本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「影武者徳川家康」隆慶一郎
影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)
影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 740
  • 発売日: 1993/08
  • 売上ランキング: 11055
  • おすすめ度 4.5


画像は上巻だけですが、上、中、下巻、3分冊です。

関ヶ原の合戦がまさに始まろうというその時。
徳川家康は、西軍の武将、島左近が放った刺客、甲斐の六郎に殺された。
10年影武者を務めていた世良田二郎三郎は、とっさの機転で家康になりきり、関ヶ原を勝利に導く。
本来雇われ兵であり、「信長を射った男」でもある二郎三郎はただ者ではない。
家康になりきって理想の世を作るため奔走するが、二代将軍秀忠の残忍な魔の手が次々に迫る。
風魔衆など味方につけて、彼は抜群の機転でそれを乗り切っていく。
3巻もありますが一気に読めました。しばらく心は戦国時代にとび、
粋なじいさんたちの痛快な冒険を喝采しながら読んでいました。
いやあ、爽快爽快。大変面白かった。

最近日本史を扱ったバラエティ番組が人気で、私もよくみるんだけど、
家康影武者説もいろいろあるし、そのうちの一つには違いない。先駆けだと思うけど。
この本でもしっかり文献も出てきて、この記述は奇妙だが家康が影武者だと思えば
納得がいく、とか、そういうフォローが絶妙なところで入っているので、
単純な私はなるほどそうかも、って思ってしまうのだった。
荒唐無稽な設定に微妙に加わる信憑性が、物語の楽しみを増していた。

読み始めは、関ヶ原の合戦も終わってしまって、あとは夏の陣と冬の陣だけなのに、
それで3冊もあるのかあ、とちょっと不思議だったんだけど。
意外、敵は豊臣家ではなく、身内。
とはいえ影武者からしたら赤の他人である、家康の息子の秀忠だった。
彼は将たる器ではなく、自分のことしか考えてなくて、小心者でせこいし、ほんまいやな奴。
関ヶ原の合戦には遅れて行って恥をさらしてるし、親孝行な息子を演じ続けているけど
中身は残忍で陰険。でもいちいちやることが小さくっていらいらするし、
自らでは天下統一はできない、家康の存在=二郎三郎が必要であるとわかっていながら、
すぐにキレて二郎三郎に危害を加えようとする、その根性も気に入らないのよ。嫌いやわー。
と、そんな男が権力を持ち、柳生を味方にしてしまうことで、
その残忍性をあらわにしてしまう。
ボスキャラはダメダメやけど、戦いはいつも水面下で、忍者と忍者との壮絶なもので、
柳生と風魔、武田の忍びも入り乱れての攻防戦は、ものすごく読み応えがあった。

二郎三郎側の陣営の人たちがものすごく魅力的。本来雇われ兵で戦国の世なのに
主君への忠誠、とかいうのと無縁だった二郎三郎は、とても自由な精神の持ち主で、
自分や主君によかれというよりは、こういう世界にしたいという展望がある。
戦のない、キリシタンや門徒衆や武士や農民、どこにも所属しない「公界の者」と
呼ばれる者まで、誰もがそれぞれの主義を全うし自由に暮らせる世界、
彼が目指した世界がまたステキだ。その彼の人間の大きさに感服して、
いろんな男前たちが立場を超えて集まってきて力になっていく。
島左近、甲斐の六郎、風魔小太郎、風斎、いずれも豪快で気持ちのいい人物ばかり。
彼らの活躍を読むのは本当に楽しかった。

二郎三郎の若い頃の物語も上巻で描かれるが、若くて自由でやりたい放題な二郎三郎と
ともに過ごした本多正信の存在も忘れがたい。
彼が二郎三郎と過ごした若い日々を読むのも楽しいものだった。
その後は二人は紆余曲折あるけれど、強い絆が一本通っている。
二郎三郎との友情と、徳川家への忠誠との狭間にいた本多正信。印象的だった。

とはいえこのかっこいい男たちはほとんどおじいちゃんなんだけどね。
関ヶ原からだから家康59歳とかで、正信なんか70歳過ぎても馬に乗って駆けたりしてて、
想像すると大変そうでちょっと面白くなっちゃうけど、
普段はそんなこと忘れちゃうほどみんな大きな夢をもっていて、
心がでかい男たちだから、とても若く感じて、かっこよかった。

女も少ないが印象的な人たちは出てくる。二郎三郎が家康に成り代わったとき、
一番最初の難題は、家康の側室たちをどう説得するか。
これが大問題になっててちょっとにやりとしてしまったが、
側室たちがまた、男前なんだよね女だけど。
情に厚くてなんだかかっこいい。一番の理解者お梶の方とか。
側室じゃないけど女忍びのおふうとか。
戦国の世を強かに生きている女たちも、かっこよかったです。

物語もぐいぐい読ませるし、キャラの魅力も存分だし、すごく面白い。
最初難しそうだと思ったけど、読んでよかったです。
日本史苦手な人でもそこそこフォロー入ってて読みやすい方だと思うけど、どうかな。
私はまあ、大河ドラマを毎年見て、「信長の野望」で全国統一したこともある
わりと戦国に詳しい女、なので、そこはさっぴいて聞いてください。
戦国の武将をかなり知ってる女ってどうなんだろうね。はは。

余談だけどこのあとまた「信長の野望」をやって、徳川家康モードで
島左近と風魔小太郎を全国から探し回って、敵地にいたので説得して
登用しようと頑張っています。
が、彼らにはすげなく断られていて、寂しいです・・・・。
| comments(0) | trackbacks(1) | 22:30 | category: 作家別・ら、わ行(その他の作家) |
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「風が鳴っている」「この二日、大風が吹き続けでございます」 何事もないように六郎
| COCO2のバスタイム読書 | 2009/09/05 1:29 PM |
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