本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< January 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 「星新一 一〇〇一話をつくった人」最相葉月 | main | 「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」村上春樹 >>
# 「わたくし率イン歯ー、または世界」川上未映子
わたくし率イン歯ー、または世界
わたくし率イン歯ー、または世界
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2007/07
  • 売上ランキング: 64280
  • おすすめ度 4.0


なんやのんこれは。

なんやわけわからんタイトルの小説が芥川賞候補になった、っちゅうから
私はとりあえず何を思ったかこの人のCDを買ってみたわけです。
「頭の中と世界の結婚」
文筆歌手とかいう肩書きでいろいろやってるみたいなんやけど、
CDええ感じでね。ええ声やし、アレンジもおもろいし、尖った鬼束みたいな?
なんやそんなんで、けっこう一時期ヘビーローテできいとってん。
で、図書館行ったらこの本普通に置いてあって、「予約いらずやわ」と
手にとって借りてきて読んでんけど。

なんやのんこれは。と冒頭に戻るわけ。
なんやようわからんからとりあえず文体真似たろ思て今大阪弁フル稼働してんねんけど。
でもこんなんちゃうけどね。もっとこてこての、ネイティブな大阪弁が
文中に炸裂していて「いや、私わかるけどこれ東京の皆さんどう思わはるやろ、
意味わからんのとちゃうやろか」と心配になってしまうくらいな遠慮のない
ネイティブ大阪弁。ええわ、潔くて。ええ感じや。
ほいで、さすが歌手やね、読んでたら歌が浮かんでくるようなね、そんな文章やねん。
途中で・こんなふうに・てんてんで・切ってあるよな・文章が・延々と・
続くことがあるねんけど、その区切りで音が聞こえてくるような、
そんなやねん。メロディついてくるようなやねん。
これ朗読しよかとかいうイベントがあったりするようやけど、ええと思うわ、朗読。
私も家で声出して読んだらよかってんな。しまったわ。せっかく発音わかるのに。

お話はというと、奥歯に「わたくし」がつまってるような気がしている女が、
いきなり歯医者に勤めはじめて、青木って男がけえへんかなあ、とか思いながら
まだできてもない赤ちゃんに手紙をせっせとしたためたりしてて、
なんやねんこの女意味わからへんわ、どないやねん、と思っていたら
「私」「私」ばっかりやった世界の全貌が見えてきてびっくりさせられる、
まあそんな話?何の説明にもなってへん気がするけど。
すごいパワーのある話で、なんつうか本谷有希子がもっともっと「私」「私」に
なった感じやねんけど、「私」だけの世界やった世界が一気に開ける瞬間が
すごいおもろかったなあ。ちゃんと「私」を見て「あんたなんやのん」って
突っ込むキャラがいてくれるんよ。その「他者の目」が入ったあたりから
「うわあ」って。なんて説明してええかわからんけどおもろかった。

私には持ち得へんほどのびっくりするほどの過剰な自意識、それが抑えきれん
女の哀れな姿、まあそうとも言い切れへんような悲しみもあったりして、
まあここまで痛々しい作品滅多に出会われへんで、ってくらいやけど、
私は好きやわ。うん。

「感じる専門家 採用試験」って短編も入ってて、そこではなんか
産まれてくること、について興味深いっつうか新鮮つうか、でもなんかわかるわあ、って
思ったようなそういう思いがだーっと書かれていたんやったけど、
なんて書いてあったんかな、忘れてしもたわ。どっちにしろラスト近くやし
あまり書くのも無粋やから読んでくれたらええねんけど。って忘れた言い訳ちゃうけど。

大阪弁で書いたからってあの魅力ある文体が真似られるわけじゃ全然ないねんな。
この人はきっと書きながらなんかずっと音が鳴ってんねんやろと思う。
音を出すように言葉を紡ぐ、その心地よい文章に浸る、それだけでも私には
ええ感じの本やったわ。エッセイも読んでみよかな。
| comments(3) | trackbacks(3) | 21:55 | category: 作家別・か行(川上未映子) |
コメント
時折現れる詩のような文章には少しハッとしました。リズムがいいですね。
今はまだ存在しない子供に語るときの暖かさと、その隙間からふと見え隠れする怖さの混じり方も悪くなかったです。
| たまねぎ | 2007/10/22 2:01 AM |

たまねぎさん
なんともいえない本でしたが、ほんま歌みたいでしたねー。子供への語りも印象的でした。子供、に何かあるのかなあ、とか思いつつ読みました。
| ざれこ | 2007/10/31 12:41 AM |

美人さんを想像してたら、デブでイッてる女性だとわかり、ガクっとなりました。
だけど、女性の罵倒でぺしゃんこになって、麻酔なしで奥歯を抜く姿に、なんか好きってなりました。
| しんちゃん | 2008/01/29 12:47 PM |

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/720940
トラックバック
わたくし率 イン 歯ー、または世界  川上未映子
さて芥川賞候補作から『わたくし率イン歯ー、または世界』です。最初にこのタイトルを目にした時は何のこっちゃいと思ったけど、読んでみると上手く出来てますね、これ。歯とherをかけてるわけか。 それにしてもまあなんとも観念的な小説ですこと。ほおほおなるほどね
| 今更なんですがの本の話 | 2007/10/22 2:03 AM |
「わたくし率イン歯ー、または世界」川上未映子
わたくし率イン歯ー、または世界(2007/07)川上 未映子商品詳細を見る あははっと笑ってごまかすか、なんじゃこりゃーと困惑してみせるか、とに...
| しんちゃんの買い物帳 | 2008/01/29 12:41 PM |
川上未映子の「わたくし率イン歯―、または世界」を読んだ!
川上未映子の「わたくし率イン歯―、または世界」を読みました。1ヶ月ぐらい前に一度ざっとは読んでいたのですが、昨晩、もう一度読み直してみました。正直言って、最初読んだときはスイスイとは読めませんでしたが、二度目は思っていた以上にスラスラと読めました。「
| とんとん・にっき | 2008/04/29 9:10 PM |
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links