本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ア・ソング・フォー・ユー」柴田よしき
ア・ソング・フォー・ユー
ア・ソング・フォー・ユー
  • 発売元: 実業之日本社
  • 発売日: 2007/09/19
  • 売上ランキング: 231021
  • おすすめ度 3.5


花ちゃんシリーズは前回のがちょっと冗長だったのでもういいかなと思っていたんだけど、
今回は常連の山内練に加えて、麻生龍太郎が出てくるという噂。これは読まないと!と
嬉々として手に取る。
山内練と麻生龍太郎とは、「RIKOシリーズ」に出てくるヤクザと刑事で、
スピンオフで彼らを主役にした「聖なる黒夜」という長編があり、
私はこの長編にはまりまくったのだ。(はまりまくった感想はこちらに
山内と麻生の激しい恋模様にもうやられてしまってさあ・・・
花ちゃんシリーズでも山内練は、花ちゃんの借金の債権者という役割でレギュラー出演して、
酷いことをいろいろしているのだけれど、麻生は出てきてなかったからね。
ちょっと興奮してしまった。私って、なんだかなあ。

結局麻生がどこまで出てくるか、といえば最後にちらっと、だけなんだけどもね。
ちょっとしょんぼり、でも会えてよかったわ。(変よね・・・私・・・)
で、話それまくったけど。
今回は4つの短編からなっていて、短編のタイトルは昔の歌のタイトルを
もじったり、そのまま使ったり。ある世代にはたまらないと思われる。
まあ私もカラオケで「プレイバックパート2」を歌ったりするけれど。
「ブルーライト・ヨコハマ」もいいよねー。

各短編は最初だけ独立していて、あとはつながってるような独立しているような。
最初の物語は、ハリウッドで活躍する名脇役の日本人妻の依頼で、花ちゃんが新宿の
ドロドロから離れてちょっとヨコハマで思い出に浸る、的風情のお話だった。が、
2作目からは新宿のどろどろに帰ってくる、って感じ。

花ちゃんがやっている保育園に、赤ちゃんが捨てられていた。猫の子を捨てるみたいに
無造作に、でもカラスにやられないように置かれていた。
花ちゃんはその赤ん坊を捨てた人を気に病みつつ、他の依頼もこなしていく。

3つの短編でもその赤ん坊事件がずっと続いているんだけど、他の依頼は一応解決する。
オカメインコを探すとか、おじいさんを突き飛ばした少女を探すとか、
無くなった遺骨を探すとか、事件自体は小さいけれど胡散臭い感じのものが多くて、
でも謎が解けると、哀しいような温かいような読後感が残る。
で、そうやっていろんなものを探しながら保育所もやりながら、花ちゃんはずっと
赤ん坊のことを考えていて。結局はヤクザ絡みで並行して探す羽目にもなり、
相変わらず不眠不休なのだった。

複雑な構成をあっさり書きこなしてしまう技量は買うけれども、
なんか区切りがない感じがして、短編としてのメリハリに欠けたかなと思う。
でも長編と言うにはいろいろ盛り込みすぎだし、どっちつかず感は前回と変わらずで、
頭がちょっと混乱したりもして。
登場人物が異様に多くて、シリーズ最初からの人とか新しい人とかわらわら出てきて、
私は「聖なる黒夜」含めて全部読んでるからわかるけどそれでも忘れてる人もいたし、
そういう人達があまり説明のないまま出てくるもので、それも混乱。
描写もくどかったり、何度も同じ説明があったり、少し冗長な感じはした。

赤ん坊事件は、花ちゃんは「幼い子がこっそり産んだんじゃないか」と危惧して
いろいろ調べていて、ありえへんやろと昔は思えたけど今はそうは思えないのが
なんだか怖かった。女子高生がトイレで出産したりしちゃうのに、
誰も妊娠に気づかなかったりするじゃないですか、最近。殺伐とした世で、
周りに注意を払えないって言うか、困っても誰も助けてくれないって言うか、
ほんまそういう世知辛い世の中だなあって思う。

この物語も、真相を知ったらやっぱり世知辛くて、誰にも気づかれずに
困っている人がいっぱいいてそれが切ないのだけれど、だからこそ、
少々いい人すぎてありえない感じのキャラの花ちゃんみたいな探偵&保育士が、
首を突っ込んでくれるようなこの物語には、少しでも救いが見える気がした。

そんな風に、赤ん坊事件に気を取られてしまったのもあって、最終話の骨の事件は
ちょっととってつけたみたいであまり気乗りしなかったな。
そしてラストはなんだか、山内にしてやられて、花ちゃんはちょっと偽善者に
見えたからちょっと残念だったけど。
はい、めでたしめでたし、って風には終わらない、世の苦さを知っている
終わり方は苦々しいけれど、読み応えを感じました。

しかし増殖する登場人物はちょっと勘弁して欲しいなあ・・・
麻生と山内とだけ絡んでいてくれたらそれでいいねんけど(本音)
| comments(0) | trackbacks(0) | 01:47 | category: 作家別・さ行(柴田よしき) |
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