本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「猫島ハウスの騒動」若竹七海
猫島ハウスの騒動
猫島ハウスの騒動
  • 発売元: 光文社
  • 価格: ¥ 900
  • 発売日: 2006/07/21
  • 売上ランキング: 4441
  • おすすめ度 4.0


若竹七海さんの久々の新作。いやあ、嬉しいですね。楽しみにしてました。
架空の街、葉崎市を舞台にしたコージーミステリのシリーズです。
コージーミステリ、って、軽い感じのミステリを指す言葉っぽいですね。
かなり乱暴に解説しましたけど。
その軽さ、一気に読ませるテンポのよさ、こういうミステリではやっぱり
この人が第一人者じゃないの?と、ミステリを読みつくしてもないくせに
ついこう言ってしまいたくなる、そんな快作でした。

軽いからイコール心に重く残るとか、何度も読み返したくなるとか、
そういう類の本じゃないんだけど、でも読んでる間はすごく楽しくて、
登場人物たちと一緒にそこに住んでるような気分になる。
いいじゃないですか、そういうひと時が過ごせることこそが
読書の醍醐味ってなもんです。とても楽しめました。
舞台は架空の島、猫島。
葉崎市から引き潮時は足で渡れ、満ち潮の時には船で渡るこの島は、
猫島神社を中心とした小さな町。その名のとおり猫がうようよいて、
猫好きで海好きな人達が全国からやってくる観光地だ。
そこの民宿の一つ、猫島ハウスでは、高校生の杉浦響子が、夏の間店番をしている。
どうやら虎鉄という幼馴染と、修学旅行で何かがあったらしく、むっとしている。
その虎鉄はというと、同じくくさくさしていて、女の子をナンパして、猫のため息と
呼ばれるひと気のない入り江に連れ込んだら、そこにナイフで刺された猫の死体、
いや、猫のぬいぐるみの死体があった。
そのせいで非番なのに仕事をする羽目になった葉崎市の伝説の刑事、
我らが駒持警部補は、猫アレルギーなのに猫島の謎の事件を調べる羽目になる。
彼は七瀬という島のぐうたら巡査を使って事件を追っていくが、
次から次へと事件が起こり、過去の事件まで掘り起こされていって?

葉崎市を舞台としたシリーズではおなじみの駒持刑事がまた出動であるが、
それだけじゃなくて今までの葉崎市のシリーズで出てきた登場人物や事柄が
細かく登場してくるのも、今までの読者からしたら嬉しいところだが、
これだけいきなり読んだとしても、いきなり楽しめるようにちゃんと独立してある。

猫島の人たちは個性豊か。この作家さんらしく、びっくりするほどの善人は一人もいなくて、
皆、一癖も二癖もある人たちばかり。巡査とか、神社の宮司とか、元銀行員の
埋蔵金狙い?とか、エロ小説翻訳家の猫マニアとかが、猫島ハウスを中心に
ああでもないこうでもないと事件に首を突っ込んでいく、んだけど、
今回はそこに個性たっぷりの猫たちまで加わり、大変だ。
猫、可愛いんだよなあ。得意げな猫、なつく猫、乱暴な猫、警察猫までいる。
個性豊かな人間達はたくさん出てきても誰が誰だか迷うことがないが、
猫達ですらちゃんと書き分けられているのがすごいなと。
私は猫より犬派だけど、こんな島なら行くよなあー。猫がうじゃうじゃ。幸せだ・・。

そして山ほど出てくる登場人物や猫物たちをうまくとりまとめて、
彼らの動きをリアルタイムで伝えてくるかのような無駄のない筆致が
テンポよくとんとんと進む。なんだかドラマを見ているようだ。
あちらの場面で一芝居終わって、気になるところでぱっとカメラが切り替わって
次はこちらで台詞の応酬、なんて感じでとんとん読めるが、
些細な他愛ない会話だと思って読み逃してたら、あとで「おおっと」と
びっくりする羽目に。うわー、これって誰が証言してたっけ?実は重要だったか、
みたいな・・・。無駄がありそうで無駄がない、そのシンプルかつ遊び心
たっぷりな描き方はほんま、うまいとしかいいようがない。
軽い小説ではあるけど、著者のうまさをしっかりと実感できる一冊だ。
つうか、だらだらと重い小説書くより、こんなのを書くほうがすごそうだ。
無駄を殺いでいく作業は、無駄を作っていく作業より、大変と思う。
やっぱり若竹さん、いいですねえ。と改めて拍手。

オチもすごいねえ。最後の1ページまで気を抜くことは許されない。
でもねえ、事件はしっかりといてくれたけど、多分読者の全員が
気になって気になって仕方がないあの大きな謎については、
結局当事者達に「別になにも」としらばっくれられてわからないまま。
くっそー、何があったんだよー。教えろよー。
そこらへんがまた遊び心なんでしょうねえ。やられたわ・・・・。

個人的にはえらい目に遭わされまくった七瀬巡査がお気に入りです。
かわいそうだったけどね・・・。

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ぼくの若竹七海な日常「猫島ハウスの騒動」


| comments(3) | trackbacks(6) | 00:57 | category: 作家別・ら、わ行(若竹七海) |
コメント
いやぁ、これを読んだアト、前の二冊を再読しちゃいました…。そしたら気づくことがたくさん!どうして毎回ラジオのDJが章の頭ではさまるのかしらって、思ってた私を許してくださいませ…。
| chiekoa | 2006/09/02 9:47 PM |

ざれこさんのブログで知った若竹七海に、最近はまっています。やはりその毒にひかれてかな。私の「スクランブル」の記事の中で、若竹七海ブログにリンクさせていただきました。ご了承いただければうれしいです。
| バーバママ | 2006/09/04 7:45 PM |

chiekoaさん
私は最近読んでたので大丈夫でしたよ(笑)でもまだ気づいてないつながりとかありそうです。

バーバママさん
リンクはがんがんしてくれていいですよ。
また一人若竹ファンを増やせて私は嬉しいです。毒がたまりませんよね。今回みたいなコージー・ミステリは軽くて楽しいですけど、毒味が少なめなのがちょっと物足りない気もします。
| ざれこ | 2006/09/05 1:40 AM |

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