本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ/土屋政雄訳
わたしを離さないで
わたしを離さないで
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2006/04/22
  • 売上ランキング: 1073
  • おすすめ度 4.5


えっと、ネタばれ厳禁でいきます。
コメントにちょっとでもネタばれな感じの語句が少しでも入ったら
さくっと容赦なく消しますから皆さんご協力よろしくお願いします。
私も最大限気をつけます。・・・そんな物語です。

介護人のキャシーが、これまでの人生を回顧している、そういう物語です。
彼女と、同じ施設で育ったルースとトミーの物語が、淡々と綴られていきます。
カズオ・イシグロ氏はイギリス在住の方で、私は最初何も知らない時は
イギリスにいるけど日本語で小説を書いてる方かと思っていましたが、そうではなく、
訳者がついていました。土屋政雄訳。でも訳文がとても美しかったので、翻訳とか
そうでないとか、そんな違和感すら感じずに読むことが出来て、幸せでした。
良い訳をしてくれる訳者の人には感謝。ほんまありがたい、といい訳に出会うたびに
しみじみ思います。私が本当だったら読めないはずの海外の素晴らしい作品を、
ちゃんと読めるようにしてくれて、価値を損なわない。嬉しいことですね。

淡々とした日常と思い出話に見える物語ですが、読み進めていくと、
小説全体の色というか景色というか、ががらっと変わる瞬間が訪れます。
それに私は驚かされ、それからはすごくやりきれない、哀しい気持ちで読み進め、
でもページを繰る手を止められませんでした。

不幸も幸せも何も知らない人生、全て知っている人生、どちらがいいのか、そんなことを思いつつ、読みました。
それはエミリ先生とルーシー先生の考え方の相違に現れていましたが、どちらが良かったのか、
いまだに答えがでない部分です。
でも私は、自分にまつわることは全て知りたいと思いました。
知るのも怖いけれど、何も知らないのはもっと怖い、そんな気もしました。

そして、人はその人生の中でどれだけ充実した日々を過ごせるのか。そんなことも思いました。

なんて感想を書いていても少し涙がにじむくらいです。
哀しくてやりきれない、けれど、とても心に響く、心揺さぶる物語でした。
いっぱいここに書けないのがもどかしいのですが、いろんな人に読んで欲しい作品です。

このミステリがすごい、の海外編で10位になったとのこと。
確かに、物語全体がミステリと言えなくもないですが、ミステリという枠に押し込めて、
更にそこで10位にしてしまったことに少し憤りも感じます。
ミステリであるとかそうでないとかいう以前に素晴らしい物語だと思いますし、
「これってミステリじゃないやん」ってことで評価が下がってしまうのは非常にもったいない。
どこかにカテゴライズして欲しくない作品ですね。

あらゆる先入観を排除して、読んで欲しいです。
わかりづらいかもしれませんけど、私はむちゃくちゃ絶賛してます。

カズオ・イシグロの本は今年たくさん読んでみようっと。
次は「日の名残り」かな。
| comments(12) | trackbacks(6) | 16:26 | category: 海外・作家別ア行(カズオ・イシグロ) |
コメント
ざれこさん、こんばんは。
これ、いいでしょー。
私も昨年のベスト5の中に入ってます。
とても静かなのに、強く激しい。そんな感じがしました。
本の装丁が白いのに印象に残ります。
「日の名残り」も気に入っています。是非是非♪
| ワルツ | 2007/01/22 8:29 PM |

こんにちは。
何を言ってもネタバレになりそうな作品でこわいですね。
ただ、ネタバレしただけで読む意味がなくなるような
薄っぺらい作品では決してないと思います。
作者のインタビューに面白い話が載ってました。
刊行間もないころ、イギリスの某新聞の書評家が
この作品のことでイシグロ氏に電話してきて、
「書評でどこまでバラしていい?」
イシグロ氏、
「・・・なにを?」
この瞬間まで、作者はネタバレがどうとか全然思ってなかったんだとか。
| 木曽のあばら屋 | 2007/01/22 8:38 PM |

ワルツさん
はい、すごく良かったです。静かで淡々としているのに、一人で動揺しまくる物語でした。ああ、私の動揺レベルが上がっている、介護して、って感じで・・。(笑)読み終わってしばらく放心でした。すごい。

木曽のあばら屋さん
はい、多少ネタが割れても魅力は損なわれないと思うのですが(むしろ中盤から様相が変わることを伝える方が挫折者は少ないのではないかと)、でも私と同じ驚きを体験して欲しかったのです。アマゾンではさくっとネタバレしてる方もいて、寂しかったです。
イシグロ氏は自然の流れとしてこれを書いたんですねー。「さ、ちょっとずつばらしてやろう」って計算もなくこれだけ私を驚かせてくれたのか、と思うと更に驚きました・・・。
| ざれこ | 2007/01/23 1:55 AM |

こんにちは!
こちらへは初めてのコメントです。

カズオの作品は、概ねこう云った感じの… 非常に曖昧な筆致が特徴で、この作品でもカズオが例の件を隠そうとしていた訳ではないのだろう… と思います。
寧ろ、わたしとしては、この作品は書き過ぎる程に書いていると感じました。 ある曖昧なテーマ、主張(?)をその周辺を丹念過ぎるほど丹念に描いて行く中で、本当に書きたい事(伝えたいこと)を書かずに膨大な行間に滲ませてゆくのが彼の凄い所なんだと思うのですが、この作品の場合、核心それ自体を遠回しに描き尽くして俯瞰図として明らかにしちゃっている… というか… 何が云いたいんでしょうか、わたし?(笑) 
| | 2007/01/23 9:33 PM |

この本は出来る限り先入観なしで読んでほしい、私もそう思います。何も言えないけどとにかく読んでみて、そういう一見無責任な一言を責任もって言える希有な本です。
翻訳文体は苦手な方なのですが、この作品の訳文はよかったです。意識せず自然に読めました。
| たまねぎ | 2007/01/23 10:59 PM |

ざれこさんこんにちは。
いいですよね、この本!

翻訳がいいので、海外作品苦手な人にもおすすめできそうです。

読み終えたあとの、しんしんと切ない感じ、この装丁を見ただけで胸によみがえります。
| chloe | 2007/01/25 10:59 AM |

ユイーさん
他のカズオ作品を読んでいないのもあって、私はこれでも充分行間のすごさを感じました。迫りくる行間、みたいな・・・(変、日本語)。他の作品は更に迫り来るのですね。もう私の想像力が足元にも及ぶのかどうか不安もありますが、読んでみます。

たまねぎさん
そうですね、「説明できへんけどええから読め、今すぐ読め」と押し付けても誰にも怒られない、むしろ感謝される。楽ですね(笑)すごい本でした。

クロエさん
オススメありがとうございました。本当に読んでよかったと思います。翻訳も美しかったですね、非常に。翻訳の日本語でうっとりしたのは初めてかも。
| ざれこ | 2007/01/29 12:25 AM |

この本、本当にすごいですよね。
なんかこう、うまく言えないけどすごいって感じ。
訳もとてもきれいでしたね。
とりあえずTBしてみたのですが、、、ネタばれにひっかるようでしたら削除してくださいね。
| みわ | 2007/01/29 1:08 AM |

みわさん
そう、本当にすごいとしかいえないですよね・・・。
TB、全然ネタバレじゃないですよ?しかし、感想書きづらい本でしたよね(苦笑)
| ざれこ | 2007/01/29 1:26 AM |

この作品はホントに前知識なしで読む作品ですね。物語に出会う喜びを、ぼくも久々に堪能させていただきました。再読すると、また違う味わいがありそうですね。
| すの | 2007/02/07 5:24 AM |

映画を見て切なくなりました。 それから本を読んで、映画の情景がそのまま感じられるような文章の世界でした。 訳者の土屋政雄氏が後書きで、エミリー先生は自分の介護を優秀な介護人のキャシーに頼むだろうかとありました。 私はルーシー先生は頼んだとしても、エミリー先生は決して接点を持たないと思いました。
| 田中 | 2012/08/30 9:22 PM |

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