本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< June 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「猫のゆりかご」カート・ヴォネガット・ジュニア/伊藤典夫訳 | main | 「周公旦」酒見賢一 >>
# 「桐畑家の縁談」中島京子
桐畑家の縁談
桐畑家の縁談
  • 発売元: マガジンハウス
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2007/03/22
  • 売上ランキング: 74164


姉の露子、27歳、会社がつぶれて1年半、無職。妹の佳子の家に転がり込み、
だらだらと習い事などしようとしている。研修医の彼氏はいるけど、なんか結婚する気にならない。
そんな時、妹の佳子が言った。「私、結婚することにした」
妹の佳子は無口で、小さい頃からいじめられてるような子だったけど、いきなり外国人の
彼氏を作ってくるような子で、結婚相手はストレートに愛情表現をする陽気な台湾人。
そんな佳子の結婚に、露子は焦ってみたり先に目を向けたり、右往左往。
桐畑家の家族、無口な父も母も右往左往。そんな桐畑家の結婚顛末記。

中島京子さんは「イトウの恋」に続いて2作目。「イトウの恋」は、実在の人物をモデルにした
内容の濃い恋愛小説だったけれど、どこか飄々とした味わいがあって、それが魅力的だった。
今回はその「飄々」が前面に押し出されたかのような作品だった。
どの本を指して言うわけでもないし漠然としたイメージだけど、最近私ら30代独身が
共感すると「思われてる」本って、30代独身OLが仕事で軋轢とかに悩まされ、
恋人も不倫だったりとかして、でも年下の部下が迫ってきてくれたりして、
いっそ別れて別の男と結婚するかそれとも仕事するか、みたいな、
なんていうかな、とりあえずテンション高い女の人がいろんな困難にがつんがつんと
ぶつかって乗り越えていく話、みたいなのが多い気がするのよね。

私はもともと人生に対するテンションが低めで、資格を取得してキャリアアップ、とか、
生き甲斐のために他の勉強をしたいとか習い事したいとかも思ったことないし、
余暇は本を読んだりDVD観たりしたいから外に出たくないし、飲み会とかで外に出るの面倒だし、
結婚するのも面倒くさいけどいつまでも親と同居でごちゃごちゃうるさいのも面倒だし、
仕事辞められるんだったらまだ結婚する方がましかなと思ってるけど
ま、どっちに転んでも地獄(!)かなと思ってるし、まあとにかく、駄目な人間なわけです。
そういう人が「私頑張ってます」的物語を読むのは説教されているようでちと苦痛を伴うので、
なるべくそういうキャリアウーマン系の本は避けて通っている傾向がある。
(最近だったら林真理子の「anego」文庫化されたけど、手をつけてないし。前はちょっと
読もうかなとか思ってたのにな、こりゃますますテンション下がったな・・・)

でもこのいかにも私が避けそうな「縁談」話であるこの本は全然OKだった、むしろ共感。
露子がテンション低いからだなあ。先の展望もないし結婚もなあとか思ってるし
でもまあなんかデザイン系って感じの?と漠然と夢を見ていてちょっと伝をたどってる感じの、
いかにもだらだらと迷ってるって風な生活、普通ちょっとお説教したくなる感じだけど、
そのゆるさが良かったのかな。
ぬるま湯につかってると言われようが成長がないと言われようが、彼女とは友達になりたいわ、私。

で、後にあきらかになるんだけど、露子が立ち止まっちゃってるのにもちゃんと原因はあって、
けっこうそれもどうしようもない、昔の男が原因だったりするわけだけど、
でもその感じもすごくわかって、何年も前の恋愛から一歩も動けなくってずっと引きずったりして
それで人生止まっちゃうなんてことも私も経験してるし、そういうのを無駄な時間って
切り捨てて生きていくような人にはむしろなりたくないなあ、と。
そういう時間にむしろしっかりだらだらとしていろいろ考え尽くして、
で、そろそろ行きますか、と立ち上がる感じがいい。

迷っているから人生です、そんなような台詞を誰か吐いていた(あの老人だったかな?)
それが染みるというか、私もずっと迷ってるけど、それでいいのだ、と言われた気がした。
よーし、これからも迷走するか。私。

妹の佳子の、無口だけどなんかさばさばとした性格もすごく好き。職場で知り合った
図々しい台湾人に惚れているということにしばらく気づかない感じとか、
台湾人のバイトしている中華料理屋にいそいそ一人で行っちゃうところとか、
かわいらしいけどすごく決断力もあるって言うか、露子と正反対だったな。
それで露子は漠然と焦ったりしちゃうわけだけど、佳子の結婚をきっかけに、
露子も少し重い腰を上げたかな?どうかな?っていうゆるーい終わり方も好きだった。
桐畑家の焦りっぷりも面白かったなー。お父さんがいいわー。

そういう彼らをちょっと客観的な醒めた目線で見てるような、著者の皮肉っぽい描き方も好き。
なんか、いかにも世間に出回ってそうなテーマ設定の本なんだけど、
あまり読んだことない感じなんだよなあ。独特。好きだなあ。

章のタイトルが全部食べ物だったのが面白かった。それもけっこう庶民的な。
家族達は日常的に何かを食べながら生活を営んでいる。だらだらと。その雰囲気がまた良かった。

| comments(2) | trackbacks(2) | 12:15 | category: 作家別・な行(中島京子) |
コメント
すっごく面白くて共感しまくりでした。
この方の小説は初めて読んだけど、めっちゃ感性があうみたい。
良い機会をあたえてくれて感謝です!
| しんちゃん | 2007/06/30 5:17 PM |

しんちゃん
それは良かったです。男性でも面白く読めるんですね、なんか嬉しいな。
| ざれこ | 2007/07/02 4:20 PM |

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/682363
トラックバック
桐畑家の縁談
桐畑家の縁談中島京子マガジンハウス1575円Amazonで購入livedoor BOOKS書評/国内純文学_uacct = "UA-918914-3";urchinTracker(); 小さな頃はいじめられっ子で、地味だと思っていた妹の佳子が「結婚することにした」と言う。
| 本読み日記 | 2007/06/12 9:08 PM |
「桐畑家の縁談」中島京子
桐畑家の縁談中島京子 (2007/03/22)マガジンハウス この商品の詳細を見る この作品は、終始琴線に触れっぱなしで、ずっとニヤリ笑いをしながら読みました。 だからほっぺの筋肉が、きゅっとひきつって、顔が疲れた。すごく良
| しんちゃんの買い物帳 | 2007/06/30 5:11 PM |
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Selected Entry
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links