本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「レインツリーの国」有川浩
レインツリーの国
レインツリーの国
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,260
  • 発売日: 2006/09/28
  • 売上ランキング: 22161
  • おすすめ度 4.0


「図書館内乱」で重要な本として出てくる「レインツリーの国」という本が、
「内乱」を飛び出して、ついでに出版社を飛び出してコラボされることになって、
「内乱」とこれを同時に見直して、「出版社違うんかよ」と驚いてしまった。すごいなあ。
出版社関係なく、面白い本を出していこうという試み、いいですよね。

昔読んだシリーズものの本について思い出して、誰かの意見を聞きたくなった伸行は、
ネットで書名を入れて検索してみた。そこで見つけたサイト「レインツリーの国」で、
「ひとみ」というハンドルネームの人が書いている文章に好感を持った伸行は、
その人にメールを出し、そして二人の交流は始まる。
ひとみに会いたくなった伸行は、そうメールするが・・・。

えっと、ネタバレいいですよね、「内乱」読んだ方は全員知ってる話やし。
でも一応ネタバレいややなって人は以下読まないようにしてください。
菊地凛子がアカデミー助演女優賞を逃しましたね。残念。
その菊地凛子は「バベル」では聴覚障害者を演じてるけど、台詞が日本語なので
字幕が出ないため、聴覚障害者の人が映画を見れないと残念がっているらしく、
今対策を講じているっていうニュースを読みました。
「レインツリーの国」を読んだあとにそのニュースを読んだので、
それがどういうことか、実感を持って考えることができました。

ひとみは聴覚障害を持っていて、で、健常者である伸行とわかりあえない部分があって、
彼らの気持ちがすれ違ったり、またよりそったりしていくのを描いたこの本で、
なんかいろいろ考えてしまいました。

私は障害を持っている人を特別扱いしたくないと思っていて、
車椅子で動いている人を見ても、特にそこを凝視しないように意識してて
(だって、普通に歩いている人をじろじろ見たりしないはずだから)、
でもその「意識してる」ことが既にダメやなあ、とへこんだりもしています。
凝視しないようにしていても、車椅子がきたら道をどくのは当然だし、
まだ出会ったことはないけど、段差とかで困っていたら自然に手を貸してあげたい、
とも思ってます。でも過剰に助けてもいけないんだろうな、とも。
でもこんなことを思うのが既に健常者ってことかな、と、
延々と堂々巡りで、思っています。

この本を読んで、障害者であっても健常者であっても人は皆、悩みを持ってる、
そのことでした。当たり前なんだけど、それを改めて気づかされた。
お互い、いい部分もダメな部分もあって、それで当たり前なんだよな、と。

それを軽い筆致で軽やかに伝えてくれたこの作品には、ちょっと目を開かされました。
どうってことない恋愛小説なんです。でも時々はっとするようなことを、
登場人物は言うんです。
被害者ぶってわがままばかりのひとみに自分の不幸をぶつけて、
「ごめん、君が泣いてくれて気持ちええわ」という伸行。

誰でも、悲劇のヒロインになりたい願望ってあると思うんです。
私ってこんなにかわいそう、っていう思考には、甘い味がします。
大学の時、一時期苦労ばかりを背負いこんで、私は悲劇のヒロインぶってました。
あー私ってかわいそうって思ってへこんでばかりいました。
その私の性質を厳しく指摘してくれた先輩がいて、私は自覚して、そこから
脱却することができましたが、いまだにあの時代を思い出すと虫唾が走ります。
悲劇のヒロインぶる女は醜い。当時の私は、ある意味最悪でした。
ま、でも今思えば、当時の苦労は全てその先輩が持ってきたもので、
ある意味理不尽極まりないんですけどね。
それを考え出すと感謝が怒りに変わるので、考えないようにしています・・・。

でも実は母子家庭やし貧乏やし独身やしブスやし、悲劇のヒロインぶるのは
本当は今でも簡単なんですが、昔からホンモノの不幸には反応しない私でした。
しゃれにならんからでしょうな。「私ブスで独身やねん、かわいそう」って。ギャグ?
年をとっていろいろ笑い飛ばせるようになりましたな。年を取るのも悪くないな。

私にとっては、若気の至りを思い出すような苦い物語でもありました。そういう意味で。

軽く読めてしまうし、泣いた、とかそういうこともないんですけど、
読み終わると心が温まって、恋愛というより、人と人のつながりっていいな、
そんなことを思いました。

あれ、思ったより真面目な感想になってしまった。
私も読書ブログをやってる身、「こんな出会いがあるかも?」と読んでる最中に
一瞬妄想しかけましたが、これだけ大阪弁で小汚い感想を書いてる女に
誰が近づいてくるというのか、むしろこないでくれ、と我に返ったりして。

これを「図書館内乱」で小牧が毬江ちゃんに薦めたことが、
改めて嬉しく感じたりもしました。小牧、やるなあ。
あと、「内乱」中、サイトでくそみそにけなされるのがこの本だったはずですが、
著者のその自虐趣味もけっこう好きだなあ・・・。

完全に余談ですが、
私のハンドルネーム「ざれこ」は、もちろん本名じゃないです。
読書感想用に作ったサイトに「戯言」なんて芸のないタイトルをつけた私は、
「戯言やし戯子でええわ」と、「ざれこ」にしたのでした。
今はサイトはほぼ死に絶えて読書感想データベースとなってますが、
謎のハンドルネームだけ残っております。
はい、どうでもいい知識でした。
| comments(4) | trackbacks(7) | 17:18 | category: 作家別・あ行(有川浩) |
コメント
こんにちは★
そっとあたたかく見守ってあげたくなる二人でしたね。
と同時に、多かれ少なかれみな辛い何かを背負っている、
それでも前を向いて生きていこう…
そんな勇気をくれた作品でした。

私もこの本を読んだ後スグに、「バベル」のコメント観ました。
字幕があるくらいならその映画は観ない、と言う人も少なからずいるのがショックでした。
ボーダレス社会にはまだまだ遠いですね。
| Rutile | 2007/03/01 12:34 PM |

こんにちは。
ハンディキャップをもった身内がいる私でも、なかなか自然なリアクションが取れません。ざれこさんもあまり気にされる必要はないのでは・・・。
アメリカで生活していて思うことはハンディキャップ以前に助けが必要な人(子連れのみならず、大きい荷物を持っているだけで)に対する感度がむちゃくちゃ高いこと。助けて欲しいときに遠慮なく自己主張するのも当然のことだし、いい加減な国だなぁとイライラすることも多々あるけど、見習うべきことも多いなぁとも思います。
「バベル」良かったですよ。菊池凛子はやはりすごくで、周りで観ている米人どもが彼女の演技に息を呑んでいるのを感じて、しめしめと一人喜んでいました。
話題の和書を素早く安く手に入れることが出来なくて地団駄を踏むことも多いので、こういうときこそ張り切って宣伝しちゃいます。
| カナタカ。 | 2007/03/01 3:17 PM |

Rutileさん
ほんま、温かくていい作品でした。
「バベル」の字幕問題、そんなこと言う人いるんですね。私は字幕があっても観ますけど・・・。日本語に字幕って確かに違和感ですけど、「ラストサムライ」ではご丁寧に英語の字幕が入ってて、あれは気が散ったけど(笑)日本語なら大丈夫、ですよね?

カナタカ。さん
いいないいな、もう観たんですね。私も早く見たいです。菊池凛子も早く観たいなー。アメリカ暮らしもいいですね(そこだけ・・英語ダメやし)
確かに日本じゃ、みんな遠慮しあってしまってうまくいかないこともあるのかもしれませんね。それが美点でもあるし、難しいところです・・。
| ざれこ | 2007/03/03 12:50 AM |

こんにちは。

私が勤めている会社に同じ字の“ひとみさん”がいらっしゃいます。
それだけで、親近感が倍増でした。

図書館で借りてそのまま電車で涙ぐみながら読んだ作品です。

ハンディキャップを持っている人に、押し付けではなく少しだけでも親切に出来たら良いと思う今日この頃です。

映画バベルほとんど興味は無かったのですが、このBlogを読んで観に行きたくなりました。

ざれこさんの“映画を観る女”を楽しみにしています。
| kazumi | 2007/03/03 5:09 PM |

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