台頭し始めた頃らしい。均等法は1985年にできて、
そのあとセクハラが流行語大賞になったのは記憶にあるけど、だんだんとそうやって
女性が主張するようになっていったのはもうちょっと先のことであるが。
この物語には既に、女性が強くなって言ってることに対して筒井氏なりの答え?が
出ているのである。あまりにむちゃくちゃだけど。
書かれた時期を考えると、予言とも言える先見の明に驚きもする。

そんな社会的なことを抜きにしても、女ってのはこういうもんだよな、っていう皮肉が
全体からすごく漂っている。利己的で自己中心な女の性をある意味描ききったというか・・・
それがあまりにスケールでかく突拍子もないので、女なのにまるで怒る気にもならないし、
そうだよなあ、って思ってしまう不思議。

「銀齢の果て」でもそうだった。社会の仕組みによって老人同士が殺し合うひどい話だったけど、
あっけらかーんとしていて、全然怒る気になれなかった。筒井氏本人が老人になってから
書いてるってのも大きいんだけど。人徳というか、あまりに痛烈な皮肉も、
徹底的にむちゃくちゃにやれば怖くないというか、そういう感じかな。
そして、後期高齢者医療改革とやらで、「年寄りは死ねっていうの!」ってキレてる
母をみるにつけ、「銀齢の果て」を思い出して予言みたいだなと思ってしまった私だった・・・・
いやだよ、そんな世の中。これから私も年寄りになるんだから。

優れたSFは予言書にもなり、未来にも痛烈な皮肉を残すのだなあ。

むちゃくちゃなエンターテイメント三部作、今読んでも古くなく、文句なく面白かった!
ドラマ化が決まって書店で入手しやすいこの時期に是非。

| comments(1) | trackbacks(0) | 02:14 | category: 作家別・た行(筒井康隆) |
コメント
初めまして。
つながりが全くないようで、でも無理矢理に関係づけてしまっているこの3部作。すごいですよね(^^;)。
はじめは、いろいろなことを考えてしましたが、結局の所、結論は…筒井康隆はすごいという所に落ち着きますね(^^;)。
TB失敗したようですが、送らせていただきました。
よかったら、遊びに来てください。
それでは、失礼いたします。
| 波野井露楠 | 2008/11/08 8:30 AM |

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