本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「魍魎の匣」京極夏彦
分冊文庫版 魍魎の匣(上) (講談社文庫)分冊文庫版 魍魎の匣(中) (講談社文庫)分冊文庫版 魍魎の匣(下) (講談社文庫)


今年はですねえ、京極堂を月1作品読む、という目標をたてていたのですが、
1月に「姑獲鳥の夏」、そして12月にこの「魍魎の匣」を読んで
今年もおしまいということになってしまいました。目標って何だろう、みたいな。
来年以降、月1作品なんて無謀は言いませんが、せめて四半期に1作品くらいは読みたいな。

分冊文庫が読みやすいからと分冊で買ってるんですけど、分冊だと3冊とか4冊とかあって、
読み始めるまでにだいぶ気合がいるんだよなあ。読みやすいんだか読みにくいんだか。
しかし読み始めたらあっという間に読めちゃうんだよね、これ。
展開も面白いから手が止まらないし、ちょっとずつ読んでたら最初に京極堂が言ってた蘊蓄とか
忘れちゃうしねー。ということで、これも読み始めたら2日、土日で読み切りました。
おもしろかったー。私もとっとと読めばいいのにさ。
10年ほど前に読んで、今回は再読です。内容をほとんど綺麗さっぱり忘れていたのですが、
箱の中の娘、という強烈なビジュアルイメージだけが残ってて、ちょっと怖かったんだけど。

頼子と加菜子、仲のよい二人の中学生、夜に出かけて、加菜子の方が電車に轢かれ
重症を負うが、頼子は「前世が」とかわけのわからないことを言っており、
自殺か他殺かもわからない。
そんな奇妙な場に居合わせた刑事の木場は、病院まで付き添うが、
加菜子の姉としてやってきた女性に心を奪われる。それは銀幕女優だった美波絹子、
本名柚木陽子であった。陽子の知り合いの病院に加菜子を運ぶことになり、
向かった先は箱のような建物。木場はその日から憑かれたように事件に首をつっこむ。

折しもそのころ、箱に詰め込まれたバラバラ死体が各地で発見され、
カストリ雑誌に投稿して糊口をしのいでいる作家の関口や、中禅寺敦子が取材に向かっていた。
箱をあがめる宗教も出てきて、様々な箱を巡る事件が複雑に交差し、
そして全ての謎は京極堂に集結する・・・。

前回「姑獲鳥の夏」の感想で、「バカミス!!」と褒め称えた私だけれど、
今回も「バカミス!!!」と叫びたいのはやまやまなんだが、叫びきれない何かがある。
荒唐無稽には違いないし「ありえへん!!」って感じが非常に楽しく読める所以でもあるのだが、
バカミスにしては良くできすぎている、というのが今回の感想。

ものすごく緻密に編まれていて、ラストに謎が解けていって全てがつながっていく過程の
ぞくぞく感、心地よさといったら、これはもう格別であって。
バカミス!!(って褒め言葉だけど)と言い切れないものがありました。
いや、バカじゃないやろ、ある意味すごいミステリだろう、と。
これだけの荒唐無稽さ、発想の奇抜さを保ちながらも、謎の解きっぷりは一流。
これは余談だろうと思って読んでいたら本筋と絡んでいたりして、
まさかこんなことが、と驚いてしまう。
京極堂の蘊蓄もだし、どれもこれも読み飛ばせない威力を秘めた本だ。
長くても息もつかせない展開。いやー、大変面白い。
そういやこれを読んだ10年前は徹夜して読んだんだったなあ、と思い起こす。
なかなかやめられないんだよな。

このシリーズでは探偵役の誰かが報われない恋をするということになってるんだったかな。
今回は木場が、女優美波絹子に恋をする。銀幕で見て恋をしていたら、実際に出会ってしまう。
がたいがでかくて木訥で不器用な木場が、何かに憑かれたようになってしまう。
不器用な木場を導く京極堂の繊細さが意外な気もしたり。いい奴やんか。

関口も相変わらず鬱で、ちょっとずつ発表してきた自らの作品が単行本になるというのに、
同じ作家の久保にはけちょんけちょんにやられ、京極堂にもぼこぼこに言われ、
相変わらず可哀想だ。まあしかしこの作品では、関口は語り手でもあるけれど、
ちょっとKY?空気読めてない?みたいな。最後まで理解できずにしつこく京極堂に聞いたり、
一人だけ浮いてるみたいで可哀想な感じ。
まあ、その鬱の関口と、京極堂との掛け合いが面白かったりするんだけどねー

映画をもうすぐ見にいくことになってるんだけど、キャストがどうもしっくりこない。
原作では31歳である美波絹子を黒木瞳がやるってのもどうかと思ったけど、
なんか木場がね・・・もっと木訥な感じがいいかなあ、って気がしないでもないけれど。
でもまあ、椎名桔平の関口は楽しみです。

後日談
映画観てきました。設定はかなりはしょったものに変わっていましたが、
それでも原作読んでないとちょっと難しいかもです。
台詞の情報量がすごいので、かなり集中して観ました。
昭和のレトロな雰囲気、猟奇殺人のおどろおどろしい感じは良かったです。

ご心配の木場は設定変わっていたので主役級では無かったかな。
予想通り、関口はいい感じでした。
| comments(3) | trackbacks(3) | 17:23 | category: 作家別・か行(京極夏彦) |
コメント
そうなんですよ、フィーチャリング木場修な『魍魎〜』は、さすがに宮迫では荷が重過ぎると!
まあそもそも話が複雑なので、映画に向いてないと思いますが…。

前作から思ってたんですが、全体にキャストがしっくりこないですね、原作のイメージ云々ではなく、ちぐはぐというか。
もうちょっと全体を引き締めるような役者がいないと、映画としてのバランスが…。
今回は、久保竣公の宮藤さんが、合ってるっちゃ合いすぎなので、逆にあんまりだと思いました(笑)。
| ふゆき | 2007/12/21 1:42 AM |

こんにちは。
今、この映画の宣伝をバンバンやっているので、
とっても、興味を惹かれています。

本は読んでないんですけど、
(何せ、京極本は分厚いですから、なかなか手が出せません。)
映画なら、見れるかな〜と。

ま、きっと原作を読む方がいいんだとは思うんですけどね(^。^;)

ざれこさんはもう見に行かれるの決定なんですね!
うちは、DVDかな〜。(大分先だな(笑))
| えびすけ | 2007/12/21 2:10 PM |

ふゆきさん
そうなんですよね、宮迫・・・。今回大活躍?かと思うとちょっと違う気が・・・。おかげで駅に貼られてるポスターも、京極堂、敦子、木場、榎木津の4枚だったりして、関口はどうした、と突っ込んでしまいましたよ(笑)
そういえばキャスト、確かに突出した人はいませんかねえ。まあこの作品自体、個性のぶつかりあいのような作品ですが・・・。
宮藤さんは逆にあんまりですね(笑)。「嫌われ松子の一生」でもあの人、書けなくて殴る蹴るを繰り返すダメ男を演じてましたね。ご自身も書かれるせいか、作家業が多いようで・・・。

えびすけさん
最近はDVDも早いですからねー。私はとっとと観に行ってきます。「うぶめの夏」の映画はまだ見ていないんですが・・・。
本も分厚いですけれど、読み始めたらすぐでしたよ。おもしろいですから良かったら挑戦してみてください。
| ざれこ | 2007/12/22 11:32 PM |

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