本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ハミザベス」栗田有起
ハミザベス (集英社文庫)
ハミザベス (集英社文庫)
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 480
  • 発売日: 2005/07/20
  • 売上ランキング: 338921
  • おすすめ度 3.5


ずーっと読もうと思ってたんだけど遅くなった。
手軽な感じだしいつでも読めるわと思ってたら、そういう本に限って案外読まないもので。

栗田さんの本は3冊目かな。「マルコの夢」「オテルモル」を読んだ。
ちょっとおかしな若い女の子の日常のゆるゆるな世界なんだけど、
ほんの少し不思議なものがあって、その絶妙なゆるゆる感と、
時折声をあげて笑っちゃうほどのおかしみがあって、けっこう好き。
「ハミザベス」もタイトルからして何?って感じだけど、なんとハムスターの名前でした。
死んでいると思っていた父親が、最近死んだと知った、20歳のまちる。
父の知り合いの不思議な女性から連絡があり、高層マンションの一部屋を相続する。
その女性が遠くに行くというので、彼女のハムスターを預かり、マンションで飼う。
名前のないハムスターに「ハミザベス」と名付け(由来は読んで欲しい、なるほどと思うから)
まちるはそのマンションで過ごす。幼なじみや母親やいろいろな人とかかわり、
父の新事実を知ったりしながら。

人の生殖機能、というと生々しいけど、子をつくるというその当たり前のことが
ここでは全然当たり前じゃなくて、なんだかとても大変そうだし、まちる自身も
卵巣が弱い体質で、父にも秘密があったりして、でもそれがそんなに深刻でもなく、
そこはかとないユーモアでくるみながら描かれていて、滑稽だけどももの悲しいような、
不思議な感覚である。
まちるの性格がゆるやかで何事にも動じないのも好感度が高かった。

次の「豆姉妹」は丸顔の姉妹の話。こちらは爆笑をさそう面白さだった。
丸顔って他人事じゃなくて、いつも私も「コンパスで書ける顔」だの言われていて、
けっこうコンプレックスで、だから丸顔の姉がSMの女王様になってしまうこの物語には
いきなり仰天してしまう。丸顔の人全員が女王様が似合わないとは言わないが、
自分で置き換えて想像するに、まあかなり滑稽よね・・・

そんな姉を見ていた高校生の妹は、ある日突然アフロにしてしまい、またびっくりなのである。
それが学校で(当たり前だが)いろいろ言われて、演説までする羽目になってしまった。
この演説には私は笑いながらも共感してしまった。中途半端な高校生の時期、
将来何になるかを社会を何も知らないのに決めないといけない高校生たちの
なんとなく漠然とどうしたもんかなという感じが、このアフロ事件にすごく出ててね、
なんかわかってしまった。

妹曰く「理由もなくアフロ」にしてしまったりするけれど、
「所詮はアフロ」なのであり、大騒ぎするほどのことでもないのだ。
迷ったり悩んだりして滑稽なことをやらかしてしまう(私のような)人達を肯定してもらえるような、
所詮はアフロよね、何かやらかしてもたいしたこと無いよね、そんな時もあるよね、と
ほっとできるような。
大笑いしながらそんなことを感じて、なんだかとてもすっきりしたのだった。

二人の義理の弟(これもちょっとおかしな人である、いい意味で)がやってきたり、
妹の担任の教師とのやりとりも楽しい。出てくる人達が一風変わっていて、
会話中心でゆるゆるだらだらと続く展開はまたぬるま湯のように快適。いい意味で。
ゆるゆると過ごしてたら、姉妹と弟で滝に出かけるシーンで大爆笑エピソードに
いきなり見舞われたりして、油断ならなかったりする。

うまくいえないけれど独特の、おかしみ、とでも言いたいような雰囲気で、愉しかった。
やっぱりあるようでないような不思議な作風。好きだなあ。
軽いタッチだから、ちょっとした息抜きにいいけど、それだけではない癒しをもらったな。
読んで良かった。

余談だが、アフロのヅラを被ったことがある。高木ブーが被ってるような
パーティグッズではなくて、本物っぽいかなりボリュームあるやつを。
自分で言うのもなんだが、案外似合った。地味な丸顔なのに不思議だけど。
頭が大きくなるおかげで身体が細く見えるというメリットがあるのだが、
重いしむれるし暑いし大変です。ほんまにふらふらする。
地毛でやる人は根性あると思うわ。

| comments(0) | trackbacks(0) | 10:51 | category: 作家別・か行(栗田有起) |
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