本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「青年のための読書クラブ」桜庭一樹
青年のための読書クラブ
青年のための読書クラブ
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2007/06
  • 売上ランキング: 27751
  • おすすめ度 4.0


聖マリアナ学園、深窓の令嬢達が集う女子高に、あるとき異分子が入り込んだ。
烏丸紅子、浪速で育って訳あって深窓の令嬢になったはいいが関西弁。
異端で孤独だった彼女がたどり着いたのは、崩れそうな煉瓦の建物の中にある
怪しげな「読書倶楽部」であった。
読書倶楽部の当時のボス、アザミは醜かったが頭はキレる、
異端だが美しい女、紅子を、学園の「王子」にすべく教育をはじめる・・・。

聖マリアナの伝説やら、学園に起こった黒い事件達を、歴代の読書倶楽部の
メンバーは綴って記録している。その記録を紐解いていく連作短編集。
私、共学なのね。小学校から大学までずーっと。ついでに言うと貧乏だったから
私立にも一度も行ったことなくって、ずーっと地味な感じの学生時代。

女子高ってこんなんなんですか。とずーっと思いながらこれを読んでいた。
そういや中学時代の友達で、中学でバスケやってた子が女子高に行って、
そういやバレンタインにチョコもらってたな。彼女も聖マリアナ学園では
「王子」候補として君臨できたであろうか。いけたかもしれんな。
一人称が「ぼく」だったり、「王子」に皆恋焦がれていたり、と、
共学の私にはまさに驚愕(・・・・すいません)の価値観、それが新鮮だった。

第一章から引き込まれたのはアザミの持つコンプレックスと歪みに、だった。
美しい紅子を、誰もが恋焦がれる「王子」に仕立て上げるために、
アザミはその頭脳と知性をフルに使う。魅力ある人物がどんな人か彼女には
ちゃんとわかっているのに、自分はそうはなれない。でもそれを悲観しつつも
したたかに紅子を自分の「作品」として仕上げてみせる。そのふてぶてしさ、
たくましくてとても好きだ。
その後ロックスターになる十五夜の友達、凛子にも似たようなキャラクターを見出し、
ラストの物語の主人公にも・・・、そういう、華やかなところから隠れた舞台裏で、
コンプレックスと果敢に闘っている彼女達の弱さと強さ、そんなものが
私にはとても魅力だった。コンプレックスだけは負けないからね、私も。
しかし、美しい桜庭さんにどうして私たちの思いがわかるのか、不思議。

時代は100年を経ていく。一旦過去に戻り舞台はパリへ。マリアナの過去や
秘密を暴いたあと学園に戻り、学園はマリアナが言われた予言を抱えたまま、
バブルの時期を通り過ぎ、世間がいかに変わろうとも女の園で在り続ける。
そして100年後、OGの彼女達がたどり着いた先。
100年の歴史を貫く、マリアナの思い、読書クラブの少女達の思い。

構成がすっごいうまい。全てがめぐりめぐっていく様にものすごくぞくぞくした。
そのぞくぞく感は既に2話目くらいから小出しにされていて、
この学園がどうなっていくのかいつのまにか目が離せなくなっていく。
一つの学園の長編小説として読むとすごく味わい深くて、大きく見ると
すごいうまいなあ、と最後全体を俯瞰してしみじみ思いました。おもしろいー。

各短編では、すごくいいのもあったけど、一つバブルの時代のがすごく
ひっかかってしまって、それが残念だったかなあ。
「赤朽葉家の伝説」の毛毬の章でも思ったんだけど、毛毬は暴走族で
ぱらりらぱらりらやってたわけだけど、今回のバブル時代の物語も、
学校で扇子持って踊ったりミラーボールが出てきたり制服改造したり、
そういうのが、なんていうかデフォルメされすぎてるというか・・・、
ほぼ同年代に高校時代過ごしてるんだけど、そんなこと全然なかったから、なんか違和感。
同じ違和感を毛毬の時にも感じたなあと思ったので。
わざとデフォルメして書いてるんだと思うけど、こんな閉鎖的な学園で、
どんな時代でも閉鎖的なのが魅力的なはずの学園で、
バブルの時代だけ、どうして時代に流されちゃうのかなあ。
そういう、ちょっと浮いてしまうような章もあったりする不安定な感じが、
桜庭さんの魅力でもありちょっと惜しいところでもあるんじゃないかな、と
そんな気もしました。

あれ、長くなってしまった。面白かったのについ・・・。
だってバブル期のはずが地味な高校大学時代でさ、
就職する頃には氷河期突入、ちっとも恩恵にあやかってないもんで、
つい手厳しくなってしまうわ。バブルには。とほほ。

ともあれ、次回作も読むと思うし、「GOSICK」シリーズなんかも
挑戦しちゃおうかなあってくらい、ちょっと気になる作家ではあります。
なんだろうね、この魅力は。作品自体が、不安定な少女のような魅力です。


| comments(3) | trackbacks(3) | 01:44 | category: 作家別・さ行(桜庭一樹) |
コメント
そうか。デフォルメされていたんだよね、これでもかと。だから読んでいて、なんかパロディを読んでいるような感じがしたんだな…。

全体と通して小説としてはすごく面白かったし好きだったんだけど、なんかところどころ引っかかるところがあったなぁ。
ものすごく丁寧に書いているところとそうでないところがあって、そうでないところ(例えば「ズベ公だった」ときりすててしまっていたところとか)がちょっと引っかかったかなぁ。

でも他の作品も読んでいこうと思いました、私も。
| りつこ | 2007/11/20 9:53 PM |

そこはちょっと気になりますよね。戦前の昭和ロマンとかヨーロッパのゴシックな雰囲気は時代の空気を借りて、重厚な感じを出せているだけに。二作続けて同じ時代の描き方だけに余計目立ちました。
| たまねぎ | 2007/11/21 9:13 AM |

りつこさん
私も全体としてとても好きだったんですけど、細部がいろいろ気になっちゃいましたわ。でも好きなんだなあ・・不思議な作家さんです。

たまねぎさん
そうですね。前半と後半のギャップが激しいように感じました。まあ100年経ってますから時代が変わったといえばそれまでなんですが・・・。
前半の雰囲気が好きだっただけにちょっと違和感。現代ものでも「少女七竈・・」はすごくいい雰囲気だったんですけどね。
| ざれこ | 2007/12/08 3:04 AM |

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