本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「しゃべれどもしゃべれども」佐藤多佳子
しゃべれどもしゃべれども
しゃべれどもしゃべれども
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 620
  • 発売日: 2000/05
  • 売上ランキング: 12622
  • おすすめ度 4.5


いやあ、なんつうかね、穴があったら入りたいですよ。
この本を数ヶ月も本棚で熟成させてたなんて。

ずっと「今月読む本」に堂々と入っていたこの本ですが、
あちこちで「なんで読まないんだ」と怒られて
(もう誰に言われたか、複数なので覚えてないくらい)、
「皆さんがそこまで言うなら」と一念発起して読み始めたのですが、
別にそんなことせんでもね、買ってすぐにとにかく読めば良かったわけですよ。
こんな面白い本を読んでなかったなんて、わたしゃ恥ずかしいですよ。ほんま。

持ってて積んでいる方は今すぐ本棚から抜きだして読む、
持ってない方は買いに走る、ネットで買う、図書館でもいいし、何でも良いです、
とにかく読もう。読みましょう。そんな本。
面白かったー。かなりのヒットです。
荒っぽい落語家三つ葉(本名達也)は、若手の二つ目。江戸っ子である。
吃音が出てきてしまった従兄弟の綾丸良の悩みを聞き、話し方教室に
連れて行ったら、そこで黒猫みたいな女が挑戦的な目を向けていた。
ひょんなきっかけから良に落語を教えることになった三つ葉、
いつのまにか、その黒猫女、そして大阪弁で喋る少年村林、そして
元プロ野球選手で解説をしている湯河原も一緒に教える羽目になる。
三つ葉自身も、落語にスランプを感じていた。古典をやる意味、模倣でない
自分の芸とはどんなものか、そんなことを。
しかしそのへんてこな4人と落語教室をしていくうちに、三つ葉の悩みも、
そして彼らの人生の悩みも、少しずつ消えていく。

何がいいって、三つ葉のキャラクターがとても気持ちがいいのです。
もう、本名でタッちゃんと呼んだ方がしっくりきますが、彼の一人称で続く
この物語は、江戸っ子でキップがよくてさくさくっとしてる、
彼のキャラクターの魅力で、まず話を引っ張ってってくれます。
鈍感だしけっこう悩むし、気は短いし、ダメな奴なんだけど、でも全く憎めない。
むちゃくちゃいい奴。そして、むちゃくちゃいい奴を「けっ」と眺めてしまう
ひねくれモノの私ですら、素直に「カッコいい」と思える心意気を持った男。
祖父の影響を受けているからか、古いものにひたすらこだわり、ずっと着流しで
歩き回って目立ちまくり、声もでかいし、端からみたら友達になるには
ちょっと派手すぎるのですが、なんていうかその頑固さも好き、みたいな。

そしてまあ、彼のばあちゃんもいいのですよね。口は悪いが威勢が良くて。カッコいい。

もちろん、四者四様の生徒達の面白さが、話をまた面白くしてます。
解説で喋れない湯河原ですが、関西弁でいじめられてる、と思いきや
野球ネタでいびられていた村林に、野球を教えることになって、
そしてそれに、吃音でテニスのコーチができなくなっていた良まで
刺激されることになる、そして彼らのありようが、三つ葉まで刺激する。
彼らが相互作用しあって全員で底上げしていくあたりが、とても好きでした。

村林の落語発表会のシーンは、大笑いしたりほろっと泣いたり、とにかく大変でした。
いじめっ子が来るのか?こないのか?奴は笑ってくれるのか?
落語という、小学生が誰もやらないことを面白がって、大阪弁でやる、
自分を落として人を笑わせる、でもけして自分は落ちちゃいないのだ、それで対等なんだ、
そんなことも、気持ちよかった。
笑いの本質をみたような、で、個性ということの本質を見たような、というと
大げさか。つうか、わけがわからんな。
ま、ええねん。とにかくおもろかったねん。(ちょっと村林調)

もちろん、黒猫女、十河五月を忘れてはいけない。彼女の素直じゃないけど
きりっとした感じ、私もとても好きでした。やけに生真面目で不器用なところも、
共感しまくりです。
しかし、タッちゃんも鈍感すぎるけど、十河もね、素直じゃなさ過ぎるよね。
そんな彼らの行く末はというと、それは読んでのお楽しみ。

落語という一つの手段を通じて、彼らのこれからが少しだけ上向いたような、
そんな読後感がとてもすがすがしい、ストレス解消本です。
もう、大好きだ。よっ、達也。粋だねえ。

余談ですが、村林の変な落ち着きをみていたら、からくりTVの将棋少年を
思い出しました。あの、鶴瓶の息子みたいなあの5歳の将棋少年。
「田中くん(スタッフの名前)、やまない雨はないんや。」と諭す5歳児と、
村林少年は思い切りかぶりました。笑ってしまった。
しかしあの子まだ5歳ってどうよ。もう、6歳になったかな。
もし息子が産まれたら、あんな5歳児にしたいと私は思ってます。本気です。

ところで映画化だそうですね。これ。国分太一が主演だそうで、
いかにも国分くんは落語、って感じですが、達也にはちょっとイメージが
ソフトすぎるかなー。残念。
十河も香里奈は違うなー。私は水川あさみのイメージでした。ま、いいけど。
| comments(7) | trackbacks(10) | 02:18 | category: 作家別・さ行(佐藤多佳子) |
コメント
この本文庫落ちした時に、読みました。
もう何年も前だからかなり話を忘れてしまってますが、
かなり面白かったのは覚えてます。
で、最近また読みたくなって買ってしまいました。
でも、積読状態だったんです。
だからこのBLOG読んで「ドキッ」としました。
次の一冊はこれで決まりですね。
| DJ Levi's | 2006/11/25 1:28 AM |

この作品いいですよね。わたしも読んだの結構おそくて、読んだ直後に本屋に走り、単行本サイズが絶版であることに絶句し…東奔西走して古本屋でGETしたあげく、文庫版も買いました(笑)
いろんな人に薦めてます。映画…わたしも国分くんはちょっと三つ葉には合わないんじゃないかな、と。国分くんが嫌いなわけじゃないんですが、ちょっと残念です。
| まみみ | 2006/11/25 2:55 PM |

あぁ、この本はよかったですね。ぼくもふと手にとって読んだ一冊でした。もしかして、落語モノって、当たりが多くないでしょうか?
ところで、私的な話ですが、自分のレビューのスタイルがいまと違いすぎて笑えました(苦笑)。
| すの | 2006/11/25 10:22 PM |

私はこの本が佐藤さんとの出会いでしたー。なんかすごーーーーーくつらいことがあって、元気を出さねば!と思って選んだ本だった気がします。いい感してたわ、わたし…。何がつらかったのかは忘れましたが(笑)、この本のことは忘れていません。すばらしい!
| chiekoa | 2006/11/28 11:14 AM |

はじめまして!いつも楽しく読ませていただいてます。
この本、本当にいいですよね!!すごく癒されました。佐藤多佳子さんの本はどれも大好きなのですが、特に「黄色い目の魚」という作品がおすすめです。もし読んだことがなければ是非読んでみてください☆
| kaede | 2006/11/30 11:19 PM |

しまった、コメント遅くなってごめんなさい。

DJ Levi'sさん
積読ですか。これは再読すべきでしょう。きっと忘れた頃に読んだらまた面白いはずー。

まみみさん
国分くんは好きですけど、三つ葉のイメージとは少し違いますよね。まだ長瀬くんくらいきつそうな感じのほうが・・・。それじゃ「タイガー&ドラゴン」そのまんまか。キャストはまた考えときます(なぜに)

すのさん
落語ものはたくさん出てますが確かにはずれないですね。「ハナシが違う」も面白かったし、円紫シリーズも、「三人目の幽霊」も・・・。だいたいミステリなんですけどね。でも、これが一番好きかも。
で、すのさんのレビュー、ほんま、今とだいぶ違いますね(笑)あまりけなしてない(笑)

chiekoaさん
それはいいセレクトでしたね。普通に元気でしたがこれ読んで更に元気になりましたよ私も。佐藤さん、いいわー。

kaedeさん
「黄色い目の魚」はいろんな方にがんがん薦められて買ってあります。そろそろ読みます。ありがとうございます。
| ざれこ | 2006/12/17 1:29 AM |

まとめてすみません。
嫌がらせのつもりは全く無いんです(汗
この本はざれこさんの記事を見て買いに走りました。(実際はアマゾンで走っていませんが)
面白い本を知ることが出来て、いつも本当に助かります。
ざれこさんの、水川あさみのイメージ、ピッタリなのにな。
つんとした黒猫。
公開、もうすぐですね。
それよりも実際に「まんじゅうこわい」を生で聞いてみたいです。
| このみ。 | 2007/02/28 12:44 AM |

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