本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「有頂天家族」森見登美彦
有頂天家族
有頂天家族
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2007/09/25
  • 売上ランキング: 352
  • おすすめ度 5.0


森見さんのブログで「毛深い子」が生まれました、と読んでいて、
「毛深い子!!って何!」と激しく反応していたんだけど、狸でした。
狸4兄弟と、勇敢な父とかわいい母、そんな彼らの家族愛。
狸の物語でした。ぶっとびました。
京都の街は狸と天狗が仕切っていますよ。そうだったのか!
そしてこないだ「鹿男あをによし」を読んだばかりの私は、
「近畿は動物達が支配している・・・」と戦慄しましたわ。(嘘)

しかしこの狸たちがすばらしい!面白い!さすが森見さん!
面白きことはよきことかな!
下鴨家の4兄弟の三男、矢三郎は、コーポ枡形に住む天狗、赤玉先生の面倒を見ている。
昔は大地をゆるがす天狗だった赤玉先生は今は落ちぶれてアパート暮らし、
矢三郎は優しい狸だから女子高生に化けて先生を慰めに行くが素直に喜んでくれない。
赤玉先生は昔人間の女性を攫ってきて天狗に仕立て上げたのだが、
彼女はひとり立ちをして赤玉先生の下を離れ、誰もが恐れる天狗となっていた。
弁天と呼ばれる彼女を矢三郎はちょっと気になってるが、彼女はあの恐るべき
「金曜倶楽部」に入っているのだった。
「金曜倶楽部」の面々は、忘年会に狸鍋をするのである・・・・

下鴨家の父は偉大だったが今は亡く、雷が異様に怖い母を4兄弟が守っている。
器の小さい長男はライバルの夷川家と闘っていて、次男は父の死から
厭世的になって蛙になって井戸に入っていたら、狸に戻れなくなってしまってる。
三男矢三郎は一風変わっていて四男は動揺すると尻尾を出してしまう未熟者。
彼らはことあるごとに夷川家とぶつかり、そして弁天や赤玉先生を巻き込んで
ひと悶着もふた悶着もあるのだが、はてさて下鴨総一郎、父はなぜ死んだのか?
そして下鴨家と夷川家の決着はいかに?弁天をめぐる三角関係はいかに?

いやー、荒唐無稽な妄想の数々に本当目が離せない。
「太陽の塔」にも登場した謎の一つが狸のせいだったなんて誰が思うのか!とか
いろんな京都の不思議現象が狸と天狗からなっているような、実際そんなことが
がんがん起こってるようなそんな気になってしまう。とてつもないところまで
広がっていく妄想がもうすごくって。
人の心って凄いね、いくらでも羽ばたけるんだから。
でもやっぱりこれは京都という街だからこそだろうなあ。狸くらいいそうだもん。
なんて包容力のある街京都!すばらしい。

今回は腐れ京大生の話ではなくて狸の話だったんだけど
(まあ、京大生には化けてたけど)、四兄弟のキャラがすごくかわいくて魅力的で、
特に蛙の次男が最高だった。家族が全員ステキで、だからこそ泣ける家族愛。
森見さんで泣かされるとは思ってなかったんだけどさ、時々すごく切ないのよー。
本当にお父さんは偉大で、いい生き様だった。潔い人生(いや、狸だけど)、って
すごいなって考えちゃったし、兄弟も本当にけなげで。
勝気かつ小悪魔的な魅力たっぷりの弁天にも、女ながらすっかりやられちゃったし、
魅力的なキャラが最後までぐいぐいひっぱってってくれました。
無限の妄想に(こんな奴らいないけど)魅力的な人々。見事なファンタジーです。
現実きれいさっぱり忘れてはまり込める、これぞ本の醍醐味。
面白きことはよきことかな!リアリティなんぞいいのだ、どうでも。

ラストの誇大妄想の小気味よさといったら。皆ざまあみろだ!わははは!

「夜は短し歩けよ乙女」の方が好きではありますが、森見さんのよさが
ぎゅぎゅっと詰め込まれた快作。いやあ、楽しませてもらいました。
京大生じゃなくっても書けるんだな!
さて、これから友達に貸しまくってみなのストレスを取るとします。
| comments(7) | trackbacks(5) | 03:35 | category: 作家別・ま行(森見登美彦) |
コメント
私もちょうど読み終わった所です。
森見さんの文体は頭にしみこむのに時間がかかってしまうのですが、
どの作品もスカッとして快哉を叫びたくなりますね。
扇子片手にあっぱれあっぱれ!って踊りたくなっちゃう。

>人の心って凄いね、いくらでも羽ばたけるんだから。
そうですよね・・・・。なんて自由なんでしょう。幸せです。
| つつつ | 2007/11/25 10:19 AM |

はじめまして!

『夜は短し歩けよ乙女』もそうでしたけど
読んでる間、不思議な世界に迷い込んでる
みたいで気持ちイイ。妄想万歳!

偽電気ブランも狸が製造してたのか。
狸、侮るべからず!
弁天といっしょに飲みたいもんです。

また、遊びに来させていただきます!
| くもざる | 2007/11/29 11:14 PM |

はじめまして。
この本、読んでいる真っ最中です。
「夜は短し歩けよ乙女」大好きです。

わたしもそんなにたくさん読んでいるわけではありませんが、本が大好きです。
また遊びに来ますね。
| ハルコ | 2007/11/30 7:33 PM |

一躍有名になってしまって恥ずかしい。最近、井戸の中を覗きこむ知らない顔が増えたみたい。ほっといてくんないかな!覗き込むなら酒の一滴でも落としてくれ。
| 矢二郎 | 2007/12/05 4:59 PM |

私も昨日読み終わりました。かなり面白いですよね!! いや〜森見さんの本は全部読んでると、「あ!あのナゾの正体はコレか!!」とか判明してまたそれも面白い♪
あの、「濡れた鼻を押しつけてきた」 とか、カ・・・カワイイ☆と大興奮しちゃいました♪
偶然にもウチの裏山には狸が生息してまして、よくウチの金魚を食べにきます(←オイ)

一昨日も夜見かけたので、おもわず「ナムナム」って言っちゃいました(笑)
| gyaaaa | 2007/12/07 10:48 AM |

つつつさん
いやあほんま扇子片手にあっぱれ!でしたね。面白かったですわ。

くもざるさん
そうなんですよね、偽電気ブラン・・・。下戸だけど、赤玉ポートワインとこれだけは飲みたいです。

ハルコさん
「乙女」も面白かったですね。森見作品では乙女が一番かなあ、でもこれもとっても面白かったです。もう読まれましたか?

矢二郎さん
井戸の底からコメントありがとうございます。
お騒がせしてごめんなさい。また化けて京都の町を走り回ってくださいね。

gyaaaaさん
狸ってなんだかかわいいですよね・・・。我が家の近所では害獣として忌み嫌われ、田んぼには狸(とイノシシ)除けの電流が流されておりますが・・・。一度目が合いましたわ。かわいかった。これから会ったら「矢三郎!!」とか叫んでしまいそうです。
| ざれこ | 2007/12/08 2:54 AM |

京都大学の女の子も覗きにきたぞ!(ホルモー六景 万城目学)おちおち引きこもりも出来ないぜ!ちゃっちゃと逃げろってか!?(これは仙台ネタ)
| 矢二郎 | 2007/12/10 10:13 AM |

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