本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ロボット」カレル・チャペック/千野栄一訳
ロボット
ロボット
  • 発売元: 岩波書店
  • 価格: ¥ 588
  • 発売日: 2003/03/14
  • 売上ランキング: 54486
  • おすすめ度 5.0


チャペックと言えば。本を読む人々。SNSのメンバーとのチャットで、
この「ロボット」の話になり、で、誰かが「チャペックと言えばエコバッグを買った」的な
発言をしたので、私は驚いて、「え、ロボットのエコバッグ?」(↑)と聞いたら、
しばらく大笑いされました。
言っていたエコバッグはダーシェンカグッズらしいです。うん、これならかわいい・・・。
チャペックという人がこのキャラクターを生み出したということを知らなかったのね、私。

というわけで「ロボット」、戯曲です。
本を読む人々。SNS内の「励まし合って読書会」コミュの6月課題本、
ぎりぎり読みました。課題じゃなかったら絶対読んでないジャンルの本で、
そして岩波文庫って、あれだけ本を積んでいて全然持ってなくて。
調べたら、唯一萩原朔太郎「猫町」があったのみでした。しかも読んでないという。とほほ。
岩波文庫、教養の塊みたいなイメージ・・・でも私からは遠い・・・
「ロボット」という言葉はこの戯曲から生まれたらしい。すごいな。
発表は1920年。日本ではまだ大正9年。昭和ですらない。
第一次大戦が終わったばかりだ。そんな時期にこれを書いたのか。すごすぎる。

しかし、この戯曲での「ロボット」は、私たちがイメージする機械仕掛けなものではない。
人間の身体を化学的に作る。クローン人間みたいな感じかなあ。作りは人間と同じ。
知能は人間よりすごい。一度聞いたらすぐ覚える。ただ、感情には非常に乏しい。
時代がまだ古くて、科学の力がまだ見えなかったから、こういう設定になったのかもしれない。
でもこの時代にこの発想、すごく斬新だと思う。今読んでも全然古くないのだ。

ロボット工場で大量に作られたロボット達は、あらゆる工場に送られ、
人間の労働力の代わりになっている。ロボットの語源はチェコ語の「robota」(労働)だ。
労働から解放されたロボット工場首脳部は、美しい女性ヘレナと会い、その後ヘレナは社長夫人に。
でも、心のないロボットを哀れに思ったヘレナは少し複雑なロボットを作り、
そして少し心を持ったロボットは、人間に対して反乱を起こす。

戯曲なので、物語は社長室とかが舞台で、大量のロボットが表に出てくることはなく、
ロボットはせいぜい数人だ。でも、人間が窓から見ている景色を口に出して
ロボットの反乱の様子を説明したりして、緊迫感を持たせたりといった、
戯曲ならではの描き方が興味深かった。あまり戯曲を読んだことないし演劇もあまり見ないが、
舞台という限られた場所での無限の表現力、戯曲書く人にとっては当たり前だと思うが、
慣れてない私からしたらすごく面白いと思った。

もしかしてものすごくブラックなコメディじゃないのか、と思う時もあったが
(実際著者はコメディのつもりで書いたとどこかに書いてあったが)、でもあまり笑えない、
深刻なテーマが横たわっていると思う。
奴隷制度への痛烈な皮肉だとも受け取れるし、人種差別とかそういうことも考える。
労働とは何か?単純労働をロボットに託す、人は労働から開放され、遊び暮らす。
それは本当に人間としての桃源郷なんだろうか?わからない。
人にとって働くってどういうことだろう。金稼ぎ?生き甲斐?それを奪うってことは、
本当に幸せなんだろうか。私は今の仕事にやりがいもってるわけじゃないけど、
それでも家でぼんやりとしてなさい、全部やるから、って言われたらつらいと思う。
単純労働はそりゃ嫌だけど、どんな仕事でも誰かがやらないといけないわけだし、
卑賤な仕事、高級な仕事、そんなものもないんじゃないのかな。
なんて、すごい難しいことをふと考えてしまうような作品でした。

ロボットというタイトルで今の私たちは荒唐無稽なSF的なものを思ってしまうけど、
いまだに根強く残る普遍的テーマを真摯に扱ってる作品だと思います。
そういう意味で読んでも、やっぱり今読んでも古くないんですよね。
古典文学って凄いなあ。

ラストは希望なのか、絶望なのか。あのアダムとイブは、最初の二人なのか最後の二人なのか?
奇跡が起こるに違いないと楽観的に考えるもよし、絶望するもよし、です。
私は前者でした。新しい歴史に立ち会った気分で、本を閉じました。それもまたよし。

ここからロボットについて、余談。

今のロボットのイメージは、私にとってはロビタだ。手塚治虫「火の鳥」に出てくる。
ロビタの見た目はこちらで確認できます。ロビタの音楽レーベル!気になる!

いかにもロボットらしい見た目だが、心を持ち、「シカシ・・」と口答えしたりして人間らしく、
ある時、ロビタ達は集団自殺してしまう。なんとなくこの物語に通じるところもある。
ロビタは働き者だし、介護とかもしてくれるし。たくさん作られてるし。

あとは「パタリロ」のウランちゃんとか、最近で言うと映画「銀河ヒッチハイクガイド」
鬱病ロボットマーヴィンとか。私のイメージではそういう感じ。

最初はそういう存在だったロボットが、なんで私の今持ってるイメージみたいな
機械仕掛けなものになったのか、ふと調べてみた。
アイザック・アシモフの影響だろうと思っていたが、違った。
1926年のドイツ映画『メトロポリス』らしい。
AIBOのサイトで解説があった。
しかし、ロボット三原則を提唱したアシモフの影響ももちろん否定できない。
(更に余談だが、チャペックの「ロボット」発表の年、1920年にアシモフは生まれる。)

1920年に生まれた「ロボット」だが、鉄腕アトムやドラえもんは、相変わらず私たちの前には
現れてくれない。彼らとの共存がいつか近い未来に可能になっても、
本当に私たちと彼らは友好に暮らせるのだろうか?なんだか空恐ろしいものを感じます。
科学の進歩が本当に私たちに幸せを運んでくれるのか、
逆に私たちは生き甲斐も何もかも奪われ虚しく生きるようになるのか。
その時になってみなければわからないけど、私がもし彼らと出会えるなら、
対等に友達になりたいな。
| comments(3) | trackbacks(1) | 16:10 | category: 海外・作家別タ行(その他の作家) |
コメント
以前から名前だけは良く知っていた本ですが....
現存?しているんですね。
一度読んでみたかったので、今度、図書館で借りれるか探してみます。

ありがとうございました。
| west32 | 2007/07/08 12:40 AM |

west32さん
図書館はわかりませんが、普通に岩波文庫はネットで買えましたよ。
一読の価値はあると思います。
| ざれこ | 2007/07/11 1:58 AM |

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『ロボット(R.U.R)』カレル・チャペック
 ★★★☆ 戯曲形式、SF、翻訳物…というと、私のあまり読んできていない分野だし、ちょっと敷居が高いかなと思いましたが、読み始めると案外すんなり頭に入ってきました。 この本に登場するロボットは形状は全く人間と同じ。盲腸も扁桃腺も生殖腺もあるという
| こばんばこ | 2007/07/08 3:46 PM |
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