本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「死の泉」皆川博子
死の泉
死の泉
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 903
  • 発売日: 2001/04
  • 売上ランキング: 114389
  • おすすめ度 3.5


第二次大戦中のドイツ。子どもを身籠もった19歳のマルガレーテは、
ナチの施設、レーベンスボルンに入る。純粋なアーリア人を産むことを目的に、
未婚の母でも収容して子どもを産ませるその施設で、マルガレーテはクラウスという
医師に求婚され、安全な生活を求めて、愛のない結婚をする。
施設にはさらわれた純粋アーリア人の子どもがたくさんいたが、クラウスは芸術を
偏愛し、天使のような歌声を出せるエーリヒとフランツを自らの養子にし、
毎日欠かさず歌のレッスンをし続ける。研究室には身体を一体化された二匹のマウスが、
そしてクラウスも双子を使って人体実験をしている形跡が・・・?
そんなクラウスに不安を感じながら、それでも産まれた子ミヒャエルを守るため、
戦火を避けられるクラウス邸に居続けるマルガレーテ。
しかし、戦況はますます悪化し、彼らの運命も暗転する。

凝った構成だ。表紙をぱらぱらめくっていたら、「翻訳権独占 早川書房」なんて書いてあって、
翻訳?と思ってぱらぱらすると、「死の泉」という作品が、ギュンターという外国の作家が
書いたことになっており、野上晶という人が訳したことになっているのだ。
構成のすごさに参りつつ、それを一旦忘れて私は作品にのめり込んだ。

第一章はマルガレーテの一人称。子どもを守るために人生を選択し、愛のない結婚生活、
しかし少年に惹かれていく彼女の生活が淡々と、しかし濃厚に描かれる。
文章は句読点が多く、良い意味でねっとりとしていて、とても好みな文体で、
私は最初からそれにずぶずぶとはまりながら読み進める。
そしてマルガレーテは徐々に狂気の淵に迷い込んでいき、すごく気になるところで
1章は終わるが、第二章からは三人称になり、マルガレーテから視点が離れてしまう。
文体の魅力は少し減るものの、マルガレーテはどうなったのか、それが気になって
相変わらずページを繰る手は止まらないのだ。読ませ方がうまい。
二人の養子達はどこへ?そして、右翼に転んだ少年ゲルトの父親は?

登場人物達の思惑は絡み合い、そして最後には朽ちた古城に集まってくる。
マルガレーテが幼い頃に行き、謎の老人と青年を見たあの城。謎は解けるのか、
そして彼らの運命は・・。
濃厚で幻惑的な雰囲気が最後銃撃戦とかなってしまって、ちょっと雰囲気違ってしまったけど、
最後まで引っ張られて読んでしまった。時々腑に落ちないところもあったけれど、
概ね謎は解けたかな、うーん、とか思っていたら、

訳者、野上晶のあとがきで、・・・また全ては霧の中。

私は最初「なんでよ?」って思ったけど、後からじわじわ効いてくるのがこのあとがきで、
おかげでこの作品の印象がすごく強くなって、なかなか私から去ってくれない。
だいぶ前に読んだのに、いまだにずっとこの世界にいるような、そんな気がしてしまう、
なんとも不思議な読み心地だ。この作品はあとがきまであって一つの作品として
完成している、そういう気がした。

しっかりと心をつかむエンターテイメントで、濃厚な文体、凝りに凝った構成、
全部私好みだった。今まで知らなかった作家さんだけど、他にも読んでみたいな。

レーベンスボルンという施設は本当にあったようで、ナチによるアーリア系の子どもの拉致、
そんなものもあったようだ。そこで人体実験をしていたかまでは知らないけど。
クラウスの嗜好、不老不死を目指す人体実験や、少年の声に執着し、それを永遠に保とうとする
異常性、そんなものがこの作品を幻想的にしていて、題材的にちょっと気持ち悪いなりに、
作品としての魅力が増してるのも間違いないんだよなあ。むむ・・・。
たくさんの要素が混在している作品だけど、私はフランツとマルガレーテの関係が
すごく官能的に思えて、どきどきしてしまいました・・・。変・・・?


| comments(1) | trackbacks(1) | 17:09 | category: 作家別・ま行(皆川博子) |
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皆川博子『死の泉』
皆川博子『死の泉』 早川書房 ハヤカワ・ミステリワールド 1997年10月20日発行 第二次大戦下のドイツ。 私生児をみごもりナチの施設“レーベンスボルン”の産院に身をおくマルガレーテは、不老不死を研究し、ボーイソプラノに異常なまでに固執する医師クラウスの
| 多趣味が趣味♪ | 2008/05/25 1:36 PM |
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