本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「苺をつぶしながら」田辺聖子
苺をつぶしながら
苺をつぶしながら
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2007/08
  • 売上ランキング: 18664
  • おすすめ度 5.0


「言い寄る」「私的生活」に続く、田辺聖子の乃里子三部作の最後です。
結婚して離婚して一人になった、乃里子の新しい生活が描かれてます。

デザイナーだった乃里子は、結婚して旦那の意向で一旦仕事をセーブしてたみたいだけど、
離婚後3年経ってやっとまた軌道にのりはじめます。そのころからの物語。

結婚を「刑務所」、今の状態を「出所」「娑婆」と言ってしまう乃里子。
お友達感覚でいろんな男と仲良くしていて、自由に過ごしているけれど、
あるとき前夫の剛と再会して、ふたりの関係が微妙に変化していく。

乃里子は「言い寄る」の時の奔放さとは違って、落ち着いている気がする。
男友達のよさというか、男と人間同士でやりとりする、その楽しみや深さを、
乃里子は知ったんじゃないかなと思う。だから男と出会ったらすぐに関係したりとか、
そういうことはしなくなっていて、でも女を捨ててるかといえばそうでもなく、
大人の女の自由を満喫しているあたりが、いいなあと思った。

恋愛経験が非常に薄いくせに、男友達のありがたさだけは妙に知っている
私なので、やっぱり男女の関係は友情に限るよね、とふと誤読したくもなる。
いい時期も辛い時期も、出会いも別れも乗り越えた男性と、最後に友達になる、
そういうのって、なんだかすごくいいなあ、と思うのだ。
剛はただのおぼっちゃんだし、私の好みの人では全然なかったけど、
彼に情がわいてしまっている乃里子と、いい関係が続きそうな、
そんなラストにいい余韻を感じた。

なんかでも、全体的にエッセイのようだったのが少し物足りなかった。
人生をいろいろ経験して悟った女性が、気取ったことを言っているような雰囲気が
全体から漂っていて、お洒落なんだけどさ・・。結婚して離婚したけれど
まだまだ私と同い年くらいの乃里子は、まだまだ試行錯誤して、
気取ってる場合じゃなく生きていかないといけないと思うんだ。
まあ、そんな風に楽しく、日々を満喫する時期があってももちろんいいし、
大好きな女優ベベの台詞を引用して、かっこよく気取っている時期だって、
あっていいと思う。私が女優の台詞なんぞ引用して悦にいってたって、
全く似合いやしないので、ただひがんでるだけなのかもしれないな。

でもね、「出所」して乃里子が一番、魅力的な女性に見えるのが皮肉なもので、
このシリーズ三部作を読んでると、ほんま結婚について考えてしまう。
束縛されて、「妻」や「母」を演じて、それでいいのか。
多少束縛されても演じることになっても、幸せならそれでいいと思うし、
ふと我にかえって寂しくなっちゃったら、ダメなのかもしれないし。
読んでたら結婚なんて・・・とブルーになるけど、乃里子は乃里子、私は私、
まあとにかくやってみなけりゃわからないよね。なんてことも思う。
私の人生三部作はまだ1部で止まってますわ。ずっとこのまま1部かもしれないし、
ささっと3部まで行っちゃうかもね。3部があったらダメなんだろうけどね。

最後に、やっぱりタイトルがすごいわ。「私的生活」のタイトルも相当しびれたけど、
「苺をつぶしながら」というタイトルに、自由な独身生活の女性の姿が、
端的に表現されてると思う。読めばわかるのがまた心憎い。



| comments(0) | trackbacks(1) | 12:42 | category: 作家別・た行(田辺聖子) |
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| ダーツ | 2008/06/21 3:08 PM |
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