本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「家族八景」筒井康隆
家族八景 (新潮文庫)
家族八景 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 460
  • 発売日: 1975/02
  • 売上ランキング: 7051
  • おすすめ度 4.5


筒井康隆は中学時代に塾の先生に勧められて以来ファンになって、
高校、大学とけっこう読みふけったのを覚えている。
塾の先生も、何の教科の足しにもならない筒井氏を薦めてくれちゃって、
何やってんだか、と思うけど、とてもいい先生であった。

その読みふけった中でも、七瀬三部作、この「家族八景」と「七瀬ふたたび」、
「エディプスの恋人」については何年経っても強烈に記憶に残っていて、
またいつか読み返したいなと思っていたので、またドラマ化もしたことだし(?)、
再読してみることにした。

ということで、私が持っている本は上のような装丁ではなく昔のもの。
値段も300円代の年代もの(?)である。
さて。七瀬シリーズは強烈に記憶にあるので(確か既に2回ほど読んでいる)、
読み返さなくてもだいたいの内容も覚えてたりするんだけど、
何度読んでも面白いもんは面白いな、と改めて思う。

当時は斬新に思えたSFも、今となっては日常的に読んでいるけれど、
超能力者を主人公としたこのシリーズは、SF慣れした今読んでも、
無駄がなくて安定した物語構成で、やっぱり面白く読んだ。
ただ、1作1作は普通なんだけども(「エディプスの恋人」は普通じゃないか・・)、
シリーズ全体として読むととんでもない斬新さを持っているシリーズで、
それがとてもおもしろいのです。
シリーズとしてその飛躍はあり得ない!!と今読んでもやっぱり驚いてしまう。
筒井康隆はやっぱりただ者ではないと思わせるのだった。
是非、このシリーズは全作品読破をおすすめします。

さて、七瀬シリーズのスタートを切るこの「家族八景」。
若くて美しいテレパスの七瀬が、家政婦としていろんな家庭に入り込む。
そこの家庭のおぞましい姿が8つの短編で描かれている。
筒井版「家政婦は見た!」である。

昔読んだときはあまりこれについては印象に残ってなくて、
シリーズの2作目3作目の方が強烈だった。派手だからなあ。
でも今読んだら案外これが一番面白いんちゃうかな、って思えてきた。
テレパスで人の心を読める七瀬が家庭に入り込むことで、一見円満に見える
その家庭の茶番が見えてくるのだけど、短い中にすごくぞくぞくするドラマがある。

いきなり「無風地帯」では、
鈍感になることで主婦としてなんとかやっていっている女の姿が見えてくるし、

その次の「澱の呪縛」は、不潔な家の家族が自らの不潔さに気づく、という
非常におぞましい展開で、うちも不潔だから人のこと言えないよ!と愕然としたし、

「青春讃歌」では若さにしがみつく中年女とそれを苦々しく見ている旦那が
痛々しく恐ろしかったし、

「水蜜桃」のおぞましいことと言ったら!でも定年を迎えた男性の生きがいなんて、
現代に直結する問題じゃないか、と思うと今読んでも全然古くないし、

「紅蓮菩薩」では七瀬の秘密に少し迫る展開だったけど、ここでも鬱屈した
主婦の怒りが恐ろしく、

「芝生は緑」では隣の芝生が青いとばかりに隣家の相手と不倫する話で
七瀬の悪女的たくらみが妙に功を奏してしまうという皮肉めいた結末に笑え、

「日曜画家」は主人の日曜画家の抽象的概念の正体がわかる過程がすこぶる面白く、

「亡母渇仰」ではマザコンの母の葬式のあまりの恐怖にこちらも
心の中で絶叫してしまう。

と、一気に全部感想書いたけどどれもこれも短いのにインパクト大で、
こう並べてみると似たような作品になるはずなのにどれも印象が違って、
でも深層心理のおぞましさや家族という仮面が剥がれる時の恐ろしさ、
そんなものは共通していて、どれもぞっとしつつ目が離せない。

今回読んでみて気づいたのは、七瀬も相当曲者よね、ってこと。
夫婦の愛を試してみたりといろいろたくらんでいて、かなり悪い女じゃないか。
そして彼女は人の心が読めるせいで自らの美しさを知っている。
それが彼女をますます美しく残酷にしていっているような気がした。

昔読んだ時は七瀬は可憐ないじめられキャラとして私の中でイメージされてて、
彼女のささやかな残酷さに幼い私は気づいてなかったようだ。
そしてそれに気づくと、彼女のしたたかさが物語に面白さを加えていることにも気づく。
ただの語り手ではなく、悪意ある狂言回しの七瀬は魅力的だった。

いやあ、しかし、テレパスの七瀬が美しくてよかったよね。
そもそも人の心なんてかけらも読みたいと思わないけど、何がいやって、
相手が私のこと「デブ」とか「ブス」とか思ってたらまず耐えられないよ。
それが事実だけに洒落にならないし、劣等感で外に出られなくなる。絶対。
ただでさえ、空気を懸命に読んで頑張ってるつもりで、世の中全体が
空気読めよみたいな空気(くどいな)が蔓延してて苦痛なのに、
そこにいる全員の心が読めたらもうまるで身動きとれなくなってしまうと思う。
怖すぎる・・・。
そう思うと現代っぽいテーマでもあるのかもしれないな。
家政婦とか女中さんとか出てくるのに、古さをまるで感じなかったのは、
そのせいだったんだろうか。いや、気のせいか。

七瀬はこの作品集では、一人だけテレパスであり、誰も理解者がいないという
運命と戦っていたり、テレパスの能力をひたかくしにするために
過剰な自己保身に走ったりもするんだけど、そんな彼女が味方と出会う、
それが「七瀬ふたたび」なのでした。
| comments(1) | trackbacks(1) | 23:45 | category: 作家別・た行(筒井康隆) |
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七瀬のおもひで・『家族八景』(1)
 何気なくネットのニュースを読んでいたら、筒井康隆『家族八景』(新潮文庫)が、『家族八景 Nanase,Telepathy Girls’Ballad』と題して2012年1月からテレビ化されるとあって、ちょっとびっくりした。というのも、この小説は『七瀬ふたたび』『エディプ
| 私の中の見えない炎 | 2011/12/03 7:19 AM |
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