本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< June 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「ボーン・コレクター」ジェフリー ディーヴァー | main | 「熊を放つ」ジョン・アーヴィング 村上春樹訳 >>
# 「ガープの世界」ジョン・アーヴィング
オンライン書店ビーケーワン:ガープの世界 上巻オンライン書店ビーケーワン:ガープの世界 下巻

やっぱり翻訳モノは読むのに時間がかかるようだ(一週間かかった)が、
この本は簡潔な文章ですいすい読めたほうだ。

処女作「熊を放つ」では話に入り込むまでにかなりの時間がかかった私、
今回はどうだろうと思いつつ、実はあまり期待しないで読み始めた。
いやあ、しかしこれが、面白いのなんの。

話は映画館で突然痴漢の腕をメスで切ってしまうカッコイイ?看護婦のお母さんが
登場して始まり、そして「欲望とは関係のない」方法で子供を作ってしまうという、
既に誕生からして普通じゃない、そういう子供ガープが主人公の伝記である。

ガープはそして「ある女の子が作家の奥さんになると言った」から作家になり、
そしてその女の子を妻とし、子をもうけ、地味に創作にいそしみ、幸せに過ごす。
母は自らの自伝「性の容疑者」で社会現象となり、女性運動家にまつりあげられる。
そしてガープと家族自身にも不幸が訪れ、それが彼の小説世界を変えていく・・・

ネタでもギャグでもない、上質な「ユーモア」が全編に漂う、
非常に趣味のいい物語であった。
ガープも作中で言う。
「なにが喜劇的で、何が悲劇的かということに関しましても、(略)
世の中は全く漫然としていると思います。(略)
「真面目」と「こっけい」がどうして正反対のものと考えられているのか、
どうも私には昔から理解ができませんでした。
人間の抱えている問題はしばしばこっけいであり、
にもかかわらずもの悲しいものであるというのが、私にとって真実の矛盾律であります。」

で、人生において彼も悲劇に見舞われるのであるが、
その悲劇(それは本当に悲劇なのだが)ですら、
なんとなくユーモアあふれているような気が私にはするのだ。
いや、失笑でも、冷笑でもなく、温かい。そういう雰囲気が全編に漂っている。

それでも、「死」というものが重く扱われていて、親しいものの死や、
どんな人でも最後には死ぬということ、それがどっしりと重くのしかかる話でもあるが、
それでも作品に漂うユーモアのおかげで、結局は「じゃあ、せめて楽しく生きようよ」てな
気分にさせられる。そういう、深くてステキな本だった。
いい本に出会えてよかった。

で、この作品は作者の自伝的小説であるという。
「小説は人生よりもよく造られたものでなくてはならない」とガープに言わしめ、
作者は小説の自伝的要素を嫌っているようであるが、
さて、この小説はどこまで本当なの?と私は下世話な読者になって聞いてみたかった。
と思ったら解説に詳しかった。解説も楽しく読んだ。


| comments(0) | trackbacks(0) | 04:31 | category: 海外・作家別ア行(ジョン・アーヴィング) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/624566
トラックバック
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links