本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「言い寄る」田辺聖子
言い寄る
言い寄る
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2007/06/16
  • 売上ランキング: 67570
  • おすすめ度 4.5


本当は図書館で昔のやつを借りたのだけれど、
この新装版の装丁がとても気に入っているのでこちらを載せておきます。
「言い寄る」「私的生活」「苺をつぶしながら」、の三部作の最初です。
主人公の乃里子が、言い寄りたくても言い寄れない、独身時代のお話です。

田辺聖子の作品は「ジョゼと虎と魚たち」を読んで、なんてお洒落なんだろう、
大阪弁でここまでシャレた文章、大人っぽい恋愛を描けるってのは、
なんていいセンスしてるんだろう、とすごく思ったのに、
それから数年読んでなくて、また久々に手にとって、やっぱり同じ事を思いました。
普段使っている大阪弁が色気あるもの、男女の駆け引きに最適な言葉に思えますからねえ。
実際はそういうことはあまり思わへんけど・・・
なんか全部ギャグでごまかされて言い寄れない時もありますが。それも駆け引きか?
まあそういうわけで、主人公は30歳の乃里子。キャラクターデザインなどをやっている。
OL時代に仲良くなった年下の美々に悩みを打ち明けられる。
結婚を考えていた彼に別れを告げられた、慰謝料ふんだくる!と二人で意気込んで出かけた先で
彼の友達の中谷剛と出会い、交渉と称して乃里子は中谷と二人、中谷の別荘で一晩の逢瀬を楽しむ。
その後も会いたいという中谷と二人で海に出かけ、そこの隣の家の男性ともいい感じになったり、
乃里子は奔放に恋愛を楽しんでいるように見えるが、彼女にも言い寄れない男が一人いた。
それは幼なじみの五郎で、彼にだけは何も言い出せず駆け引きもできないのだった・・・

私はこの人と思いこんだら猪突猛進(で、うざくなる)なので、
他の男は視界にも入らない状態になるし、案外保守的だし、
奔放な関係を複数の男性と、とかあり得ない(そもそもモテないし)んだが、
私より年下の乃里子はそんなこんなで恋愛をある種ゲームとして楽しんでいるようで、
割り切っててオトナだなあ、と年上なのに思いながら読んでいた。
で、中谷とか、けっこう最悪なのに憎めないキャラだし、渋い中年男の水野も
いい意味でいやらしいおっさんで、遊び相手も趣味がよかったりするんだなあ。
羨ましいなと思うことばかりの乃里子の奔放ぶり、これだけだったら共感も何もなく
ただしらけた読み方をしてしまうんだろうけれど。

五郎の存在があったので、それは全然違った。
これだけ、他の男性には駆け引きが出来て楽しくやれるのに、
五郎にだけは乃里子はとても奥手で、ちょっと口説いてみても五郎が
聞いちゃくれないからすぐひいてしまって、
ああだこうだとやきもきしていて、それがすごくかわいらしい。

で、五郎がまた乃里子のことを完全に女と見ていないふしがあってさ。
それもわかっていてどうにもできない乃里子の焦りとか寂しさとか、
すごくわかってしまった。
私も男友達はすごく仲のいい人が何人かいるけれど、お互い恋愛感情がないから
ずっと友達で深いつきあいができてるけれど、たまに私が好きになっちゃったりして、
でも相手はずっと友達なんだよね、私のことはね。だから大事にはしてくれるけども、
つきあったりはしてくれなくて、誰かと結婚したりしてしまう。
何人か玉砕してるんだけどさ、その時の言うに言えない、でも言っちゃいたい感情、
そういうのが生々しく思い出されて、寂しくなりました。

本当に好きな相手とは結ばれないまま他の男と遊び続ける乃里子の寂しさ、
奔放じゃない私にもわかる気がした。寂しいよね。
でも乃里子をみていたら、そんな不器用な女でもけなげに生きてて、
慰められる気もする。なんだかんだで優しい乃里子は、寂しいけど、素敵だわ。

波瀾万丈な乃里子の恋の展開にやきもきしたり共感したり。
鈍感に過ぎる五郎とのやりとりにこっちもドキドキさせられたり、
そして中谷剛との関係が刻々と変わっていくのもまた面白くて、目が離せない。
この作品いつ書かれたのか、と調べたら1978年だった!ひゃあ、昔だ。
当時私は4歳。初恋もまだだよなー。
そんな私、今33歳になった私が読んでも手に汗握り、
一緒に寂しくなったり嬉しくなったり、そんな物語でした。
いいお話は古びないし、携帯ができてメールができて、
伝えたりする手段は変わっても、女心はやっぱり一緒なんだなあ。

3部作の続きも楽しみです。そろそろ私の年代の話になるのかな。
| comments(0) | trackbacks(0) | 22:14 | category: 作家別・た行(田辺聖子) |
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