本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「シーセッド・ヒーセッド」柴田よしき
シーセッド・ヒーセッド
シーセッド・ヒーセッド
  • 発売元: 実業之日本社
  • 価格: ¥ 1,785
  • 発売日: 2005/04/17
  • 売上ランキング: 140137
  • おすすめ度 3.0


保育士探偵シリーズ第三弾です。職場の友達からさくさく回ってくるので、
珍しくさくさくシリーズを読み進めてます。
このシリーズを読破したら「聖なる黒夜」を貸してもらえることになってて、
それが友達によるととても面白そうで。

このシリーズで出てくる二枚目冷酷ヤクザ山内練が主役の物語らしいんですよね。
山内、酷い奴やけど、美しい悪者って好きなんだよな、私。
それに、きっと過去にいろいろあったりとかしたんだろうな、的な書き方が
このシリーズでされてるので、それが気になったりもして。
役者で言うと伊勢谷友介みたいな感じ。なんやけど、ワタシ的には。

それでこのシリーズを三作目まで、ちょっとノルマ的に?とっとと読んでみたのでした。

今回も保育士探偵の花咲慎一郎が遭遇する、主に3つの事件を追ってます。
にこにこ保育園の園長でありながら、赤字経営と命を賭けた借金を何とかするため、
城島探偵事務所の下請け探偵もしている花ちゃん。
城島から来る依頼は堅気じゃないものが多く、いつも危険が伴う。
最初は普通の女性が依頼人かと思いきや、実は人気歌手のAYAだった。
ストーカー被害に遭っているという彼女だが。

それが第一話の話で、章はタイトルもついて3つに分かれてるにもかかわらず、
私は読み違えをしてしまい、短編集に見せかけた長編かと思っちゃったのです。
別々の事件が起こりつつも、最後には見事にそれが一つにまとまるのかな、みたいな。
今までのシリーズがそんなんだったし、それに、一話目も、謎が解けたらそこに
どでかい事件が横たわっていた、みたいな感じで、あまり終わった感じがしなくって。

で、なんとなく続くんかな、と思ってたらまた別の事件が持ち上がって
(あ、これも1話目からの続きの事件だった)、今度は山内のところに赤ん坊が捨てられ、
山内の子だという手紙が着いていた。その母親を探し出して何とかしろ、という。
もちろん赤ちゃんは保育所で預かる。花ちゃんは母親を山内より先に探し出し、
山内から守らないといけない。山内は人殺しなんか平気でやってしまう奴なのだ。
花ちゃん周辺はもう常に非日常、騒がしいのだった。

で、そこでまた、事件が更に大きくなって、それでまた終わる。
風呂敷をぱあっと広げて、ちょっとだけたたんではまた次の風呂敷を広げる、
それが何枚にもなる、というイメージのストーリー展開に、私のキャパの少ない脳みそは
混乱しきり。そしてシリーズ前作の登場人物がいきなり電話してきたり、と
花ちゃんはとにかく大忙しなのだ。

そして最後の短編に突入、今まで広げられた風呂敷が(無理矢理にせよ)全部たたまれるのか、と
期待に満ちて読み進めるが、あれ、何かおかしい。
どうも前の2つの短編の出来事が、花ちゃんの中で思い出と化しつつあるのだ。
事件も全然また、別やし。今度は、ノーベル賞も取れると言われている化学者の男が
女を見張ってくれと言ってくる。またストーカーかよ、と思っていたら、
女の方にも秘密があるようだ。
なんだかまた登場人物が増えたし、また風呂敷がばーんと広げられ、
どうするんだよ、って思って、そこではたと気づいた。「あ、これ、短編集やったんか。」

なんか、短編集に見せかけた長編かと思ってたら、長編っぽい短編集やったんやなーみたいな。
最後に全部霧が晴れると思っていた私はあっさり肩すかしを食らってしまった。
でもよく考えると、ちゃんと各短編で事件は解決してるんだよねー。
そう思って読んでいればまだ気持ちよく読めたのに、しまったなあ、と思ったのだった。

途切れなく続く花ちゃんの日常と非日常という感じ。確かに、日常でも、
Aという出来事とBという出来事が並行して起こっていて、Aの行事が終わってほっとしても、
Bの予定はまだ続いてたり、新たにCな依頼が入ったり、と、日々はそうやって
重層的に重なって続いていくのだから、いかにも日常って感じで、そういう臨場感は買う。
けど、小説としては、ちょっとどっちつかずだったかなーって思うのだ。
登場人物多すぎるしなー。事件だけならともかく、保育所関係の子どもの母親の謎まで
考えないといけないし、あれやこれやと抱えすぎなので、私もちょっと混乱してしまったり。

そういや、なぞめいた電話を数回よこしてきたウルガ、あの人何の用事だったんだ?

ま、そんな混乱も、どんな事件でも誰のトラブルでも、小さいことも大きいことも、
真摯に考えずにいられない、そんな花ちゃんのまっすぐな性格が
もたらすものなので、好感度は高い。
子どもの湿疹から母親の異常な癖を見いだしたり、小さなことも見逃さない花ちゃん。
社会では弱者と呼ばれる人や裏街道の人達の依頼にも常に正面から飛び込む、
そんな花ちゃんの人柄が、いろんな人を呼び寄せる。
そこは個性のデパートのようだが、みんな、いろんな問題や個性を抱えて、
生きてるんだな、それが日常だ、なんてことも思うのだ。気持ちよい混沌。そんな本だ。

さて、ここから余談だけど、今私は職場でワードを開けて、せっせとこれを書いている。
花ちゃんは、尾行している女が仕事中に脇目もふらずにパソコンを打っていて、
何の資料も参照していないことを見抜き、それで彼女が何か仕事以外のことをしている、と
気づいたのだったが、私が今こうやって何も見ずにこれを打ってることで、
不審に思う人がいるのか、とちょっと戦慄したりもする。壁に耳あり障子に目ありだ。
| comments(1) | trackbacks(2) | 10:02 | category: 作家別・さ行(柴田よしき) |
コメント
山内練、リコシリーズでは切れすぎる剃刀みたいなイメージあったんですけど、柴田氏も山内に愛着湧いてきちゃったんでしょうかね。
柴田さんの作品は、どんどん広がっていくので覚えるの大変ですよね。
| じゃじゃまま | 2006/11/11 5:18 PM |

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シーセッド・ヒーセッド 柴田よしき著。
ああ、あのシリーズね。 でも以前のシリーズが随分前だったから、読むたびに詳細忘れてるんだよね。 覚えてるのは、山内練。リコシリーズでは、冷たい刃のような男だったんだけど、このシリーズでは、ちょっと愛嬌があったりするのよね、少し人間味があるというか・・・
| じゃじゃままブックレビュー | 2006/11/11 5:14 PM |
倉田真由美 結婚
Q漫画家の倉田真由美さんをどう思いますか?自分はだめんずを批判しているのに、今だめんず(と思われる人物)と結婚しているじゃないですか。全く説得力ないと思いませんか?A学ばない女だと思います。「自分が最後の女になればいい」と言ってますが、本気で思っているん
| 芸能ニュース | 2009/11/10 7:34 PM |
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