本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「実録 外道の条件」町田康
実録・外道の条件 (角川文庫)
実録・外道の条件 (角川文庫)
  • 発売元: 角川書店
  • スタジオ: 角川書店
  • メーカー: 角川書店
  • 価格: ¥ 460
  • 発売日: 2004/12
  • 売上ランキング: 34989
  • おすすめ度 5.0


町田さんが布袋さんに殴られたらしい、というニュースを読み、
大変だ、とばかりに町田さん公式サイト6月の日記を読み、
「うおおおおなんだこの日記は」、ぐししと笑いながらしばらく日記を読みふけり、
そして町田さん禁断症状に苦しんだ私は、この本を手に取った。
たくさんある町田さん積読の中から今これを取るのは不謹慎だなあ・・・・。

私の中では、いくら「パンクロッカー」とか書かれてても、ギタリストの布袋さんと喧嘩してても、
いくら顔がかっこよくても(関係ない)、町田さんはずっと変わらず作家なんだよな。

町田康って、凄く味が濃いけれど時々ものすごーく食べたくなるラーメンみたいで、
だいたいが平均以上に美味しいのだけど、「うー。こんな美味いもん食えるなんぞ、
恥を晒しながら生きてた甲斐があったわい、よろろ。」と泣き崩れたくなるくらいのもある
(「告白」がそれ)。
今回も美味しい味付けでございました。ぴりりとピリ辛風味か?
実録、とある。売れないパンク歌手で売れない俳優で売れない文筆業などやっている
マーチダコーなる「私」が、あちらこちらでとんでもない業界人と出会って
えらい目に遭う、そんな物語とも私小説ともとれる短編がいくつか。
おもしろおかしく大仰には書いてるんだろうが、実録、つまり実際にあった話な気がする。
最下層アーティストが気を付けなきゃいけない業界裏話マニュアル本みたいな?
うまい話には裏があるみたいな?

図々しすぎるお願いをしてくるボランティア雑誌の担当者、奇抜なファッションで撮影させる
アーティスト達のうんざりな言動と、そのわりにはとんでもない話が続くんだけど、
でもきっとあったんだろな、って気はする。いなさそうだけどいたっておかしくないわ。
社会に出て、大人がみんな常識的で紳士的だなんて幻想は一気に消えたし、
「はあ?」って言いたくなるような非常識な人達にも今までいっぱい出会ってきたし。
ギョーカイだろうが一般社会だろうが一緒だろうよと思う。

「絶対売ってみせます」と言い切られて専属契約させられた事務所で、
端役俳優の仕事しか取ってこない担当にあたっていた時の話がひどくって、でも面白い。
レイプをしようとするヤクザの役とかもらってきて(しかも出番は一瞬)、
それを「好演」しちゃって評判良かったらしいマーチダさんにも相当笑える。
紐育に行っちゃった話もすごかったなあ。ニューヨークの最新の息吹を感じる企画で、
とんでもない場末のところに連れてかれてたりする。息吹が感じられないマーチダさんは、
ニューヨークではおけさと蕎麦打ちが大流行、と雑誌に書く(これはほんまなんか?爆笑)。

思ったのは、自分の常識思いこみが、必ずしも人の常識と合致しないということを、
人は忘れがちなんだなということ。
ニューヨーク編では、「雑誌に載ってるから」オシャレな場所だと思いこんでいる
担当者がマーチダ氏を場末に引き回す。
情報を発信する側の雑誌担当者がそんなんでどうする、と思うが彼女にとっては
それが常識で当然なこと。
ボランティア雑誌の依頼にも同じようなことを思う。「無償で高尚なものを作ってる
誇り高き俺たち」な彼らの「当然のこと」とマーチダ氏の常識があまりにかけ離れていて、
爆笑しながらもいろいろ考えてしまったわ。
私も自分の常識だけで物事を測って誰かに押しつけたりしていないか?
仕事しながら気を付けようと思った。まっとうな職業人を目指そう、私。

あくまで自らを「最下層のアーティスト」と貶めながら、変なギョーカイ人にあって
つい口車に乗せられつつも自分の常識や信念を持ち続ける町田さんの生き様も、
かっこいいなと思いつつ読んだ。でも町田さんの「常識」も相当変わってるけどねー

でも内容はともかくさあ(って、おい)文章がとにかく面白くてねえ。
壊れかけのファックスについて延々数頁描写しただけでここまで爆笑を誘うって凄いよな。
町田氏にはただ、延々文章を垂れ流しておいてくれたら、私はそれだけで幸せなのだ。
同じ大阪南部の出身ってことも関係してるとは思うけど、その独特の文体がものすごくなじむ。
だから私にとって町田作品は特別なのだろうと思う。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:54 | category: 作家別・ま行(町田康) |
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