本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「フォー・ユア・プレジャー」柴田よしき
フォー・ユア・プレジャー
フォー・ユア・プレジャー
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 790
  • 発売日: 2003/08
  • 売上ランキング: 134736
  • おすすめ度 4.5


保育士探偵花咲慎一郎シリーズ第二弾。
にこにこ園を経営しながら、火の車の園の財政を助けるため、探偵業もしている
刑事崩れの花咲。同業者で、花咲に仕事を持ってくる城島は、危険な仕事しかふってこない。
ある時、ある女が酔った勢いで一晩過ごしてしまった男を捜す、という、一見まともそうな
依頼がくる。調べていくうちに、その男がどうやら麻薬の売人のようだ、とわかってきて、
ハナちゃんは頭を抱えたが、そんなころ、最愛の女性、理紗がいなくなってしまった。
理紗の行方を捜すうち、理紗の妹美貴子をストーカーしている男が浮上し、
しかもドラッグパーティで知り合ったという・・・。どんどん胡散臭くなるハナちゃん周辺。
ハナちゃんの不眠不休の活躍がはじまる。
本当に不眠不休なのだが、肝心な時に寝てしまう今回のハナちゃんである。
しかし不死身である。タフすぎる。まあ、だいたい探偵というのはそんなものだが。

でもハナちゃんのキャラは探偵としては相当変わり者。いや、普通すぎると
言った方がいいのかな。庶民的すぎるのだ。
元刑事のくせに今は保育園の園長だし、金策に常に走ってるからなんだかせこい。
ま、自分の身体を担保に借金作ってるくらいだから、仕方ないんだけどね。

でもさあ、探偵が「次はあそこまで行かねば」って意気込んでる時に、
「あの辺に駐車場あったっけ」って気にして路駐を避けて電車に乗ったり、
車で行ってもスーパーの駐車場に入って、ついでに買い物して駐車券(!)もらったり、
(追跡が始まってしまったら慌てて車を出さないといけないかもしれないから、
先に買い物を済ませておくところは探偵らしいかもしれんが)
路上駐車する時には「すぐに動かしますが、もし何かあったら連絡を」って
携帯番号書いて車に貼っておいたり、しないよねえ。
それに、しょっちゅう渋滞に巻き込まれてるし。東京の道は常に混んでるみたいで。

なんかねえ。新宿周辺の車事情が気になって気になって仕方なかった。
本筋とはほとんど関係ない(ちょっとだけ伏線になってるかな)のに、
あまりしょっちゅうそういうことを考えてるもんだから・・・。
庶民的すぎる!んだけど、東京って車で動くにはものすごい不便なんだろうね。
大阪市街によく車で行くけど、荷物が重いからで、本当は電車で動きたい。
運転したくないもん。歩行者強すぎやし、駐車場も高いしさ、道もややこしいし。
東京はそれに輪をかけてうざいんだろうな。大変、なのはわかるけどさー。

・・・これは偏見かもしれないけど、男の人がこういう小説を書いたら、
車なんて適当に停めまくってると思うねん。でもレッカー移動とか絶対されないし、
主人公はそんなこと気にもしてないはずやねん。
女性ならではの視点じゃないかなあ、この庶民具合は。

西部警察をふと思い出した。彼ら警察で探偵とちゃうけど、やりたい放題じゃないですか。
スピード違反のカーチェイス、道で銃撃戦、時々車転がって爆発してるし。
庶民大迷惑ですよ。今だったら「警察また不祥事!」って叩かれまくりですよ。
でも奴らかっこよかったわけで、警察とか探偵とかは多少、無茶が通るみたいな
イメージがあるじゃないですか。なんとなく。

なんか、そういう、ちまちました些細な日常の積み重ねが、独特の世界を作ってる気がする。
ヤクザ達と対等につきあいつつ、保育園もやって、子どものちゃんとした抱き方も
知っているハナちゃん。ハナちゃん自身も言ってるけど、平穏に見える日常と
闇世界がつながってる街、それが新宿っていう街なんだな、と。
車も停めづらいけど、闇でも表でもいろんな雑多な人達がいて雑多に生きてる。
新宿にしては牧歌的雰囲気が漂っているこの本、でもだからこそ恐さが際だつというか、
普通に明るい世界があるから闇の濃さが増すというか、そういう恐さも感じた。
新宿鮫にも不夜城にも、桐野夏生のミロシリーズにもない、雑然とした新宿の雰囲気。
だからこそリアルな部分もあると思う。

事件はまたもや複雑に絡み合い、ヤクの売人やらヤクザやらが次々出てきて忙しい。
前の女房とか今の彼女とか複雑な感情を抱いてるセフレとかかわいい保母さんとか、
いろんなタイプの女性がハナちゃんに絡んで、読者サービス満点。
忙しい、忙しすぎるよハナちゃん。それにモテモテよ。
更にハナちゃんが借金を借りた新宿の裏社会のボス、山内まで出てきて話が大きくなるが、
複雑な要素が最後にすうっとまとまるところはさすが、ストーリーテラー。
ぱあっと面白く読めました。

しかしなあ、ハナちゃんはちょっといい人過ぎてなあ。
私には悪の権化みたいな山内の存在がよっぽど気になりました。
見た目綺麗で(私のイメージでは伊勢谷友介)むちゃくちゃ冷酷、人を人も思ってない
屑みたいな人間だけど、この人の心の闇は半端じゃなさそうな気がする。
「聖なる黒夜」って作品で山内が主役になってるらしい。早くハナちゃんシリーズの
既刊を読み切って、「聖なる黒夜」をとっとと読みたいです。
| comments(0) | trackbacks(3) | 17:00 | category: 作家別・さ行(柴田よしき) |
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