本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「シュミじゃないんだ」三浦しをん
シュミじゃないんだ
シュミじゃないんだ
  • 発売元: 新書館
  • メーカー: 新書館
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2006/10
  • 売上ランキング: 24059
  • おすすめ度 4.5


突然だが、余談から。
なんかどこかの記事でも書いた気がするエピソードだが、あえて。

大学のとき、友人(男性)宅で友人達(私以外全員男性)と飲んでた時、
私が「エロビデオみせてよ」と提案したことがある。目の前にあったからだ。
カマトトぶるでもなく、正直私は見たことがなかったので、興味津々だったのだ。
「あれやろ、団地妻のもとに営業の人がきて、「いいじゃないですか、奥さん」
「だめよ、子どもが帰って来るわ、ああ」「まだお昼前ですよ、ほら、エプロンはずして」
「いやよいけないわ、ああん」みたいな展開?どんなシチュエーション?」
と目を輝かせて男友達に聞いたが、「いや、そんなもんないよ」と一蹴。
「つうか発想貧困すぎ」・・・悪かったな。

じゃあ何が楽しくて君達はエロビデオを見てるわけ?と更に興味を持った私だが、
・・・ストーリーなんか全くなかった。おっさんが女子高生にインタビューし、
そのまま「指導」?になだれ込むというパターンで、非常にくだらない。
私はすぐに眠くなったが、男どもは揃って興奮、「靴下脱いでないのがたまらんなあ」
なんて言っていた靴下フェチがいたのを覚えてるけど。くだらん。

つまりあれだ、エロビデオはまさに欲求のはけ口なわけだ。男にとっては。
ただ、いたしておればいいわけだ。最初から最後まで、とにかく。
でも女は多分それじゃ納得しないよ。まあ、女向けの商品じゃないだろうが、
そこに「物語」がないと萌えないのだ。どんな胡散臭くてもいい、
エロビデオなんだから胡散臭くていいのだが、とにかく必要なのだ、「物語」が。

何を語ってるんだって感じだが、ちゃんとこの本の感想につながるのだ、今から。
この本はBLマンガ紹介本である。BLとはボーイズラブのことである。
男と男がその、愛し合ったりするマンガたちである。

中学時代にもそういえば流行っていたし、今では1ジャンルとして確立している
BLだが、私はほとんど読んだことがなかった。
中学時代の男子達には薄汚いイメージしかなく、「彼らがそんな、汚いわ」と
当時は思っていたし(カマトトぶってもよかろう、中学生なのだ)、
なんとなく大人になっても「男と男がいたしているだけであろう」という、
激しい偏見を持ってその分野は避けて通っていた。
大学の時に見たエロビデオなイメージをそのままあてはめていたのだ。

でもこの本を読んで、ふと魔が差した。
例によって、三浦しをんは、いかにも面白そうに作品を紹介している。
よし、よしながふみなら読めるであろう、「大奥」も「愛すべき娘たち」も
傑作であったし、多少BLだろうが問題ない、と私は買ってみたのだ。
「ジェラールとジャック」を。

オンライン書店ビーケーワン:ジェラールとジャック

・・・確かにボーイズラブであった。男と男がいたしておった。
それも美男二人がかなり濃厚にいたしておった。だが。

なんだこれ傑作じゃないのさ。泣いたわよ。泣いたわよ私は。
フランス革命の頃、顔に傷があり、心にも傷を負っているジェラールが買った男娼は、
没落貴族の息子だった。気高い少年をあっさり籠絡するジェラール、
そしてその少年ジャックを雇うことになる。
雇い主と使用人、恋愛にはなかなか発展しないもどかしい二人であったが、
ジェラールの過去の傷はまだ癒されていなかった・・・。
絶望の底にいるジェラールに、気高い少年の愛は届くのか。

ジェラールとジャック、この二人が人間としてぶつかり合って、
魂のやり取りをして、そして二人ともが癒されていくという、
これは人と人との物語なわけです。けして、いたしているだけのものとは違う。
BLなんて縛りをつけるのももったいない、万人に激しく薦めたい傑作なのです。

これを読んでね、なんかわかったことがあった。
三浦さんはこの「シュミじゃないんだ」中でも、BL作品について、
エッチだけではない、なんていうか人と人との関係性を重視した、
重厚な人間ドラマがあるような作品を特に誉めそやしていた。
BLには幼児系まであるらしいけど、幼児を犯すような犯罪めいた作品に
三浦さんは嫌悪感を示す。人と人、大人と大人が自分の意思のもとに、
恋愛し、悩み、お互い影響を与え合い、といった物語を展開するところに、
BLの醍醐味があるのだと。

それで私はさっきのエロビデオの話を思い出したのだ。
どっちかっていうと女が下に扱われているエロビデオ、そして物語なんぞ皆無の
エロビデオ、に女が興味を示さないのは当然であって、でも、BLには
女しか興味を示さないのも、なんだかわかる気がしたのだった。
女は恋愛にはまず物語ありき、なのだ。エッチがあろうがなかろうが。

とりもなおさず、人間と人間の魂のぶつかり合いをしっかり描けている作品、
そんなのBLであってもそうでなくても傑作だ。どんな作品にでも通用する、
そんな世界で三浦さんはBL本をしっかり評価している。

きっと、三浦さんが褒めている本は「ジェラールとジャック」クラスの
傑作ぞろいなんであろう。と思うと触手がうごめくのであるが、
私は紹介作品をメモしたりするのはやめとこうと思う。
家に大量にある300冊もの積読が私を待っている。その中には三浦作品も、
数冊含まれているのだ。三浦さんも許してくれるだろう。
それにマンガを大量に買うにはもうスペースも金もないの。それだけの問題なの。
金さえあれば買いあさってますよ。気になるもん。気になるもん。
めくるめく禁断の世界、と思われようが、私は普通に入っていけてしまいます。きっと。
三浦さんと本の評価基準が一緒だからねー。素養があるよねー。やばいよねー。

寮ものに萌えている三浦さんを見ていると、
「だから「風が強く吹いている」を書いたのね」とほくそえんだりもできて、面白い。
「寮ものが好きだから新選組!ドラマもはまったんだよね」と思っていたら、
ちゃんと新選組!ネタも言及されていた。かなり笑えた。あほすぎる。
三浦さんが萌えやすいオヤジ系とか任侠系とかには私はさすがに触手が動かないが、
寮ものとかならいいなー。とか思ったり。萩尾望都ならもう読んでますが・・・。

はまるまいと思いつつ、今度「ブエノスアイレス」見ようとか思う私であった。
実写やんか!ますますあかんがな。でもトニー・レオンって・・・(妄想中)。

最後に、失礼だが書き下ろしBL小説「夏の思い出」はいけてなかった。
おいおい、どうしたよ、こっちが恥ずかしいよ、ってなくらいいけてなかった。
BLぎりぎり路線の「月魚」の方がよっぽどつやっぽかったよ、だから大丈夫、と
意味不明の慰めを三浦さんに送ってやりたいくらいです。頑張ってね。(何様?)
| comments(4) | trackbacks(4) | 03:29 | category: 作家別・ま行(三浦しをん) |
コメント
はじめまして、やぎっちょさんのところからやってきました。
BBCに書こうか迷ったのですが
こちらにコメントさせていただきました。
しをんさんの新刊はまだ未読ですが
かなりきになってます。
熱くBLについて語ってるので
そのしをんさんを見つつほくそえみたい(笑)
本のなかで紹介されている漫画って
なんだか読みたくなりますよね。
あたしもこれを読んだら久しぶりにBLを読んでしまいそうです!
| 弥勒 | 2006/12/03 12:52 PM |

はじめまして。私も三浦さんのエッセイの大ファンです。小説は「風が強く吹いている」から大好きになりました。(断然エッセイ派でした)シュミじゃないんだを読んだ後、やっぱりマンガを探し回りました。結構品切れ・絶版してるものも多くて、苦労しました。ほんと奥の深そうな世界なので、自制しながら、でも、新しい楽しみが出来たなあと思ってます。
それにしても、BLのコミックの背表紙って見慣れないと、目がちかちかしてなかなか探しにくいです。達人はどうしているのかなー?
| | 2006/12/04 9:51 AM |

ざれこさんこんにちは。「やぎっちょのベストブック」のやぎっちょです。この度、Ciel Bleuの四季さんと一緒に本ブログのリンク集「ほんぶろ」を作りました。http://blog.livedoor.jp/honblo/
現在「やぎっちょブログ」の方のリンクをそのまま貼り付けていますが、より正確なブログの説明文などを登録フォームからお送りいただくよう皆様にお願いしています。http://form1.fc2.com/form/?id=152350
運良くライブドアの「本が好き!」企画にリンクを貼っていただき、既に読者が流れてきています。皆様のブログも見てもらえるようお手伝いできれば幸いです。
私の名前のリンクにメールアドレスを記入していますので、わからないことなどあれば遠慮なくお尋ねください。
ご協力いただけると私も四季さんもとてもうれしいです。よろしくお願い致します。本文に直接は関係のないコメント失礼致しました。
| やぎっちょ | 2006/12/06 2:19 AM |

こんにちは。たまねぎさんのところから遊びにきました。エロビデオというとざれこさんと同じ発想しかない私ですが、実際みたことがないです。やはりストーリーがないとなんだかなあ…と思ってしまいます。BL本と言われて一番に浮かぶのは「日処るところの天子」です。
| 菱沼 | 2006/12/24 11:33 AM |

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