本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「象られた力」飛浩隆
象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)
象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 777
  • 発売日: 2004/09/08
  • 売上ランキング: 82542
  • おすすめ度 4.5


飛浩隆氏はずーっと気になっていた作家で、今回やっと手に取った。
この方、1992年に「デュオ」を発表してから2002年まで作品を出さなかったそうで。
リアルタイムで「デュオ」を読んだ人はそりゃあ待たされたんだろうな、
私だったらこんな面白いの読まされたら、早く次が読みたくていらいらしちゃうわ。
今は飛氏の作品は3作品あって(でも少ないけど!)いつでも読めて、幸せだな。
そう思わせられる、すさまじい作品集。日本SF大賞受賞作。
ここんとこ日本SF大賞読みあさってたけど、すごい賞だわ・・・
全部読みたいくらいだけど。気合が要る、重厚ですさまじい作品が揃っているなあと。
SFって想像力の産物だと思うし、今までも私の貧しい想像力を凌駕する作品を
たくさん読んできたわけだけど、この作品でもまた非常に驚かされた。
想像を絶する想像力。特に「象られた力」の斬新さには驚くばかりだった。
SFにそんなに詳しいわけでもないから、本当に斬新かはわからないけど、
私にとってはすごく意表をつく世界観で。モノグラムが力を発揮する世界・・・。
乏しい想像力を駆使して読んで、自分の中で一から世界を構築しないといけなかったけど、
そうやって見知らぬ世界が目の前に立ち現れる感じに、すごくぞくぞくした。

そしてそれがまた、短編だったりするのが凄いんだよね。
全く一からまるで想像もつかない世界を作り上げて、それをあっさり短編で
使い切ったりするあたりが贅沢ですごい。一応、シリーズ化を予定してたみたいなことは
あとがきで書いてあったけれど。どうなんだろ。

とか書いていると、すごく難しそうな印象もあるかもしれないけど、
文章は現代的な文章で、適度にちりばめられたユーモアもセンスがあって、
文章自体はすいすいと読みやすく、すんなりと異世界に入れた部分もあった。

簡単に一つずつ感想を。
長めの中編「デュオ」、「象られた力」が特に面白かったけど、
4編とも外れ無しのすごい力を持った中篇集だった。
だいぶ前に読んで圧倒されて感想をなかなか書けず、漠然とした感想になってしまったが。

「デュオ」
ピアノが弾けなくなり調律師になったピアニストは、ある時調律を頼まれたピアニストの
音に魅了される。そのピアニストは露出を嫌い、謎のままだったが、
彼に会った調律師はその秘密を知ることになる・・

一番SFらしくなく、とっつきやすい。
この短編集では唯一の現代(異世界じゃないという意味)もの。
ミステリの要素もふんだんにあり、最後まで気を抜けず、完成度の高い短編。
最初からこれがきてるんだからすごい作品集だ、と一気に期待が高まる。

秘密のあるピアニスト、マネージャーのチェリスト、主人公の調律師、
人間的な魅力の高いそれぞれが出会って生まれる、ドラマティックな展開を夢中で読む。

魅力的なピアノには何が大切かがわかっている描写。技術ではなく、思いをいかに込められるか、
ピアニストの命運はそれにかかっている。それこそ悪魔に魂を売ってでも、
それを必要とする人だっているだろうな。
天賦の才能を取るか、自らのアイデンティティを取るか。そんなことを思ったが、
それは私が音楽をやる身だからかもしれない。

ラストのコンサートシーンは圧巻。ぞくぞくした。

「呪界のほとり」
呪界という閉ざされた宇宙空間で、そこでは水を沸かせたりと不思議な力が発揮できる。
その呪界からひょんなことで出てしまった男と案内役の恐竜は、呪界に入ろうとねらっている
老人と知り合うのだが。

かなり短い短編でもったいない!
魅力的な異世界があるのに、世界を理解した頃に終わってしまうようなところがあったので。
肩に乗る小さな恐竜も非常に味があり、老人もユーモラスで、文章などに一番おもしろみを感じた。
展開も短いながらスリルに富んでいて、最後には「運命」みたいなことをふと考えて
気持ちがしーんとなってしまうような結末が、しかし軽妙に語られる。

壮大な物語の序章であると言われてもすぐ納得できる。むしろそうあって欲しいし、
ここから始まる果てしない物語を読みたい!ととても思った。

「夜と泥の」
星々の地球化が進む世界。ある星の沼では、機械と生物の壮絶な戦いが繰り広げられ、
その原因にはプログラミングされたある娘の影が・・・

もともとこの作品集のどの作品も、なんかぞわっとしたりと感覚に訴えてくることが多いですが、
これが一番濃厚だった。映像が浮かんだり、熱帯のむわっとした空気が伝わってきたり。
虫たちや鳥たちの声、風の音、全部聞こえてくるようだった。濃密な空気ごと読んでいた。
生物たちの戦いはおぞましくて美しく、そしてラストシーンもぞっとするほど美しくて。
グロテスクさというのはどうして美しさにつながっていくんだろう、と思うと、
空恐ろしくもあった。短いが一番密度が高い短編だ。

「象られた力」
星々が企業によって次々と地球化されていっている世界。
突然消えてしまった百合洋(ユリウミ)という惑星。近くの惑星シジックの
イコノグラファーのヒトミは、百合洋の幻の文様について調査を依頼される。
「形」が力を持ち、それを身につける人々に影響を与えていた百合洋の文明。
ヒトミの恋人や、ヒトミがいる創作者が集まるアパートメントでの幼い兄妹など、
百合洋の「形」に魅せられている人々は多い。
そしていつしか、街中にその形が蔓延するようになっていく・・
百合洋の謎の文様とは何か、百合洋はなぜ消えてしまったのか?

すごく衝撃的だった。「形」が力を発揮するということ自体が斬新で、
最初イメージが沸きづらかったけど、どんどんのめり込んでしまった。
最初の時点で、百合洋に続いて惑星シジックとも交信不能になることが、
読者には情報として与えられている。破滅に向かう惑星の有様がとても残酷で
とても美しくて、酔ってしまいそうだった。

ラストの展開は壮絶としか言いようがない。
急に下世話な話になるけど、正直ラストを読んでるあたりでトイレに行きたくて
困ってたんだけど、限界まで我慢して読んだ。でも鳥肌がたっていたのは
そのせいばかりではないと思う。読むのを本当にやめられなかった。

だけど、ほんまのオチはなんだかくすっと笑えたりもして、
その緩急の差がまたすごくて、そこも魅力だったりした。

人々を魅了する百合洋の形。そして百合洋の文明を引き継いだ、
繊細な建造物の数々。どんなものか見てみたいものがたくさんあった。
視覚から、感覚全体に訴えかけていく不思議な感じ。どんな感じだろう。
それにしても、どうしてこんなこと思いつけるんだろう。凄いな。

形、それはブランドのロゴマークとか、私たちを魅了しているもの(私は興味はないが)に
通じるんだろうか。あれはあれで、力を持っている気がする。
それを持つだけで自分のステイタスがあがる気がするという力。余談だけど。
| comments(2) | trackbacks(0) | 00:56 | category: 作家別・た行(飛浩隆) |
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