本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「オブ・ザ・ベースボール」円城塔
オブ・ザ・ベースボール
オブ・ザ・ベースボール
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,200
  • 発売日: 2008/02
  • 売上ランキング: 53107


円城塔は黄色い本(タイトルなんだっけな)を読んで、
最後までわけわかんないけどなんだかこれすごく面白いぞ、という不思議な読書をし、
この作家はとりあえず次も読んでみよう、と芥川賞候補にもなったらしい
これを手にしてみる。それにしても芥川賞候補って違和感ありすぎよな。

中篇2つが収録されている。「オブ・ザ・ベースボール」と「つぎの著者につづく」。
私が黄色い本で思った、「わからんけどおもろい」が2つに分離したような作品集。
「オブ・ザ・ベースボール」は意味がわかって「おもろい」、
だけど「つぎの著者につづく」は「やっぱりわからん」になる。
私が彼の世界観についてけないだけなので、できれば「オブ・ザ・ベースボール」くらい
レベル落としてわかりやすくしてもらえるとなあ、とすごく思った。
だって「オブ・ザ・ベースボール」強烈におもろかってんもん。最高。
人が降ってくる町。だいたい平均して1年に一度、人が降ってくる。
文字通り上から落ちてくる。落ちた人はもう喋れなくなっているので、
どうして落ちてくるかわからない。老若男女、落ちてくる。
その町にいる「ファウルズ」たちはちょうど9人。町を毎日見回り、
落ちてくる人がいないか見ている。そして彼らに支給されているのは、
何故かバットとユニフォーム。なぜ、バットが支給されているのか、
メンバーの誰も知らないまま、彼らは毎日上を眺め、寝そべり、
人が落ちてこないか見ているのだった。

ってさ、説明書いただけでなんだこりゃなのよ。
なんで落ちてくるのかとかさ、なんでバットなのかとかさ、
いつかわかると思うでしょ。でもね、わかんないのよ。そんなこと全然。
ただこんな町でいる「ファウルズ」の日常なんだけども、
「なんでバットなんだ」とかつい私なんか思ってしまって、
作品全体に突っ込みを激しく入れたくてしょうがないんだけども。

そこで淡々と語る語りもすごく面白くて、私は何度も爆笑しながら読んでいた。
超シュールな世界に放り出され、ひたすらなんでやねんなんでやねんと
言いながら読む読書、なんであんな楽しかったのか、とにかくとてもおかしくて、
結末はさあ、「そりゃバットなんだからあんた」的なもので、また爆笑してしまいつつ、
うまいことSFな仕掛けもあって話としてうまく収束しているし、収め方もうまいなあ、
でもおもろいなあ、と。

なんていうか拍手喝采したくなる読書だったのでした。
こんな楽しい気分も久しぶりだった。最高、ブラボー。

そして「つぎの著者につづく」でまた「わからーん」に戻る。
ある著者と自分の作品が酷似していると指摘された作家が、
(自分の作品には「ジェイムスとかが出てくる」らしく、
黄色い本を髣髴とさせるあたりが憎らしい)、指摘された著者を知らず、
その著者の来歴を調べているような内容だと思うんだけどね。わからんかったわ。

おびただしい脚注がついているとか、とある著者の本の内容を想像して書いてるあたりとか、
ついこないだ読んだボルヘスの影響がすごく出ているのはわかった。
読んでおいてよかったぜボルヘス。脚注にもやたら出てくるし。
脚注の意味が少しわかっただけですごい収穫に感じますわ。
あとはやたらとカフカが脚注に出てくるので、
それも読んでおいたらよかったなと思ったりしつつ。海外古典には弱いのだ・・・
カフカが重要なキーワードなのかしらん。それも漠然と思ったりしながら、
わからないまま読み終わる。
わからんのだけど、やっぱり語り口が合うのか、不愉快な読書ではなかった。
| comments(4) | trackbacks(4) | 00:15 | category: 作家別・あ行(円城塔) |
コメント
おはようございます。
ほんまに訳分からへんのにテンポが合うというのか
選らばはる言葉が合うというのか
読んだ後
「あぁ面白かった」と感じる不思議な作家さんです。
今回はおばちゃん急に賢こうなったんかいなと錯覚するほど
するする読めました。
が、
「つぎの著者につづく」
でやっぱり錯覚やったんやと分かりました。

くせになるなぁ、円城さんは。
| ナカムラのおばちゃん | 2008/05/06 11:18 AM |

こんばんは。ご無沙汰してます。

黄色い本もピンクの本もさっぱりわからなくて、
だけれどその活字のうずに呑み込まれるような快感を
少しでも手応えとして味わいたくて、
「オブ・ザ・ベースボール」を読んだわたしです。

すこしは易しくやわらかな印象だったけれど、
レビュー書いた今でもやっぱりぐるぐる・・・
それでも最近ピンクの本に再挑戦中だったりしますが。
数理学的恋愛小説。手強いです。
| ましろ | 2008/05/06 8:18 PM |

ボルヘスですか……。ざれこさんはじめ何人かの方の所で感想を見て、こりゃ絶対読みきれんだろうなあとおののいていたんですが。むーっ。
| たまねぎ | 2008/05/07 1:17 AM |

ナカムラのおばちゃんさん
そうそう、わかるわかる!と思ったのに裏切られたーみたいな(笑)ギャップが激しすぎて面白かったです。
なんか、わからんのに(わからんから?)気になる人なんですよね。ほんま不思議です。


ましろさん
お久しぶりです。ピンクの本も読まれましたか。読んでも絶対何もわからないであろう自信があるけど、私も読みたいです(笑)数理的恋愛・・・

たまねぎさん
ボルヘス、手ごわかったですよ。でもなんか、楽しめました。この本と同じです(笑)よかったら挑戦してみてください。
| ざれこ | 2008/05/08 11:58 PM |

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