本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「雨はコーラがのめない」江國香織
雨はコーラがのめない (新潮文庫 え 10-14)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 420
  • 発売日: 2007/06
  • 売上ランキング: 37797


書影がないのはなんで?かわいいのに。
新刊だけど、今年の新潮文庫の100冊にも入ってます。ブックカバー狙ってる方は
買ってもいい本やと思います。いらんお世話ですが。

タイトルの意味がわからんぞ、と最初思いましたが、「雨」は犬の名前でした。
江國香織さんと犬の雨とで、音楽を聴いたり散歩したりしてる日常が淡々と書かれているエッセイ。
江國さんは洋楽中心にジャンルばらばらにいろいろ音楽を聴いていて、
雨も一緒に聴くことが多くて、犬の雨と人間の江國さんは、
きっと全然違う世界を見ているけれど、そこには同じ音楽が流れている。
犬の雨はいとおしいけれど、絶対理解できないある一線があって、
そこに江國さんははっきりと線をひきます。
でもそれでも、同じ音楽が流れた部屋で、二人は愛情を持って過ごすことが出来るのです。
そんな日常の、ささやかなささやかな幸せが、わたしの中にじんわりじんわり
伝わってきて、何度か涙をこらえながら、すこしずつ、大事に読みました。

犬好きにはもちろん必読。これを読んでから、飼い犬に優しくなった気がします。

うちの犬は白い柴犬なんだけど、あほで、やんちゃで、私が仕事から帰ってきたら
「散歩いくで、散歩!!」とはしゃぎまわり、では散歩に行こうかと思ったら、
道路むけて「今からいくでー。うぉーん」と鳴いてみたりしてなかなか捕まらず、
やっと捕まって紐をつないだら門に走り「はよあけてや」と目で合図、嬉々として出て行きます。
散歩中も行きたい道に行けないと道に座り込んで「いやや俺こっち行くのいやや」とごねたり、
立ち止まってじいっと私を見て「こっち行きたいねんけど、ええか?」と聞いてきたり、
メス猫をすごい勢いで追いかけては「好きやねん、きゅーん」と求愛したり(猫に!)
とにかく自由気ままです。私にルート選択権はほとんどなし。疲れ果てる散歩なんだけど、
うんちするときはじいっとこっちを見て恥ずかしそうにしていて、
そんな様子がかわいかったりして、やっぱりとても癒されます。
話しかけたら耳をぴんと立てて聞いているみたいだし。

まあ奴の言いたいことはだいたいわかる今日この頃ですが、
一箇所絶対通らない道があって、どうなだめすかしても
「いやや、こわいねん、勘弁してえな」と絶対動かず、でも通り道なので
仕方なく抱っこしたら「うわ、離してや、こわい言うてるやんか」と大暴れ。
奴からしたら「こいつ、あそこにあれ(亡霊か妖怪?)がおるのになんで平気やねん」と
理解に苦しんでるのかもしれない、なんて思ったりもします。
でも見えないからね、平気やねんな。

そういう時に、ああこいつと私とは見えてるもの感じてるものが違うのか、とふと思うし、
私が「蛍おるで、綺麗やで」と言っても全然興味を示さない奴を見てると、
同じ感動は共有できないのだなと当たり前のことを思うけれど、
でもそれでも二人は散歩に行くわけで、
それはひととひととが、二人きりでいるときと、似ていると思う。
分かり合えないという諦め、でもそれでも二人で過ごしているという幸せ。

孤独を冷徹に見据えながらも、江國さんはその幸せがいかに尊いか知っている。
雨との日々を書いたなにげない文章に、それは溢れてる。
だから、泣けるのかな。こんなにも。本当に、なにげないところで。

もちろん音楽エッセイだからCDを雨と聴きながらその音がどんなのか、
どうしてすきなのか、なんてことが書かれている。

音楽の感想を書くのってものすごく難しい。音楽は感覚だから。ただ染みこんでいくものだから。
私のような、ちょっと音楽かじってる素人は、
「ジャズとラテンの心地よい融合。歯切れよいホーンセクション、
とりわけフルートが音を引き締めている」とか、わかったようなことを書くだろう。
ジャズとかラテンの定義も知らずになんとなくジャンルを分けてみて、で、
「私ってホーンセクションの音全部聞き取れちゃったりするわけ」みたいな自慢も何気にこめて。
それか、「オリジナルも良いが1970年のライブ音源のパッションは忘れがたい。」とか、
「俺っていっぱい聴いてるぜ」的自慢も入っちゃったりして。ついでに横文字をむやみに使ったり。
・・・・つまらん。でも江國さんはそんな愚を冒さない。もちろん。
尽きることのない語彙で、そのCDがどんな音かをちゃんとイメージさせてくれる、
そしてすごく聴きたくなるのだ、これが。
洋楽をほとんど知らない私のガイドブックとして、いつでも読めるようにしておこう。
持っているCDは一枚だけだった(ビートルズのトリビュート)、残念。

雨と好みが違うのが興味深かった。雨はオペラが好きらしい。うちの犬は何を聴くだろう?

江國さんと雨のツーショット写真が最後にある。優しくて好きな写真だ。
| comments(2) | trackbacks(1) | 01:42 | category: 作家別・あ行(江國香織) |
コメント
こんにちは。
ざれこさんのこの記事を読んで、さっそく本屋に行って買ってきました。
愛犬がいて、音楽が流れていて、平和な生活・・・なんて憧れてしまいました(ウチは犬いないので)。
ここに紹介されているちょっと昔の洋楽、ざれこさんがもしも聴いたことないのなら、
是非聴いてみて下さいね。
私も大好きな音楽ばかりでした。とってもいいですよ。
| 由松 | 2007/08/15 1:00 PM |

由松さん
あー洋楽は偏ったジャンルしか知らなくて、ここのはほとんど聞いたことがなかったのです。なんか江國さんの紹介がすごくいいので、聴きたいとは思ってたんですけど。
今度これ読みながらせっせとアマゾン検索して、興味あるのは買ってみようかなーと思います。
| ざれこ | 2007/08/20 12:17 AM |

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『雨はコーラがのめない』 江國香織
江國さんが「今日はこれを聴こう」と心して部屋に流す大好きな音楽のエッセイ。 そしてその音楽を一緒に聴いているのは、タイトルにある「雨」、 雨は江國さんのお宅にいる犬です。 江國さんと私は同年代なので、彼女が紹介している音楽たちは私にとっても懐かしく、心
| 練習オタクの日々 | 2007/08/15 1:01 PM |
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