本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「美女と竹林」森見登美彦
美女と竹林
美女と竹林
  • 発売元: 光文社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2008/08/21
  • 売上ランキング: 437
  • おすすめ度 4.0


待ちに待った森見さんの新刊。
タイトルがステキである。ビジョトチクリン、響きもよい。
新刊というだけで中身をなーんにも知らずに買う。
新作小説かと思っていたら全然違って、度肝を抜かれた。ジャンル不明。
エッセイ?本人は随筆とか書いてるけど、妄想日記?
なんだろうこれ。ジャンルはしかしどうでもいい、むちゃくちゃオモチロイ。
何度も爆笑した。電車読み注意である。
作家の登美彦氏は竹林にたたずむのが好きである。
作家稼業の行き詰まりを見越して、竹林経営を志し、多角的な経営を目指す。
同僚が洛西に持っている竹林を刈ってよい許可を得て、
親友の明石氏と竹林伐採に乗り込む登美彦氏。
竹林を刈りすぎて筋肉作家になり両腕に美女をぶら下げて歩く自分を想像しながら
竹を刈るんだけど、全然はかどらない。
このままじゃ男がすたる、と明石氏と奮起するが、明石氏は司法試験があり、
登美彦氏は登美彦氏で、子どもたち(「夜は短し歩けよ乙女」など)が活躍しはじめ、
締切次郎にも追われていて、なかなか竹を刈りに行けない。
そんな登美彦氏の苦悶と妄想の日々が綴られていく。

森見さんを初めて読む人は、この本から読まない方がいいような気がした。
なんじゃこいつ、あほちゃうか、ということになりかねない。それほどの独自路線である。
作品を読んで、登美彦氏のキャラクターを受け入れられそうな人が読んだ方がいいと思う。
登美彦氏のために言い添えておく。

MBC(モリミー・バンブー・カンパニー)設立に向けての妄想がどんどんふくらみ、
果てはSFですかという域にまで達してしまい、妄想は大きく羽ばたくけれども、
実際やってることは、淡々と小さな竹林を刈ってるだけ、
その妄想と現実のギャップのすさまじさが爆笑を誘う。
森見さんあほよねー。いい意味で。

竹林をテーマに連載を始めちゃったから、結局編集さんまで巻き込んで
竹を刈ってるあたり、なんか本末転倒ちゃいますかと思うんだけど、
誰もが竹を刈り出すと夢中になるので、楽しいのかなあ、いいなあ、と
ふとうらやましくなってしまったりする。
淡々と体を使って、鬱蒼と茂った竹林を刈り、日光が差してきたりするのは、
実は楽しいだろうなと思う。しんどいだろうけど。

竹を刈ってたら腰を痛めて座り込んでしまい、竹の気持ちになって
「竹は寂しいなあ」と感じたりする登美彦氏の文章は、独特の侘び寂びがあって、
たかが竹林のことなのに、読ませるし、オモチロイ中にある情緒にしんみりもする。

MBCがらみの妄想もとどまるところを知らないんだけど。
机上の竹林、とはいい発明だなあ。
机の上に小さな竹林。癒されるー。是非欲しいわー。
最後の方の妄想はぐんぐんと大きくなって、やりすぎやろと思ったあたりで
しっかりオチがあり、かなり笑えた。
身の程を知ってるよね森見さん。ステキ。

っていうか、美女はどこですか。本上まなみさんしか出てこないじゃないですか。
いやまあ本上まなみさんはたいそう美女だしたいしたもんだけど。
しかし登美彦氏も、あわよくば本上まなみさんに会いたい、でもまだ早い、と思っていたら
あっという間に3回も会ってしまうんだから、ほんまたいしたもんである。
3回も会ってても雲の上の人、というのが気の毒ではあるけど。
NHKの「トップランナー」に出た話もほんの少し書かれていて、

「幼年時代に書いた原稿を憧れの女性に朗読される。しかもそれがお茶の間に流れる」という、見たことも聞いたこともない羞恥プレイを味わった登美彦氏がいかに激しく悶絶したか


実際その羞恥プレイを見ていた私は大笑いしてしまった。
確かに、見たことも聞いたこともない。

そんな風にほとんど美女は出てこないで、「俺は嫁を大事にする男だ」と
誰にでもいいから伝えてくれ、という明石氏(最高だよ)と登美彦氏、
その他の仲間たちは、そして竹を刈り続けるのだった。
これはただ単にそれだけの本。

登美彦氏は言う。

「竹林経営のバイブルたらんとした文章を、無意味で楽しいだけの文章にしてしまった。」


無意味で楽しい。それでいいじゃないですか。
無意味で楽しいだけの文章でこうやって笑って気が晴れている女がいるわけで。
そのばかばかしい無意味さが貴重で楽しく、とってもステキな本だった。

見ろ、竹林の夜明けだ。


| comments(2) | trackbacks(1) | 23:08 | category: 作家別・ま行(森見登美彦) |
コメント
こんばんは。

森見さんの新作待っておりました。
私も今日、図書館から借りてきたのでこれから楽しみます。
金曜の夜、部屋から不気味な笑い声が…
家族には申し訳ないが、声を堪えさせず、堪能します。
| kazumi | 2008/08/29 10:00 PM |

こんにちは。
強いて言えば(言わんで良い気もするが)「妄想系私小説」というところでしょうか。
何の役にも立たない無意味な内容を適度に格調高く語るところは、
内田百梁臉萓犬離┘奪札い砲眥未犬沺ΑΑΔ擦鵑??

私事ながら私は庭木に水やりするだけで十数か所を蚊に刺される
「蚊に蚊にホイホイ」体質なので、冬以外に竹林に踏み込んだりしたら
どのようなことになるか考えただけであっ鳥肌がすみません。

それにしても美女はどうした。
いや本上さん美女ですけど竹林とは全然からんでないし。
| 木曽のあばら屋 | 2008/08/30 12:47 AM |

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| しんちゃんの買い物帳 | 2008/09/30 10:28 PM |
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