本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< June 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「ラギッド・ガール―廃園の天使鵺」飛浩隆 | main | 「黄金旅風」飯嶋和一 >>
# 「阪急電車」有川浩
阪急電車
阪急電車
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2008/01
  • 売上ランキング: 2754
  • おすすめ度 4.5


阪急今津線を行って戻ってくる小説である。というしかない小説である。
各停車駅毎の短編になっていて、そこで乗り降りしてくる男女達の悲喜こもごもが描かれる。

構成がとにかくうまくって、AさんとBさんがやりとりして降りて、その会話を聞きながら
Cさんが乗ってきて今度はCさんの事情が語られて、電車内で出会うDさんEさんは
次の駅まで行って、といった感じにお話がつながっていく。それがすごく面白かった。
そうだよなあ、電車っていろんな人生や事情を持ったいろんな人が乗り込んで
いろんなこと考えたりしながら同じ場所に乗ってるわけで、
よく考えたらすごく気まずい場所というか、エレベーターで知らない人と
二人だけじーっと乗ってると気まずいけど、あれの集団バージョンというか、
変な場所だなあ。と改めて思う。
でも、この本みたいに出会って話して、人生に関わったりすることも、
ないとはいえないわけで。たまたま自分と同じ電車に乗り合わせるってだけでも、
一期一会なんだなあ、とか思うと、なかなか感慨深いものもある。
電車で本ばっかり読んでたらあかんねー。

そういえば、思い返せばいろいろな人間模様があった。
終電で酔っぱらっててゲロ吐いて殴られたりしてる人とか、
そういう修羅場は見たことがあるしなあ。車掌さんが止めに入ってた。
そういう時って乗客が一斉にメールを打ち始めたりするんだよね・・・。
結局酔っぱらった人が、(殴られたからではなく)すっかり意識がなくなって、途中でおろされてた。
大丈夫だったかなあ。

ま、そんな感じでいろんな人が乗ってるけど、
でも、この小説みたいに、電車で男女が出会っていきなりそんなラブが、ってことは
我が身においては皆無だし、そうなってる人たちも見あたらないけど、
そうか、もしかしたらあり得るのかな、と思って、それはそれでまた新鮮でした。
通勤電車って同じ人ばかり乗ってるもんね。そういや感じのよさそうな男性もいるけど、
その人とお知り合いになるかもしれない、なんて考えたこともなかったな。
だからといっていきなり話しかける気にはなれないなあ。何かきっかけがないとなあ。

いろんなラブ模様がてんこもりで、さすが有川さん。胸キュン満載です。
枯れていた私の乙女部分が養分をもらって潤った感じでした。
でも「図書館戦争」ほどテンションが高くなくて、だからそこまでキューンと熱くなる
ほどでもなかったけど、ゆるゆると幸せな気分になれていい感じでした。
図書館でよく出会って同じ本を取り合ってた二人が、電車でも出会うシチュエーションが
本好きとしてはすごく妄想がふくらんで良かったです。
私も図書館ではきょろきょろしてみよう。電車で良く会うあの人がいるかもしれないわ。

翔子さんのエピソードもベタオンパレードだったけど印象深いです。
美人の男の彼氏を寝取る女のやり口もあまりにもベタ過ぎるし、
その結婚式に寝取られた女が白いドレスで行くなんて、更にベタすぎる!
でもそのあまりにベタな感じが読ませるし、白いドレスで堂々と参列した翔子さんは
かなりかっこいいと思った。実際なかなかできることじゃないよね。
でもそうやって結婚式をぶちこわして二人の将来に泥を塗る復讐は、
やっぱりやってる本人もむなしいわけで、そういう空しさを、電車の中の出会いとか、
途中で降りた駅とかで少しずつ捨てて、過去を捨てて身軽になっていくのが面白かった。

やっぱり人生一期一会だよなあ。小さな出会いも大きな出会いも大事にしたいな、と思える、
ラブ全開の素敵な連作短編集でした。軽く読めるし、枯れてる女子はどうぞ。

余談だが、私は阪急電車で大学に通っていた。残念ながら今津線ではなかった。
阪急は梅田から利用してたので、正直今津線を知らなかったが、阪急電車の雰囲気はわかる。
南の方の電車とは違う、北摂のちょっと上品な雰囲気がある。
通学時はそうでもなかったけど、今は他の路線より携帯の利用を厳しく制限している感じがするし、
お客さんもあんまりべらべら喋らないし座り込まないし、
電車でものを食べたりもあまりしていない感じ。

余談だが、南の路線ではいろんなものを食べている。全部本当の話だが、
お菓子(私も食べてる)やらマクドナルド(強烈なにおい。)やらは日常茶飯事で、
ひどい時には、551の肉まん(しかも満員電車。すさまじいにおいだった)、
寿司(醤油つけてた)、焼きそば(ずずずとすすってた)、
カップラーメン(お湯はどうしたんだ?)まで!
ちなみに、ボックス席なんぞない、普通の電車である。そこで箸を使う人々・・。

まあそんなこんなで地元のマナーの悪い路線に乗り慣れた私にとっては、
阪急電車はとにかくお上品、というのがイメージ。
でもこれを読んでいたら、「阪急電車でも鞄で席を取っているおばさんがいるんだなあ」とか
「うるさい女子高生もいるんだなあ」とちょっと安心した。
しかしさすがにカップラーメンは食べないらしく、残念だ。

| comments(2) | trackbacks(2) | 23:18 | category: 作家別・あ行(有川浩) |
コメント
ええっと、ずいぶん前におぢゃました気もするのですが・・・
先日NHKのインタヴュー番組「トップランナー」にも出ていた有川氏ですが、わたしには大ヒット「図書館戦争」シリーズはちっともピンときませんでした。しかし自分が「阪急今津線」沿線に住んでいたこともあって、この連作短編集はど真ん中でした。その後自衛隊の「ラブコメ」シリーズにも手をつけ、なかなかよいなと思っているところです。
| チョロ | 2008/09/17 3:45 PM |

はじめまして。
いつも読書感想を読ませてもらってます。

私は有川浩さんが大好きなんです!!特に阪急電車がお気に入りなんで,コメントしてしまいました。

人と人とが連鎖していくという構成が凄く面白いですよね。私的に、パンク少年の話とえっちゃんの彼氏の話が好きです。でも、時江おばあちゃんと翔子さんも捨てがたいですね。

では、これからも頑張って下さい。
感想楽しみにしてます。
| 流架 | 2008/09/18 11:33 PM |

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/795131
トラックバック
有川浩「阪急電車」
大学の後輩がブログでも紹介してたので、読みました! 阪急電車 アニメ化もされている「図書館戦争」を書いた売れっ子ライトノベル作家・有川浩(ありかわひろ(女性))の最新作です。 普段、小説はほとんど読まないし、読んだとしてもSFか歴史物かミステリー
| TOM1.0的ブログ | 2008/09/17 10:58 PM |
阪急電車<有川浩>−(本:2009年24冊目)−
阪急電車クチコミを見る # 出版社: 幻冬舎 (2008/01) # ISBN-10: 4344014502 評価:85点 楽しかった。 関西ローカルな阪急電車。しかも今津線。なんとまあマイナーなところに目をつけてそれを小説なんぞにしたものだ。 前書きで著者は阪急電車のことを「鉄
| デコ親父はいつも減量中 | 2009/02/17 12:16 AM |
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Selected Entry
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links