本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「私的生活」田辺聖子
私的生活
私的生活
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2007/07/18
  • 売上ランキング: 4181
  • おすすめ度 5.0


「言い寄る」「私的生活」「苺をつぶしながら」の3部作の2作目。
「言い寄る」では独身時代の乃里子の奔放な生活が描かれていたが、
今度は結婚3年目の生活。
一途に思っていた五郎を諦め、遊びのように楽しくつきあっていた中谷剛に言い寄られて
結婚し、金持ちの剛のマンション(マンションで結婚を決めたようなものだった)で
楽しく住んではいるけれど、中谷家のごたごたに巻き込まれたり、乃里子の仕事、
デザイナーの仕事ができなくなったり昔の仲間と会えなくなったり、と、
生活は一変していく。そんな中での、乃里子の気持ちの変遷を描く。
私も年頃の独身女で、結婚は当然したいと思ってるんだけど、
今まで長い間一人でいて生活スタイルもできあがってしまってるし、
読書三昧の今の生活を崩したくないなあと思ってしまう。私の生活も尊重してくれて、
家事も分担してくれて、旦那は旦那で好きなことやって、休日は時々一緒に遊ぶ、
そんな生活が理想だなーと思うんだけどさ。まあ、友達とかいろんな人の話を聞くに、
結婚すると生活はがらっと変わるし、女性は特に自由がなくなるし、
休日とか好き勝手やってそうな男友達でも、家のしがらみにとらわれて、
だんだん良くも悪くもいいお父さんになっていってる。
個性的な人、攻めるタイプの人もだんだん守りに入っていく感じ。
ちょっと寂しく思いながらも、それが結婚というものではあるんだろうな、と思う。
でも、多少自分が変わってしまっても、帰る場所があって居場所があるのは
心の安定につながる気がするのだ。

そんな穏やかな結婚生活を送っていたはずの乃里子の心の変遷は、怖いものでもあった。
生活観の違いすぎる夫と過ごす日々。お金に対する感覚も違うし、生き方も価値観も違う、
そういう夫と過ごしていくうちに、夫の生活にあわせていく、そしてだんだん自分が消えていく。
男と比べて器の大きい乃里子だから、夫のそんな部分も許容してしまう。だからこそ、
無理が生じるのかな、と。男は無理しなくて好き勝手やって、女がそれを許して、
そして自分自身を縛っていく、その悪循環。
最初は環境がかわっても、贅沢をしたり、と自分なりに楽しめていた乃里子だけど、
些細なことがだんだん蓄積されていく、些細な嫉妬とか、旦那の所有欲にかられた行動とか。
それがたまっていって引き返せなくなる過程が、生々しくて、私にはホラーみたいに怖かった。
こうやって自分が消えていく生活、私には我慢できるだろうか?

もちろん結婚は全てこんなではない、お互いを尊重して幸せにやれている家庭だって
いくらでもあるだろうと思うけれど、壊れていく生活の一つのリアルな例として、
私にはこの話はすごく響いてきてしまったのだった。
夫が殴ったり、借金したり不倫したり(あ、浮気はしてるみたいだが)、といった
劇的な展開ではないがうえに、リアリティが増して、迫ってくるのだ。

「私的生活」の言葉にこめられた深い意味がわかった時に、うまいなあ、と思いつつ、
少しぞっとした。

昔に書かれた話だけれど、乃里子がデザイナーで自由に仕事をしていたり、と
現代的な女性だったこともあって、違和感なく読み終えた。だからまあ余計、
怖く思ったんだけど。

まあ、結婚には、多少の犠牲はあるとしても、なるべく自分のまま、ありのままで
過ごせるような、そんな相手とちゃんと出会えたらいいなあと思います。

しかしこんなに別荘持ってる金持ちってなかなかお目にかかれない気がするなー。
玉の輿ってそりゃいいなあ、って思うけど、乃里子と一緒で貧乏性の私は、きっと無理だなと思う。
最初から玉の輿を狙って結婚する女の子って、自分の価値観とか生活とか、
全部捨てて、そこで嫁として、母としての自分を築いて、生きていくのかなあ。

漠然としててうまく言えないけど、普段から思ってることだけど、
一方には、結婚して嫁となり母となり、初めて完成する女性、
他方には、一人で自立して自分らしくいて、それで完成する女性。
そういう2方向にわかれているような気もする。
どちらがいいとか悪いとかではなくて、そういう種類があるというようなことを、
私はなんとなく思ってるんだけど、自分自身がどっちともとれないんだけど。
限りなく後者に近いが、一人で完全に生きていく自信はないなあ。
| comments(2) | trackbacks(1) | 01:17 | category: 作家別・た行(田辺聖子) |
コメント
この3部作は20数年前に読みました。ちょうどリアルタイムに主人と恋愛中だったこと思い出します。もうそのときには田辺聖子さんは今の私の年齢より上だったと思うのですが、若い女性の気持ちが本当に良くわかるなあと感心しながら読んだ記憶があります。「赤ん坊の頭くらいの大きさの海綿」なつかしいです。
| パートママ | 2008/05/30 9:13 PM |

パートママさん
わー、いい話ですね(そうなのか?)なんかちょうど結婚を考えたりしている時期にこれを読んでしまうと別な意味で考えてしまうというか・・・。そんなことはなくてよかったですね。
| ざれこ | 2008/06/13 12:01 AM |

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倉田真由美 結婚
Q漫画家の倉田真由美さんをどう思いますか?自分はだめんずを批判しているのに、今だめんず(と思われる人物)と結婚しているじゃないですか。全く説得力ないと思いませんか?A学ばない女だと思います。「自分が最後の女になればいい」と言ってますが、本気で思っているん
| 芸能ニュース | 2009/11/10 3:56 PM |
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