本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「退屈姫君伝」米村圭伍
退屈姫君伝
退屈姫君伝
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 620
  • 発売日: 2002/09
  • 売上ランキング: 63165
  • おすすめ度 5.0


シリーズ2作目。1作目にあたる「風流冷飯伝」、積読を減らそうと読んだこの本があだになり、
シリーズを全部一気に購入してしまった。
ええねん。こんなおもろい本がたくさん読めるなら私は本望である。

四国の架空の藩、風見藩を舞台にしたこのシリーズ、1作目は風見藩領内での
冷飯(次男坊)たちのてんやわんやを描いたものだったが、2作目は風見藩江戸藩邸でのお話。
1作目を読んでなくても楽しめるが、ちゃっかり本文中に一作目の宣伝が入っていたりして。
やっぱり最初から読んだ方がよさそうだ。
例によって講談調で語られるのは、風見藩に嫁いだ大大名の末っ子、めだか姫の冒険だ。
50万石の大国から2万5千石の弱小藩に嫁いだめだか、藩主は参勤交代で風見藩に帰り、
藩を任されてはりきっているが、もともとの好奇心の旺盛さからつい江戸藩邸を探検に出て、
そして藩主の弟の手引きで藩邸の外に出てしまう。そこで出会った小娘のお仙は
くのいちで、幕府お庭番の倉地の下で動いていたりする。めだか姫を腰元と間違えた
お仙は、藩の内偵をこともあろうにめだか姫に頼んでしまい、探る側のお庭番と
探られる側の姫君が一緒になって藩の内偵をする羽目に。

まず探るのは藩の6不思議。7つないのは小藩だから(すごい理由だ)だが、
一つ一つ探っていくうち、貧乏だけど楽しくやっている風見藩の中身がわかってきて、
読者もめだか姫同様、どんどん風見藩が好きになる。
そして小さな謎を解いていくうちに、風見藩とめだか姫の故郷の藩とで、密約を結んでいることが
明らかになってきて・・・?これを田沼意次もどうやら探っているらしい。
改易なんぞなってたまるか、とめだか姫は奮闘するが。

好奇心旺盛で懐が深いめだか姫のキップのよさに惚れ込んでしまい、夢中で読んだ。
お姫様らしく浮世離れもしてるんだけど、庶民に高飛車なわけでもないし、とてもかわいい。
そんな姫様に男どもがあごで使われているのがなかなか小気味いいんよねー。
男達も、妙に気弱なお庭番とか、やたら庶民的な藩主の弟とか、個性派揃いで、
で、少女だったけどちょっと色気を出してきたお仙ちゃんもかわいくって。
魅力的なキャラ達に引っ張られてくすくす笑いながら読んでいける。

で、最終的には権力者をぎゃふんと言わせるという構図。
「ぎゃふんといわせる」(死語やけどさ)話って、なんて小気味いいんでしょうね。
いつもふんぞり返ってる奴が弱者にしてやられるのはなんとも快感なのでした。
このシリーズの共通の敵はどうやら田沼意次のようです。賄賂政治をやらかした腹黒男。
敵に不足なしですな。で、話の本筋に関係ないのにしょっちゅうでてくる平賀源内は、
いつか絡んでくるのかしらん。楽しみだ。

で、ここから妙な話になるけど、なんか前作も今回も思ったんだけど、
あっけらかんと卑猥なのですよね、雰囲気が。
江戸時代、春画とか流行ってたじゃないですか。高校の時に日本史を習ってから
漠然と感じてたことやけど、なんか男女の営みに関する卑猥なことをね、
あの時代はやけにあけっぴろげに、陽気に語ってたんじゃなかろうか、と思うんだよね。

まあ、時代劇の見過ぎで
「お代官様、いけませんわ、そんな」
「まあ、よいではないか、おお、はずかしいのか、うい奴め。ほれ」
「あーれー」(帯がとかれてくるくる回る)
ってシーンがつい浮かんじゃってそれがギャグにしか見えないのがいけないのかもしれないが。

ま、それはともかく、この作品でもうぶな姫君がかわいらしく活躍、ってわけでもなくてね、
いきなり嫁いだ姫君は藩主との営みに積極的で、横で控えてその営み回数を数えている
(こんなことしないといけないのか!)姫君お付きの老女の諏訪、嫁ぎ遅れの彼女を
気の毒がって「諏訪はこんないいことを知らないなんて可哀想ね」なんて思いながら
ちゃんと回数こなしてるしさ。
その諏訪だって、その後ちゃっかり男を連れ込んで春画のまねごとを一つ一つ実践していくし、
そんな様子があっけらかーんと描かれてて、私が想像している江戸の空気がとても出てるような
そんな気がしたりするのです。はい、気のせいかもしれませんが。

あ、もちろんエロ小説じゃなくて、お姫様の大冒険小説ですからね、ご心配なく。

今後、江戸藩邸のお姫様が、風見藩にいる愉快な冷飯達と今後絡んだりするのかな、と
シリーズ展開がますます楽しみな私でした。

| comments(7) | trackbacks(5) | 11:28 | category: 作家別・や行(米村圭伍) |
コメント
お久しぶりです。最近1人の時間が増えまして・・・様々な本を読み耽っております。気が付くと5時間ぐらい読み続けてた!なんて事が多々あり、次の日の仕事に差し支えが出てしまう事も増えてしまいました。しかし何故かそんな疲れ、気分が心地よいというか。ざれこさんならば分かってくれると思いますが。
| kazu | 2006/10/20 10:34 PM |

先日 このタイトルにひかれて本屋で手にとってみたのですが 時代物はあまり得意ではないし、この作者は未読なので 棚に戻してしまいました。
でも やっぱり読んでみようかな。
| ゆーらっぷ | 2006/10/21 5:30 PM |

はじめまして。某コミュニティから跳んでまいりました。
しばらく新しい本を探す参考にはことかかないぞ・・・とホクホクです。
この本、私、大好きですー。
軽ーく読めてしまいますよね。
善悪の話も色の話も、さらりと流す江戸の粋。
私も続きが楽しみです。
| chirr | 2006/10/22 12:03 PM |

>シリーズを全部一気に購入

あーあ。
やってもうたのね。

だからオレはあれほど止めたのに。
少しでも積読を減らしてあげたかったのに。
あーあ。
| ロケット | 2006/10/22 12:15 PM |

あ!この本私も目をつけていて、心の積読の棚に並んでおりました。でも解説を見たらシリーズ二作目って書いてあって、一作目はなんだろう、そっちから読まねばと思ってそのままになっておりました。そうか、おもしろいならばぜひ読まねば…。ありがとうございます!
| chiekoa | 2006/10/22 8:12 PM |

kazuさん
お、5時間も本を。それは至福のときですね。私も眠らずにすむならいくらでも読めるのにー。といつも思ってます。あ、仕事に行かなければいいのかー。(おい)

ゆーらっぷさん
これから読んでもわかりますが、「風流冷飯伝」が一応第一作目なので、そちらからどうぞ。ちょっと独特の語り口調ですが、慣れたら味があってよいですよ。面白いです。時代物といっても史実関係ないですし、大丈夫じゃないかなあ?ダメだったら、1冊でやめておいてくださいね(といいかげんなことを)

chirrさん
はじめましてー。これからよろしくお願いします。
そうですよね、まさに粋な小説でした。続きがとても楽しみです。まだ何冊もありますもんねー。

ロケットさん
・・・・ぎ、ぎりぎり(悔しくて歯軋りする音)
誰のせいだと思ってんですか!
でもおかげさまで読めて嬉しいですわよ、ええ、いくら積読が増えてもけっこうですことよ、ほほほ。

chiekoaさん
沖縄楽しかったみたいですねー。
そうです、面白いから是非読まねばです。「風流冷飯伝」からどうぞ。と布教活動をさくさく行う予定でおります。
| ざれこ | 2006/10/25 12:30 AM |

読んじゃいましたー!一気に全部(笑)
丸一日中…何をやってるんだか…。
ちなみに、わたくし個人的な提案ですが、先に「退屈姫君シリーズ」を全部読んでから、「面影小町伝」を読むのをオススメします。刊行順だと違うんですけど…。
| chiekoa | 2006/11/13 11:07 AM |

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