本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< May 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 2007年04月に読んだ本 | main | 「死の泉」皆川博子 >>
# 「気になる部分」岸本佐知子
気になる部分
気になる部分
  • 発売元: 白水社
  • 価格: ¥ 966
  • 発売日: 2006/05
  • 売上ランキング: 3826
  • おすすめ度 5.0


岸本佐知子さんは翻訳家。私は翻訳本をほとんど読まない人だったので、
恥ずかしながら名前も知らず、「yomyom」創刊号でやっと知ったという次第。
翻訳食わず嫌いの私だけど、今年からちょっと頑張って読んでみようと、
月1,2冊程度だけど翻訳も読み始めてて、でももともと読んでないから情報がない。
そんな私に、本を読む人々。SNS内の翻訳モノに詳しい方が、ニコルソン・ベイカーの
「室温」「中二階」が面白いよと教えて下さっていたのだが、
その訳者が岸本さんだというのも最近知ったのでした。いやいや、お恥ずかしい。

私の場合、翻訳モノは翻訳する文章が気になってどうもとっつきにくい。
でも最近、翻訳者が誰かということを気にし始めたら、とっつきやすくなってきた。
一冊読んで読みやすかったら翻訳者を覚えておくと、次にその人の訳した本を
見かけても躊躇無く手に取れる。
最近では小川高義氏(「さゆり」「停電の夜に」)、土屋政雄氏(「わたしを離さないで」)、
東江一紀氏(「ストリート・キッズ」)だと安心かな。特に小川氏は相性がいいと思う。
翻訳とは入り口が違うけど、「文学賞メッタ斬り!」でなじみのある大森望氏も、
私にとってはまあまあ安心な1人。彼の翻訳はSFが多く(2作しか読んでないが)、
設定云々で入りづらくハンデはあるのだが。
裏方であるはずの翻訳者の仕事ぶりがわかってくると、なんだか海外作品でも
身近に感じられたりするのかもしれない。

というわけで、今回この岸本さんのエッセイを読んで、すっかり岸本さんに安心したので、
この方の翻訳なら読んでみようと思いました。人柄の問題・・・?
「室温」「中二階」とも、ほとんど物語のないすんごい細かいことばかり書いてある
長編小説らしくて、内容は非常にとっつくにくいのだが、この人が訳してるなら、と
思いを新たにしてみた。岸本さん自身も、この2作品への思い入れをこのエッセイで
熱く語っていて、それが私の読書欲を刺激したのもある。頑張ろうっと。

さて、そんな岸本さんのエッセイなんだけども、いやあ、笑いました。爆笑。
知性がありありと垣間見られるステキな文章なのにどうしてこんな爆発的な笑いを
生むんでしょうか。すごいよなあ。
友達のOさんの話とか(正月の書き初めを「うつろな日本語」と表現するセンスは最高)、
満員電車の中での変な人の話(実話なのか?面白すぎる)、
謎のホテルきのこ会館での一晩など、面白すぎる日常が目白押し。
あとさあ、「カダン、カダン、カダン、お花を大切にー」のCMソングが
しばらく頭をぐるぐるまわって離れなかった。あの曲、強烈だよなあ。

こういう当たりのエッセイを読むと、平々凡々とした日常も、違う視点でみたら
こんなに面白いのか、と再発見できて、なんだか私はいつも日記をつけたくなる。
日記ブログとか更新してみたりする。
でも、岸本さんみたいにおもしろおかしく日常を見られるわけでもなく、
結局だらだらと日々を綴るのみになってしまうんだけど。
普通は何もない日常を楽しく書くのは本当に大変。エッセイなんて誰でも書けそうだけど
エッセイストになる才能と言うのは当然あるわけで、凄いなあと思ってしまいます。

岸本さんは、マイナーである自分について早くから自覚があったみたいで、
幼少時代、会社時代に自分が社会に馴染めなかったことを、これもおもしろおかしくは
書いてるんだけど、なんだか私は少し切なくなりました。私もわりとそうで、
わりとうまく生きられないなので、気持ちが共有できてしまうところがあって。
マイノリティ(変人。・・・・。)っていろいろ大変なんだよね。
翻訳家にもエッセイストにもなれない私は、社会にもまれていくしかないんだけどさー。

とにかく大笑いのおもしろエッセイです。翻訳好きも嫌いも是非。
| comments(4) | trackbacks(2) | 17:05 | category: 海外・訳者別(岸本佐知子) |
コメント
こんにちは。
岸本さんの翻訳本は1冊も読んでないですが、エッセイは2冊とも読んでる木曽です。
いま最高にぶっ飛んでるエッセイストですよね、というか妄想家、妄想の巨匠。
きっと毎日、地道&堅実に妄想してるんだろうなあ、偉いなあ。
エッセイ第2作「ねにもつタイプ」は、「気になる部分」よりさらにパワーアップしてます。
お気をつけください。
| 木曽のあばら屋 | 2007/05/08 6:22 PM |

木曽さん
遅くなりました。すいません。
「ねにもつタイプ」は更に危険ですか。更に電車では読まないようにします。
| ざれこ | 2007/05/22 4:52 PM |

こんにちは!
私もコレを読んだら、難解そうなニコルソン・ベイカーへの意欲が沸いてきました。
その前に『ねにもつタイプ』を入手したいですね。
| momo | 2007/06/28 5:53 PM |

momoさん
ですよね、ニコルソン・ベイカー読みたくなってきますよね。頑張って挑戦してみます。
「ねにもつタイプ」も気になりますねー。
| ざれこ | 2007/07/02 4:12 PM |

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/670325
トラックバック
気になる部分/岸本佐知子
気になる部分岸本 佐知子 白水社 2006-05評価 by G-Tools , 2007/06/28 最近いくつかの書評で見かけていた岸本さん。変わり者だとはどこでも言われていましたが、かなりのもんですね。 これは、翻訳家の岸本さんのエッ
| たまゆらのつぶやき | 2007/06/28 5:52 PM |
気になる部分:久しぶりに声を出して・・・
だいぶ以前、「ねにもつタイプ」というエッセイを紹介したことがあります。 そのエ...
| はてさてブックログ | 2008/05/16 10:15 AM |
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links